切削加工:基礎知識
- [2023/8/29公開] Question 外径バイトの選定を行う際に考えるポイントは何ですか? さまざまな外径バイトがありますが、選定する際の注意点を教えて欲しい。 Answer 外径バイトの選定で重要になるポイントは切込み角です。切込み角の特性を理解することで、より適切な工具選定とその特性を活かした使いこなしが可能になります。 外径バイトの種類と切込み角 外径バイトはJISで定義された歯形形状記号で定義づけされていますが、これらは切込み角が異なります。 切込み角とは、”ワーク外径と切れ刃からなる角”で定義づけられ、切削特性に影響を与える重要な要素です。 切込み角が切削特性に与える影響 切込み角は、おもに「切取り厚さ」と「切削力の向き」に影響を与えます。タグ:
- [2023/8/24公開] Question 外径溝入れ加工を行う際に気を付けるポイントは何ですか? さまざまな外径溝入れ工具がありますが、選定する際の注意点を教えて欲しい。 Answer 外径溝入れ加工を行う際は、用途に応じた適切な工具選定と使用上の注意点を意識して用いることが重要です。 また溝入れ加工に限らず、溝入れ工具を旋削加工に用いることで工具集約による加工時間の低減も可能です。 外径溝入れ・横送り加工用工具の選定 溝加工の状況により「クランプオン式」「セルフクランプ式」「スクリュークランプ式」から適切な方式の溝入れ工具を選定してください。 溝幅の精度 加工する溝幅の精度により、「型押し品」「研削品」のインサートを使い分けてください。 横送り加工 溝入れ加工に限らず、溝入れ工具を旋削加工に用いることで工具集約による加工時間の低減も可能です。溝入れ工具で横送り加工を行う際は、工具やツールパスの面で注意点が多いため、これら注意点を守った加工の実施が必要です。タグ:
- [2023/7/24公開] Question フライス工具の選定時には何に気を付けて工具を選定すればいいですか? さまざまなフライス工具の種類がありますが、選定する際の注意点を教えて欲しい。 Answer フライス工具を選定する際には、切込み角を理解した上で工具選定をすることが重要です。 代表的なフライス工具の種類 代表的なカッタの種類には、直角肩削りカッタ、正面フライスカッタ、高送りカッタがあります。 これら工具の違いは切込み角にあります。 切込み角 切込み角とは、切れ刃と加工底面の平行線からなる角度です。切込み角が変わることでカッタの切削特性が大きく変化することから、フライス工具には重要なパラメータです。 切込み角が切削特性に与える影響 ①切取り厚さ 切込み角が変わると切取り厚さが変わります。切取り厚さは送りの限界を決めるため、切込み角の異なるカッタで適用可能な送りが変わります。タグ:
- [2023/7/4公開] Question 突切り加工において正しい工具選定の方法や、加工時に注意すべきポイントは何でしょうか? 突発的なインサート欠損などのトラブルが生じていて、工具選定が悪いのか加工方法が悪いのか判断ができない。 Answer 工具のセッティング方法、工具選定、加工時のポイントなどを注意することで安定的な加工が行えます。 ・工具のセッティング 溝入れ工具を使用する際、工具のセッティングが非常に重要なポイント 回転軸に対してインサートを垂直(90°)に取り付け、刃先高さ(芯高)は±0.1mm以下に設定することが重要 ・突切り幅の選定 突切り幅の広さによって、歩留まりや工具特性にメリットやデメリットが生じます。 加工するワークに応じて、安定した加工ができるインサートの選択が重要です。タグ:
- [2023/7/3公開] Question エンドミル加工に使う保持具を教えて エンドミル加工に使う保持具は色々と種類があるようですが、選定方法や特徴を教えてもらえますか? Answer エンドミルなど回転工具は保持具(ツーリングとも呼ばれます)で保持され適用されます。 この保持具を選定するには、1.テーパ部 2.保持方式 3.保持具の首下長さ 4.把握径(工具のシャンク径)を決めてから選定します 1.テーパ部 工作機械のシャンク規格についてはこちらをご参照ください。
- [2023/7/3公開] Question 直刃エンドミルとは何ですか?メリットや用途を教えてください。 エンドミル選定相談時に直刃なら対応可能と言われたことがあります。 直刃エンドミルとは何ですか?どのようなメリット・デメリットがありますか? Answer ねじれのない(ねじれ角=0°)エンドミルを直刃エンドミルと呼びます。 下図のように側刃にねじれ角を持たないエンドミルを直刃エンドミルと呼びます。 直刃のメリット・デメリット(ねじれ刃と比較) 直刃エンドミルはねじれ角を有するエンドミルと比較すると以下のメリット・デメリットがあります。
- [2023/7/3公開] Question フライス加工での上面クランプの種類とコツを教えて フライス加工で被削材を上から固定するのにクランプをよく使います。古く傷ついたので買い換えを考えていますがどんな種類がありますか?また、特長やコツがありましたら教えてください。 Answer 上面固定クランプの種類 上面固定クランプのコツの紹介 上面固定クランプの種類 1. サポート部違いと 2. 先端形状違いで、代表的なクランプを紹介いたします。
- [2023/6/22公開] Question フライス加工でびびりが発生し、工具寿命も短いです。 フライス工具を選定する際に何に気を付ければいいですか? Answer フライス工具を選定する際には、『同時切削刃数』を確認することが重要です
- [2023/3/16公開] Question ボールエンドミル加工のピックフィードの目安とは? CAMでツールパスデータを作製していますが、中粗加工と仕上げ加工のピックフィードを設定する目安はありますか? Answer ピックフィードはカスプハイト(理論加工面粗さ)を目安に設定します ピックフィードとカスプハイト(理論加工面粗さ)の関係 ピックフィードは大きくすると、加工面粗さが大きくなり仕上げ研磨工程の工数が多くなります。また必要以上にピックフィードを小さくすると、切削加工工程の工数が多くなります。適したピックフィードの選定は、中粗加工と仕上げ加工それぞれの面粗さを設定してから、ピックフィードを決めます。 ボールエンドミルのカスプハイト(理論加工面粗さ)の算出
- [2023/01/26公開] Question エンドミルで加工する際、ビビリを抑える方法はありますか? ビビリの発生により、仕上がりの悪化や、工具の欠けが発生して困っています。エンドミルのビビリを抑えるポイントを教えてください。 Answer 振動している部位の特定と振動対策 まずは被削材が振動しているか工具が振動しているか見極めるため、プラスチックハンマーなどで被削材を叩いてみて被削材の固定を確認してみます。被削材が振動している場合はクランプ方法の改善を検討するため、被削材が振動していた場合の対処方法を参照してください。 被削材が振動しておらず、工具が振動していると考えられる場合は、工具剛性を高める手段と、振動のメカニズムを抑える手段があるため、切削条件及び工具・ツーリングが原因の場合の対処方法を参照してください。タグ:
- [2022/10/04公開] 「面取りとは?」という基本的な内容から、種類や加工方法などを解説します。 面取りとは 面取りの種類 面取りの目的 面取りの加工方法 おすすめ商品 面取りとは 面取り(めんとり、chamfering)とは素材に角度のある面を設けることです。 具体的には、鋭利な角部分をC面(角面)やR面(丸面)といった角度のある平面、またはR凸形状に加工します。タグ:
- Question 超硬ボールエンドミルを再研磨に出す時の最適な摩耗状況を教えてほしい 社内規定で一定加工時間にて再研磨に出しているが、個人的にはまだ使える気がしている。また、R部の摩耗や欠けが大きいと想定より研磨代が高く、研磨不可などが発生している。 再研磨に出す最適な摩耗状況がわかる基準があれば知りたい。 Answer 超硬ボールエンドミルの再研磨に出す最適な摩耗状況 下記の3つのポイントを参考に、再研磨に出すタイミングを検討してみてください。 摩耗幅は0.4~0.8mmであれば切断せずR部のみの研磨で対応可能(図1-1) 摩耗幅が0.2mm未満であれば再研磨は対応可だが、中仕上加工レベルならそのまま使用可能(図1-2) 欠け含め先端摩耗が1mm以上になる場合は切断が発生しコスト増(図1-3) 切断後にR研磨を再現する十分な刃長が取れない場合は再研磨不可(図2) 図1 刃の摩耗の正面図タグ:
- Question フェイスミルアーバー選定の注意点を教えて フェイスミルアーバーの買い替えを検討していますが、選定の注意点があれば教えて下さい。 Answer アーバーのインロー高さに注意してご選定して下さい アーバーのフェイスミル取付け部はFMA、FMB、FMCで、同じインロー径でも高さが異なる場合があります。 インローの高さが合わないと、止めねじが届かない、キーが嵌合しない、フランジ面が密着しない等で正しく組付きません。 お手持ちのフェイスミルのインローの深さを確認して、適したものをご選定下さい。タグ:
- [2022/02/24公開] Question インサートネジ用タップを選ぶポイントを教えて インサートねじ用のタップは専用のものが必要と聞きましたが、普通のタップとどの様な違いですか? またどの様に選べばよいですか? Answer 先ずは使用するインサートネジを確認して、インサートネジ用タップを選びます インサートネジの種類と呼び寸法を確認します。インサートネジ用タップをネジの呼び寸法から選定します。 インサートネジの確認 専用タップが必要なインサートネジはE-サート(ヘリサート)と呼ばれるヘリカルコイルタイプのインサートです。 図1 専用タップが必要なインサートネジ
- [2022/02/20公開] Question エンドミルに中ベコとフラットという説明の記載がありますが、どういう意味ですか? スクエアエンドミルや自由指定直刃エンドミルには中ベコやフラットというものがありますが、どういう違いでしょうか。 また、どのように使い分けをするのですか? Answer 中ベコ・フラットとは、底刃の形状のことです 底刃の形状の違いを表しており、用途によって使い分けます。 それぞれの特徴や使い分けのポイントは、以下の通りです。 スクエアエンドミルの中ベコとは 中ベコとは、すかし角と呼ばれる底刃を中心に向けて1~3°程度へこませて、逃がしている形状のことです。 切りくずの排出性をよくし、また切削抵抗も少ないので、特に記述がない限り一般的なエンドミルは、中ベコ形状になっています。 図1.底刃が中ベコのスクエアエンドミル
- Question ねじれ角の違うエンドミルをどのように使い分ければよいか? エンドミルのねじれ角は30°・45°・50°と種類がたくさんありますが、どのように使い分ければよいでしょうか? Answer ねじれ角の効果 エンドミルのねじれ角が大きくなると、ワークと切れ刃の接触長が長くなり、単位長さ当たりの切れ刃にかかる負荷が減少するため、工具寿命に有利になります。反面、切削抵抗は大きくなるため、保持剛性の高いホルダの適用など配慮が必要です。
- Question V溝カッターでの加工で、刃が欠けて困っている V溝カッターで加工をするとき、回転数を下げて加工してもすぐに先端が欠けて困っています。 Answer V溝カッターでは、実切削径で回転数を決定するのがポイントです 工具径で回転数を決定すると適正な切削速度より遅くなり、工具に無理な力がかかります。 実切削径で回転数を決定することで、そのような状態を回避します。 図1 V溝カッターの実切削径と回転数のポイントと計算方法
- Question エンドミルのヘリカル加工やトロコイド加工とは? エンドミル加工で、ヘリカル加工とかトロコイド加工などを目にしますが、どういった加工なのでしょうか? Answer エンドミルのヘリカル加工やトロコイド加工とは エンドミルで形状加工する時の、エンドミルの動き方(ツールパス)の1種類のことです。 同じ形状を加工するときでもエンドミルを動かす様々な方法があり、加工法によって加工時間や工具の寿命が異なる場合があります。 ヘリカル加工やトロコイド加工を含め、代表的な5つのエンドミルの加工方法をご紹介致します。
- Question 5軸制御のマシニングセンタを有効活用する為の工具選定方法と使用する上でのポイントを教えてください。 Answer 5軸制御マシニングセンタのメリット・デメリット 5軸制御マシニングセンタでは、3軸の加工では難しい形状、段取り替えを必要とする加工などを、高効率、かつ同一の段取りで切削加工が可能になります。その結果、工程の簡素化、治工具の省略、高精度化などの効果が期待できます。反面、NCプログラミングが複雑になったり、加工形状によっては工具の突き出しが大きくなるなどのデメリットが考えられ、これらの対応が必要になります。
- Question スクエアエンドミルのピンカド、アタリ付の違いは? スクエアエンドミルには、ピンカド、アタリ付の2種類がカタログに記載されていますが、何が違うのですか? また、どのように使い分ければ良いのですか? Answer ピンカド、アタリ付の違い ピンカドは刃先先端まで刃を付けており切削能力が高くなっております。アタリ付は、刃先先端部の厚みを残しています。この効果によりアタリ付は、ピンカドと比較して刃先強度が強くなります。お客様の使用条件に合わせて2種類の刃先からお選びいただきご使用ください。