[2023/7/3公開]
Question
フライス加工での上面クランプの種類とコツを教えて
フライス加工で被削材を上から固定するのにクランプをよく使います。古く傷ついたので買い換えを考えていますがどんな種類がありますか?また、特長やコツがありましたら教えてください。
Answer
上面固定クランプの種類
1. サポート部違いと 2. 先端形状違いで、代表的なクランプを紹介いたします。
1.サポート部違い 使用例と特長 |
サポート部はフラットになっていて、ジャッキやステップブロックを組み合わせて使用する汎用的な形状です。 |
サポート部はステップブロックに合わせたステップがついています。 |
サポート部にねじ穴が切ってあり、スイベルパッド付きボルトなど取り付けて使用します。 |
サポート部はアーム形状になっていて基本的にサポート用のブロックなど他の部品を必要とせずに単独で使用できます。 |
2. 先端形状違い 使用例と特長 |
先端部はフラットになっている汎用的な形状です。 |
先端部は2又に分かれていますのでナットを緩めるだけでクランプを引き出せます。 |
先端部は上下方向に折れ曲がっているので、ねじの突出が小さくすみます。 |
上面固定クランプのコツ
被削材の角に当たらないように水平またはサポート側を気持ち高く設置します。
被削材の角に当ててクランプすると、被削材が変形してクランプが緩みます。
緩むことにより加工時の振動が発生したり、最悪の場合、切削工具が折損、被削材が飛び出す場合もあります。
Tスロットボルトをなるべく被削材の近くまで寄せて設置すると押し付け力が増します。
押し付け力はボルトの位置により、サポート部までの長さと被削材までの長さの比で変わるためです。
ボルトが押す力は、サポート部と被削材にかかる合力に等しく F=Fa+Fb です
また、サポート部と被削材にかかるモーメントは等しく
Fa×a=Fb×b です
よってボルトの押す力とクランプの長さが同じ場合、サポートまでの距離で被削材にかかる力がかわります
Fa=F×b/(a+b)
bの距離が半分になれば、Faの力が半分になってしまうことが分かります
被削材下面は3点支持が基本ですが、工作機械のテーブルに直接設置する場合は、必ずテーブル上面をウエスなどで清掃します。