切削加工:基礎知識(エンドミルの特長)
- [2023/12/8公開] Question 刃先交換式エンドミルの有効刃数とはなんでしょうか? Answer 刃先交換式エンドミルの有効刃数とは、ソリッドエンドミルの刃数に相当します。チップの配置により有効刃数が異なる場合があるので、切削条件の送り速度に注意します。 2枚刃のソリッドエンドミルは、1回転あたりの被削材を削る回数は2回となります。 下図の刃先交換式エンドミルにはチップは4か所付いていて2列に配置されています。しかし側刃の配置は交互にあるので、1回転あたり被削材を削る回数は1回となります。実質の刃数は1枚刃と同等ですので、有効刃数は1枚となります。
- [2023/11/28公開] Question ラフィングエンドミルのメリットを教えて ラフィングエンドミルを検討していますが、メリットと使用上の注意点を教えてもらえますか? Answer ラフィングエンドミルは外周刃が波状で、スクエアエンドミルに比べ切込み量や送り速度を上げることができます。 ラフィングエンドミルは外周刃が波状で、粗ピッチの場合切削抵抗が2~3割下がります。そのため切込み量や送り速度を上げることができます。 スクエアエンドミルでの一般鋼の側面加工では、径方向の切込み量は刃径の0.1~0.2倍以下が推奨値ですが、ラフィングエンドミルでは刃径の0.3~0.4倍以下が推奨値です。 また切りくずが分断されるので、切りくず排出性に優れています。但し被削材の加工面に筋ができてしまうので、面粗度が必要な仕上げには適していません。 面粗度が必要のない逃がし加工や、仕上げ加工前の粗加工で使用すると、加工時間の短縮になります。
- [2023/11/28公開] Question ミスミのエンドミルのコーティングに関して教えて ミスミで使われるエンドミルのコーティングの種類について、用途や特長を教えてもらえますか?
- [2023/11/28公開] Question 超硬エンドミル加工での送り速度と切込み量について教えて 超硬エンドミル加工で加工時間の改善のため、切削条件を見直そうとしています。送り速度は回転速度と1刃送りから算出するのは分かるのですが、肝心の1刃送りが分かりません。また切込み量の目安も教えてください。 Answer 基本はエンドミルの切削条件表から見て加工することをおすすめいたしますが、実加工に合わせ改善する場合、1刃送りと切込み量の調整範囲目安を記載しますのでご参照ください。 (1)1刃送りと送り速度 (a)1刃送りの目安 30°ねじれ、レギュラー刃長、2枚刃のミスミ超硬エンドミルで機械構造用炭素鋼を側面加工する場合、以下表の中央値で試し加工をおすすめいたします。
- [2023/11/28公開] Question エンドミルを選定したい エンドミルはたくさん種類がありますが、どのように選定するのか教えてほしいです。 Answer 加工用途と被削材、加工制約による刃寸法と外形状寸法から選定します。また、効率的な加工を行うために、刃数・ねじれ角・コーナー形状を選びます。 エンドミル選定に必要な仕様と選定内容を、以下に記載していますのでご参照ください。 エンドミル選定に必要な仕様と選定内容 ①加工用途の選択:加工形状に応じて選択します。
- [2023/11/28公開] Question エンドミルの母材と特徴 使い分けを教えて エンドミルの母材はさまざまな種類があるようですが、特徴や使い分けを教えてもらえますか? Answer エンドミル母材の種類と特徴、主な被削材を以下に記載しますので、加工用途に合った母材を選定してください。
- [2023/11/28公開] Question エンドミルでの高速ミーリングのメリットを教えて 切削条件で標準条件と高速条件がありますが、なぜ分けているのでしょうか?切り屑排出量を計算すると標準条件のほうが多いようでした。加工時間が遅い高速条件にはどういったメリットがあるのか教えてもらえますか? Answer エンドミルでの高速ミーリングは、工具の長寿命化と高精度加工によるトータル工数低減のメリットがあります エンドミルでの高速ミーリングとは、高硬度鋼材などにおいて切込み量と送り量を抑制し高速の回転速度で加工することで、高精度かつ工具寿命特性を高めた切削技術です。高速の回転速度で切込み量を少なくすると、刃先熱と刃先の切削負荷が低減し、エンドミルの寿命が延びます。また、高硬度鋼における高精度かつ高能率切削の実現で、例えば、金型の磨き作業を大幅に短縮できるなどのトータル工数の低減効果が期待できます。
- [2023/7/3公開] Question 直刃エンドミルとは何ですか?メリットや用途を教えてください。 エンドミル選定相談時に直刃なら対応可能と言われたことがあります。 直刃エンドミルとは何ですか?どのようなメリット・デメリットがありますか? Answer ねじれのない(ねじれ角=0°)エンドミルを直刃エンドミルと呼びます。 下図のように側刃にねじれ角を持たないエンドミルを直刃エンドミルと呼びます。 直刃のメリット・デメリット(ねじれ刃と比較) 直刃エンドミルはねじれ角を有するエンドミルと比較すると以下のメリット・デメリットがあります。
- Question 超硬ボールエンドミルを再研磨に出す時の最適な摩耗状況を教えてほしい 社内規定で一定加工時間にて再研磨に出しているが、個人的にはまだ使える気がしている。また、R部の摩耗や欠けが大きいと想定より研磨代が高く、研磨不可などが発生している。 再研磨に出す最適な摩耗状況がわかる基準があれば知りたい。 Answer 超硬ボールエンドミルの再研磨に出す最適な摩耗状況 下記の3つのポイントを参考に、再研磨に出すタイミングを検討してみてください。 摩耗幅は0.4~0.8mmであれば切断せずR部のみの研磨で対応可能(図1-1) 摩耗幅が0.2mm未満であれば再研磨は対応可だが、中仕上加工レベルならそのまま使用可能(図1-2) 欠け含め先端摩耗が1mm以上になる場合は切断が発生しコスト増(図1-3) 切断後にR研磨を再現する十分な刃長が取れない場合は再研磨不可(図2) 図1 刃の摩耗の正面図タグ:
- [2022/02/20公開] Question エンドミルに中ベコとフラットという説明の記載がありますが、どういう意味ですか? スクエアエンドミルや自由指定直刃エンドミルには中ベコやフラットというものがありますが、どういう違いでしょうか。 また、どのように使い分けをするのですか? Answer 中ベコ・フラットとは、底刃の形状のことです 底刃の形状の違いを表しており、用途によって使い分けます。 それぞれの特徴や使い分けのポイントは、以下の通りです。 スクエアエンドミルの中ベコとは 中ベコとは、すかし角と呼ばれる底刃を中心に向けて1~3°程度へこませて、逃がしている形状のことです。 切りくずの排出性をよくし、また切削抵抗も少ないので、特に記述がない限り一般的なエンドミルは、中ベコ形状になっています。 図1.底刃が中ベコのスクエアエンドミル
- Question ねじれ角の違うエンドミルをどのように使い分ければよいか? エンドミルのねじれ角は30°・45°・50°と種類がたくさんありますが、どのように使い分ければよいでしょうか? Answer ねじれ角の効果 エンドミルのねじれ角が大きくなると、ワークと切れ刃の接触長が長くなり、単位長さ当たりの切れ刃にかかる負荷が減少するため、工具寿命に有利になります。反面、切削抵抗は大きくなるため、保持剛性の高いホルダの適用など配慮が必要です。
- Question エンドミルのヘリカル加工やトロコイド加工とは? エンドミル加工で、ヘリカル加工とかトロコイド加工などを目にしますが、どういった加工なのでしょうか? Answer エンドミルのヘリカル加工やトロコイド加工とは エンドミルで形状加工する時の、エンドミルの動き方(ツールパス)の1種類のことです。 同じ形状を加工するときでもエンドミルを動かす様々な方法があり、加工法によって加工時間や工具の寿命が異なる場合があります。 ヘリカル加工やトロコイド加工を含め、代表的な5つのエンドミルの加工方法をご紹介致します。
- Question 5軸制御のマシニングセンタを有効活用する為の工具選定方法と使用する上でのポイントを教えてください。 Answer 5軸制御マシニングセンタのメリット・デメリット 5軸制御マシニングセンタでは、3軸の加工では難しい形状、段取り替えを必要とする加工などを、高効率、かつ同一の段取りで切削加工が可能になります。その結果、工程の簡素化、治工具の省略、高精度化などの効果が期待できます。反面、NCプログラミングが複雑になったり、加工形状によっては工具の突き出しが大きくなるなどのデメリットが考えられ、これらの対応が必要になります。
- Question スクエアエンドミルのピンカド、アタリ付の違いは? スクエアエンドミルには、ピンカド、アタリ付の2種類がカタログに記載されていますが、何が違うのですか? また、どのように使い分ければ良いのですか? Answer ピンカド、アタリ付の違い ピンカドは刃先先端まで刃を付けており切削能力が高くなっております。アタリ付は、刃先先端部の厚みを残しています。この効果によりアタリ付は、ピンカドと比較して刃先強度が強くなります。お客様の使用条件に合わせて2種類の刃先からお選びいただきご使用ください。
- ソリッドエンドミル 四角い金属を加工する工具です。 特長 一体型エンドミルで、切れ刃とシャンク(エンドミルの柄部)が一体型で、切れ刃交換式(スロアウェイ)とは逆に刃部が摩耗すれば再研磨、再コーティングして使用可能です。 ハイスエンドミル 一般的に幅広く使用されています。超硬エンドミルに比べ安価なため、一般被削材における少量多品種の切削で、コストパフォーマンスに優れ、高いニーズがあります。
- Question エンドミルのすくい角ネガティブ形状・ポジティブ形状の違いは? エンドミルのすくい角にポジ形状・ネガ形状と記載されているものがありますが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか? また、加工するにあたりどのように使い分けるのがよいですか? Answer 加工用途により、適材適所な対応が必要 刃先への切削抵抗が少ないポジティブ形状が一般的ですが、高硬度鋼加工などには、刃先強度が必要なため、ネガティブ形状のすくい角のエンドミルを選択される事をおすすめします。
- 工具劣化や、精度が出ないなど、ドリル加工の「困った問題」について、改善方法をご紹介いたします。
- 切削工具選定時に、「コーティング」の有無で悩むことがあるだろう。コーティングされた切削工具を適切に使用すれば、工具の長寿命化などの効果が見込める。ここでは切削工具のコーティングの基本的な効果と、選定のポイントを紹介する。 切削工具のコーティングって必要?期待できる4つの効果とは コーティング工具の選定は、加工内容、被削材との相性を考慮することが重要 切削工具のコーティングって必要?期待できる4つの効果とは 切削工具の母材に限らず、物質には「硬さ」と「じん性」の関係がある。「硬さ」と「じん性」は、反する性質であり、両方を兼ね備えた「1つの物質」はない。しかし、昨今の高能率な加工に必要な工具には「硬く、ねばい(欠けにくい)」性質が求められる。それを両立させるために、コーティングが開発されるようになった。つまり「じん性がある母材」に「硬さをもつコーティング」を施す方法で両立させようということだ。もちろんコーティング自体も、硬ければ硬いほど、もろく欠けやすいものになる。タグ:
- Question 粉末ハイス鋼とハイス鋼エンドミルの違いがわからない ハイスと粉末ハイスの2種類があるようですが、どちらをどう使い分ければ良いかわかりません。 そもそもこの2種類は何が違うのでしょうか? 粉末ハイスの方が高価なので耐久性も高いのでしょうか?タグ:
- Question 刃数・刃長の違うエンドミルをどのように使い分ければよいか? エンドミルのカタログには、刃数や刃長の違った商品がたくさん載っていてどれを選べばよいのか迷ってしまいます。どのように使い分けるのがよいでしょうか? Answer 刃数の選び方 エンドミルの切削方式により刃数を選択します。例えば、切り込み幅と工具径が同一の溝切削では、大きなチップポケットが必要なため、一般的には2枚刃のエンドミルが用いられます。切り込み幅の小さい側面切削では工具剛性を優先して多刃のエンドミルを選択するのがよいでしょう。タグ: