メカニカル部品
- シャフトの取付け方はシャフトホルダの設計できまります。シャフトホルダの設計は機構部全体の構造から組立・解体メンテナンスのし易さや、全体の大きさの制約などによります。 (1)シャフト取り付けるベースプレートの基準面 シャフトは直動体を精度よく動かすために、基準面に対して平行に取付けます。一般的には、この基準面は、シャフトを取り付けるシャフトホルダなどの固定板(ベースプレートなど)の上面と一方の端面が基準に採用されます(【図1】参照)。 (2)シャフトホルダとシャフト端部形状 シャフト端部形状は、全体の機構部構造の関係で選定します。
- 電着塗装は、カチオン型とアニオン型に大別できます。【図1】に示すようにカチオン型は、被塗物(ワーク)を陰極(−)にし、対極を陽極(+)にするのに対し、アニオン型は被塗物を陽極に、対極を陰極にします。 被塗物を電着塗料水溶液中に全没し、整流器から直流を印加しますと、イオン性をもった電着塗料粒子が電気泳動して析出します。析出した塗料は、イオン性を失い不溶性となるため非電導性の皮膜抵抗を示します。そのため、被塗物の形状が複雑であっても均一な薄膜塗装が行えます。 カチオン型電着塗装は、被塗物が陰極(−)になるので素地金属の酸化溶解変色などが起りませんが、アニオン型では、これらの反応が起り、銅・黄銅・銀めっきなどの塗装には使われません。
- 棒形状のシャフトは機械加工で最も外径精度を出しやすいシンプルな形のため、高い精度の直動案内に使用されます。ミスミのシャフトは次の特徴を持っています。
- アルミニウムは防食性を有す軽金属材料の代表です(比重は2.7で鉄材の約1/3と軽い)。また、延性が大きい特徴から引抜き工法でアルミフレームを製作したり、合金として強度向上させ構造材にも使用されます。LCA(ローコストオートメーション)に使用する代表的アルミ材は、A5052−H34(板材)とH5056−H112(丸棒)です。ともにAl−Mg合金で溶接性、切削性に優れるので多用されます。 LCAで使用する場合は、次の特徴を利用しています。 (1)軽量化 稼動部を軽量化し、直動案内・ボールねじ・モータ等を小型化させます。 人手で扱う治具類を軽量化し、疲労度を軽減化させます。タグ:
- 焼入れの質量効果(Mass Effect)と材料選定 質量効果とは、材料の質量差によって焼入れ硬さに変化が生じることです(【図1】参照)。内部と外部に熱処理効果に差が生じる現象でもあります。ある厚さを持つ構造材で強度を大きくしたい場合は、炭素鋼を選定せずに合金鋼を選定し、焼入れの質量効果による悪影響を避ける場合があります。【表1】は機械構造用炭素鋼と合金鋼の質量効果の比較です。 水冷の場合、機械構造用炭素鋼S55Cを選定すると、焼入れ効果は42mm厚さが限界ですが、ニッケルクロム鋼では60mm厚さまで、クロムモリブデン鋼は80mmまで焼入れ効果が入ります。素材の材料費を安くするために、炭素鋼で厚さに余裕を持たせる設計の考えもあります。ただし、焼入れ素材が大きくなると、急冷後に材料に大きな変形を生じたり、焼割れの危険性を伴なうために合金鋼を選ぶ考えもあります。タグ:
- 焼入れの効果と熱処理プロセス、材料選定の考え方などを紹介します。 鋼を焼入れ温度に加熱し、水または油の中などで急冷すると、硬さや引張り強さが増大します。しかし、材料によっては焼入れのみでは脆くなるので、焼入れ後に焼もどし処理を行ない、硬さ、引っ張り強度、強靭性を確保します。 (2)焼入れ処理の問題 鋼の場合、一般的な焼入れ温度は800〜900℃で加熱し、水中か油中で急冷、ある程度冷えた時点で水中から引き出し油冷か空冷で除冷させます。しかし、材料の大きさ、形状の違い、含有元素の違いなどで焼入れ効果に差異が生じたり、部品形状が変形するなどの問題が生じます。LCA(ローコストオートメーション)設計における部品の形状(厚さ、形状)や材料選定との関係で基本を理解しておくことが必要です。タグ:
- 焼なましの効果と熱処理プロセスの代表例を紹介します。 (1)焼なまし(Annealing)の効果 焼なましは焼鈍とも呼ばれ、鋼の軟化、結晶組織の調整、内部応力の除去などが焼なましプロセスの効果です。 (2)焼なましの熱処理プロセス 焼なましプロセスには、<1>完全焼なまし、<2>二段焼なまし、<3>球状化焼なまし、<4>応力除去焼なまし、などの数種類の熱処理プロセスがあります。以下に代表的な焼なましプロセスを解説しました。 (1)完全焼なまし(Hull Annealing) 結晶組織の調整や完全軟化が完全焼なましの狙いです。焼なまし温度で材料の結晶組織を完全にオーステナイト化させ一定時間保持した後に、常温までを炉中でゆっくり除冷する熱処理プロセスです。その結果、鋼は結晶組織が調整され軟化しますが、高炭素鋼の場合は充分に軟化しないことがあります。タグ:
- ワーク搬送コンベア(【写真1】)の、移動中の位置決めプッシャの機能は、次工程での作業のためにワーク位置や姿勢を整えることです。特に、次の工程が自動化・半自動化機構を用いる場合は必要です。タグ:
- ワーク搬送コンベア(【写真1】)の移動中のワーク検出方法を事例に、光電式非接着センサの使い方を解説します。 移動中のワーク検出 ワーク検出には、1.接触検出、2.非接触検出、3.密着検出の3方式がありますが、移動中のワーク検出には下記の特徴から、非接触方式を採用します。 a)ワークに害を与えない b)機械稼動中にワーク検出できる 反面、センサ周辺の機械部品形状との関係などから、検出光の思わぬ挙動により検出異常を起こすことがあり、機械稼働率の低下などに繋がるため注意が必要です。タグ:
- 軸の固定には、2本の軸を連結させる方式や、動力やトルク伝達のために軸とボスを締結させる方法があります。ここでは後者の動力、トルク伝達のための締結方法をまとめて紹介します。 (1)軸とボスの締結方法 軸に取り付けられる機械要素側をボスと呼びます。以下に軸とボスの締結方法の代表を示します。 ■キー締結法(【図1】参照)タグ:
- ワーク搬送コンベヤのベルトの動きは一定の低速運動が通常のため、ここでは駆動源として、減速比60のギヤヘッド付きインダクションモータを採用しています。この動力をコンベヤを動かす平ベルト用プーリに高効率で伝えるために、ここではチェーン伝動機構(【写真1】)を採用しています。 (1)チェーン伝動機構の特徴比較 代表的な動力伝達方式の比較表を示します。ここでは、高い伝動効率と設計のし易さ(軸間距離の自由度がある)から、チェーン伝動機構を選定。タグ:
- ワーク搬送コンベヤの場合は、コンベヤ上に搬送物を載せて移載させるため、コンベヤ裏面側に搬送物を支える構造が必要です。ここでは、コンベヤ高さに対する位置調整が簡単で、ローコストな搬送物支持部品(搬送ブラケット)を解説します。 (1)搬送ブラケットとコンベヤの配置関係 ここで事例としたワーク搬送コンベヤの場合は、次の3種類の姿勢がコンベヤ上の3箇所で生じます。それぞれの箇所で非接触センサがワークの有無を検出し、コンベヤの駆動を制御しています。したがって、センサ位置で特にワーク姿勢が安定するように、搬送ブラケットでコンベヤ下部から保持する必要があります(【図1】参照)。タグ:
- ここでは、ワーク搬送コンベヤのコンベヤ張力の調整が簡単にできる張力調整機構とその設計を解説します。平ベルトを持つ機構は摩擦伝動で回転トルクを伝達させる装置であるため、コンベヤ張力、プーリとベルトの接触角、摩擦係数が重要な設計パラメータとなります。特にコンベヤ張力は摩擦力に直接影響する項目であり、この調整が不適切な状態ではベルトの蛇行などのトラブルが多発するため、コンベヤ張力調整機構は非常に重要な機構要素です。 ワーク搬送コンベヤ保持機構の概要 コンベヤ張力調整機構の構造 ローラプレートの設計 ワーク搬送コンベヤ保持機構の概要 平ベルトはベアリングホルダセットで保持された2本の太鼓状平ベルトプーリで両端に引っ張られて張力を作り出しています(【写真1】参照)。この平ベルトプーリが平行な状態で平ベルト(コンベヤ)を張る機構設計がコンベヤ張力調整機構のポイントです。タグ:
- ここでは3ステーションの自動停止機能を持つワーク搬送コンベヤ(【写真1】)を事例に、LCA(ローコストオートメーション)の機構設計を解説します。 (1)ワーク搬送コンベヤを構成する主な機構要素 コンベヤ上に運ばれてきたワークを位置決めし搬送する簡易自動機(LCA)で、例えば、搬入—位置決め/検査ー排出前停止などの一連の操作のための補助装置として応用できます。次の機構要素で構成されています。タグ:
- X-Yテーブルの直角組付け方法-2(動きを持つ構造設計-29)にて選定した、組付け精度に関連する3部品の寸法指示法を解説します。 (1)各部品の組付け基準を一致させるとは (2)各部品の寸法指示法(【図1】【図2】参照) 複数部品の寸法指示基準面を一致させて設計することで、組付け後の精度保証が可能となります。 ここでは、X軸ユニットとY軸ユニットを直角に組付けるための3個の部品に対して、それぞれ基準面A、A'、A'' の各面を用いて組付け寸法を設計することで、組付け後の精度保証を実現しています。タグ:
- 再度、高精度組付けが熟練を要さずに出来る設計図面の作成の流れを整理しました。 事例解説 上のa〜dの流れに沿って解説します。 (a)精度を要する装置部位の抽出 ここではX-Yテーブルです。 (b)組付け作業を構想(【図1】参照)タグ:
- 組付け精度の実現アプローチ 組付け精度の出しやすい設計とは(【図1】参照) 何故、組付け精度の出しやすさを図面に盛込むのか? どのように部品図面に組付け精度を盛込んでゆくのか?(【図2】参照) ここで事例としている簡易自動機(LCA:ローコストオートメーション)は、X軸(下段)とY軸(上段)の2個の直動ユニットを直角タグ:
- ここでは、ボールねじの両端軸受の構造と設計のポイント、便利な調達法を紹介します。 (1)ボールねじ軸の両端支持法 ボールねじ軸の支持方法は、固定—固定、固定—支持、固定—自由の3種類がありますが、一般的には固定側と支持側の両端支持法です。それぞれボールねじにモーメント荷重、ラジアル荷重が過大に負荷されないよう軸受との組付け精度が重要です。 固定側では軸受内輪をはめあい寸法で軸に固定し、外輪を軸受ホルダー(サポートユニット)に固定して軸方向の移動をなくします。アンギュラ玉軸受を選定して、ラジアル荷重とアキシャル荷重を受けます。 支持側では、軸の温度上昇による軸の伸縮を逃がすために、軸受の保持構造をフリーにしています。(【図1】参照)
- 回転モータの回転トルク(力)や回転数(移動距離)をボールねじに正確に伝動させる場合、採用した伝動機械要素の特徴で組立作業の難易度、精度、寿命/信頼性などが変わってきます。ここでは、カップリング継手について解説します。 (1)カップリングの役割 回転モータとボールねじの2本の軸を連結させる場合、初期状態(静止状態)で如何に高精度に連結させても、可動状態では次のような連結状態の変動要因があります。 運転中のボールねじのたわみ 2本の軸の熱膨張による軸の変形と変形応力 ボールねじの支持部(サポートユニットなど)の変形 長時間使用後では軸受けの磨耗による摩擦抵抗の偏り したがって、剛体で2本の軸を連結する方式ではなく、伝動機械要素が1.〜4.の変動要因を解消させるたわみ軸継手(カップリング)を採用します。
- 高速で繰り返し運動をする可動体に配線が必要な機構(X-Yテーブルの上層軸、リニアモータのコイル可動体など)では、配線接続部の断線事故を防ぐための工夫が必要です。さらにこの可動体がエアーシリンダや位置計測用リニアエンコーダなどを搭載している場合は、複数本の配線が運動の邪魔にならぬよう処理が必要です。通常はケーブルキャリア(ケーブルベアとも呼びます)を使って、可動体の配線処理を行います(【写真1】参照)。 ケーブルキャリアは、可動体の配線部の信頼性を向上させる反面、ケーブルキャリア自体の変形抵抗力が可動部の運動精度の劣化要因に繋がる可能性があります。次の項目に注意が必要です。タグ: