焼入れの効果と熱処理プロセス、材料選定の考え方などを紹介します。
鋼を焼入れ温度に加熱し、水または油の中などで急冷すると、硬さや引張り強さが増大します。しかし、材料によっては焼入れのみでは脆くなるので、焼入れ後に焼もどし処理を行ない、硬さ、引っ張り強度、強靭性を確保します。
(2)焼入れ処理の問題
鋼の場合、一般的な焼入れ温度は800〜900℃で加熱し、水中か油中で急冷、ある程度冷えた時点で水中から引き出し油冷か空冷で除冷させます。しかし、材料の大きさ、形状の違い、含有元素の違いなどで焼入れ効果に差異が生じたり、部品形状が変形するなどの問題が生じます。LCA(ローコストオートメーション)設計における部品の形状(厚さ、形状)や材料選定との関係で基本を理解しておくことが必要です。
(a)焼入れ処理のプロセス
■焼入れ処理のプロセス
・ | 熱処理は、加熱を「赤める」、冷却を「冷やす」と呼ばれていました。 | |
・ | 焼入れの「赤める」プロセスの条件項目は、<1>温度(変態点以上)、<2>加熱速度(ゆっくり、急速)です。 | |
・ | ゆっくりな加熱速度には一般的な電気炉、急速加熱には高周波熱処理装置、炎熱処理装置などを使用します。 | |
・ | 焼入れの「冷やす」プロセスは、早くです。 |
(b)焼入れ処理の問題とその現象
焼入れ処理の代表的な問題は、<1>焼入れ効果の度合い(焼入れ性)、<2>焼入れによる形状変形、<3>焼割れがあります。
【図1】焼入れ影響因子と現象
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