メカニカル部品
- 転がり軸受は製品の負荷能力(寿命や定格荷重など)の計算方法が確立され、ISOに採用されておりJISもこれに従っています。しかし、リニアモーションガイドは統一規格がなく各社各様ともいえます。転動体(ベアリング)と軌道溝(レール)との接触のメカニズムは両者同じです。ここでは、代表的なリニアモーションガイドの負荷能力を現す言葉について解説します。 (1)寿命 リニアモーションガイドをある荷重のもとで連続運動(直進往復)すると、繰り返し応力のためにレール上の軌道面やベアリング表面に疲れ剥離が生じ、それ以上使用できなくなります。この状態にいたるまでの距離(または時間)で寿命を現します。 多数の同じリニアモーションガイドを同一条件で運動させたとき、90%のリニアモーションガイドが損傷を起こさずに運動できる距離(または時間)を定格寿命といい、次の式で求められます。
- リニアモーションガイドはベアリングがリニアモーションブロック内部に格納されているため、異物の侵入防止に優れており、潤滑特性の異なるグリス選定により特殊環境(クリーンルーム、耐食防錆、高温、真空など)での使用に適しています。 (1)防塵対策 リニアモーションブロック内部に異物が侵入しないように、エンドシールやサイドシールが装着されます。特に異物が多い環境では、二重のエンドシール構造を採用します。さらに厳しい性能の要求には、高防塵シールやレールカバー用ジャバラを採用します。
- 直線案内レールは、取付面基準に対して垂直方向、水平方向の2方向にねじ締付けにより固定されます。この直線案内レールは長い弾性体なので固定用ボルトの締付け力により変形を生じうねり誤差になります。ここでは、垂直方向、水平方向それぞれのねじ締付けのノウハウを解説します。 (1)レールの垂直方向の取付方法 リニアモーションガイドの垂直方向の運動精度は、2個のモードから成っています。(【図1】参照)
- スライドガイドの直線しゅう動精度は、リニアモーションブロック(スライダー)を案内するレールの精度とほぼいえます。しかし、このレール精度は、それを固定する取付面の形状から直接の影響を受けます。したがって、レール精度を忠実に得るためには、取付面の真直度・平行度などを充分な精度にしなければなりません。ここではスライドガイドの2つの取付面(レール取付面、スライダー取付面)の設計を解説します。 (1)2つの取付面の基準面高さとすみ(コーナー部)の形状(【図1】参照) 取付面にレールまたはスライダーを正確にアライメントし固定するために、取付面コーナー部に逃げを持たせるか、レールとスライダーの各C面寸法より小さなコーナー部半径に加工すること(【表1】参照)。
- ここでは、下記の特徴を持つリニアガイド(循環ボールタイプ)の基本構造を解説します。 高剛性 長寿命で高精度 静かで滑らかな作動 優れた振動特性 (1)基本構造と性能 基本構造は、1. 直線案内レール、2. ブロック、3. 転がり軸受用ボールで構成されています。この構造に、防塵性やクリーンルーム対応のためのシール用プレート類や滑動性能向上のためのボールリテーナなど、仕様に応じた各種製品が選択できます(【図1】参照)。さらに、直線しゅう動条件や荷重に対し案内精度を得るために、必要に応じて2本レール構造や複数個のブロックを採用します。
- シャフトとリニアブシュの組み合わせの直線しゅう動案内機構は、非常に多用されます。LCA(ローコストオートメーション)メカニズム例を参照して下さい。 シャフトとリニアブシュには、それぞれ取り付け加工を必要としますが、標準品(例えば、ミスミFAメカニカル標準部品)に合わせて取り付け側の構造設計をするのが低価格化のポイントです。 下記は標準部品選定時の代表的機種例と用途の特徴の解説です。
- 固体と固体が接触して動く時には摩擦力が生じます。この摩擦力は潤滑油などで適切に処置しないと、次のようなトラブルに繋がります。 固体と固体の摩擦により焼き付きを生じる。 磨耗を生じ、だんだん磨耗が激しくなる。 動力損失が大きくなる。 したがって、摩擦・磨耗をうまく制御することが重要です。 (1)摩擦について 摩擦の種類は次の2つがあります。 a)すべり摩擦 b)転がり摩擦 すべり摩擦は、平面拘束案内やスキー、そり等に生じる摩擦の形態です。【図】は古代エジプトの壁画です。大きな石像をそりで運搬している様子です。中央の1人がそりの前方に油をたらし、摩擦力を小さくしているのが解ります。
- しゅう動案内の基本構造は、移動の軌跡を拘束する案内(軸、レールとも言います)と可動体(軸受けとも言います)で構成され、次の性能が要求されます。 可動体重量をささえる。 可動力が小さく安定している。 高速運動や急停止運動の条件下でも狙った案内精度を長期間安定して保証する。 1、2は静的性能(運動を伴なわない性能)、3は動的性能(運動を伴なう性能)で、それぞれ下記項目に関する基本知識が構造設計としゅう動案内の選定時に必要です。 ここでは代表的な直線しゅう動案内、回転案内、曲線案内について解説します。
- 工場レベルやフロアー単位での配管径の設計は、現在のみならず将来の需要予測を想定して選定します。また、長年使用すると管の内壁にスケールやちりが付着するため、流量効率が低下する傾向になります。このようなことから、一般には現状の必要規模に対する配管径よりひとまわり大きな管径が採用されます。 おおよそ、管径をひとまわり大きくすると、気体流量は約3倍流れることに対して、管の材料費増加率は約50%です。このため大きな管径の選択が一般には有益といえます。 管径の設計のポイントは、全配管系を配送管系と操作管系の2グループに分け、次の項目について設計・選定することです。 圧送する空気量 空気圧機器で使用する最高使用空気圧力 配管の長さ 配管中の継ぎ手類とその数 配送管系と操作管系の設計について、それぞれ解説します。
- 生産工場では、空気圧エネルギーは無償(タダ)のように受け止められがちで、そのために空気圧システムの配管設置は意外に手抜きの状態にあるようです。しかし空気圧配送管システムの設計の良し悪しにより、供給される空気質や空気圧力ロスなどは大きな影響を受け、工場レベルでの機械類の稼動不安定に繋がることがあります。ここでは空気圧システムの配送管設計について、2回に分けて解説します。 (1)配送管の設計 (1)工場レベルやフロアー単位の配送管設計の基本 一般的工場でのフロアー単位用配送管には、下記の特徴を持つ「ループ方式」(【図1】参照)が採用されます。
- 空気圧回路と制御技術の基礎について、LCA(ローコストオートメーション)を使用する工場の場面を想定して解説します。 「空気式アクチュエータ用クリーンエアーシステムの解説」でクリーンエアーシステムの全体の解説を行ないました。ここでは、クリーンエアーシステムの先に接続する方向制御弁や、速度制御弁などの制御機器空気圧機器や、空気圧シリンダなどの空気式アクチュエータ(駆動機器)を回路図として著すJIS規格のシンボル記号を解説します。 (1)空気圧基本回路 一般的に使用される空気圧機器のシステム例を【図1】に示します。
- 複数の空気圧シリンダを組合せて多機能化した複動シリンダには、両ロッド型、多位置型、デュアル型、耐横荷重型、ロングストローク型などの種類があります。ここでは、2本のシリンダを背中合わせに連結したデュアル複動型シリンダ(【図1】)を例に、推力方向制御や2段・3段の多段位置制御の仕組みを解説します。 (a)推力方向の変更を伴なう多段位置決め制御の例
- 空気圧シリンダの動力を生む、空気の供給状態を制御する機器に、電磁弁があります。この電磁弁に供給する、空気圧のタイミングや圧力値をシーケンスプログラムにより制御し、空気圧シリンダの推力方向や停止位置、駆動速度などが制御できます。ここでは、空気圧シリンダによる、多段位置決めと推力制御を解説します。 位置決め制御の例 2本のシリンダを直列に連結した構造を持つ、多位置型シリンダ(【図1】)があります。このシリンダにより、2ポジションの位置決め、制御や推力を大きくした駆動制御が可能です。 (a)2ポジションの位置決め法 3カ所空気供給ポートへの空気圧の供給を変更することで、2ポジションの位置決めが可能です。
- 空気圧シリンダを用いたLCA(ローコストオートメーション)設計時の空気圧シリンダ選定のポイントを整理しました。
- ここでは、空気圧シリンダの「作動時間が安定しない」というトラブルを例に、関連機器選定の不適切要因とその対策について解説します。 空気圧シリンダの作動時間が安定しない原因は、下記が挙げられます。 供給空気圧、供給空気流量 空気圧シリンダの内部抵抗増大 空気圧シリンダの負荷率 空気圧シリンダのクッション機能 外部抵抗、外部機構の影響 ここでは、上記の3.、4.を解説します。(1、2については「1軸しゅう動機構設計のポイント」、「空気式アクチュエータ用空圧回路のトラブル対策」にて解説しています。)
- 1軸のしゅう動案内のLCA(ローコストオートメーション)は、前回の【表1】に示したように使い易さ(保守容易)の点で空気式のエアーシリンダが多用されています。反面、保守容易の特徴は初期設計の段階で盛り込まれるべき予防保全の設計が、往々にして不完全である結果をまねいているようです。 ここでは、空気式アクチュエータを使用する場合のトラブル事例と、その対策のための機構設計のポイントを解説します。 (1)空気式アクチュエータ使用上のトラブル原因 空気式アクチュエータのトラブル要因と、その発生源(対処すべき担当部署)は下記があります。タグ:
- 1軸のしゅう動案内を持つ手動式の機構部にアクチュエータを用いて、LCA:ローコストオートメーション化(簡易自動化)することを考えます(【図】参照)。「簡易組立治具のワークホルダ」では、手動でワークホルダを移動させることを前提としたため、しゅう動案内の機構設計やしゅう動部部品材料選定など耐久性について考慮していません。しかし、アクチュエータを用いたLCAの場合は、信頼性設計を重視しなければなりません。 ここでは、1軸のしゅう動案内をミニチュアリニアガイドに変更した構造で解説を進めます。タグ:
- ここでは、ワークホルダ構造を持つ簡易組立治具(【図1】)を例に、さらにワークホルダの解説を加えます。 この構造は、ワークホルダ機能を持つセット治具がY軸方向に手動にて位置決めが可能で、Z軸方向にブッシュ式の可動案内を持つ標準的な簡易組立作業用治具です。この構造における標準部品の仕様選定の解説を行います。タグ: