ここでは、ワーク搬送コンベヤのコンベヤ張力の調整が簡単にできる張力調整機構とその設計を解説します。平ベルトを持つ機構は摩擦伝動で回転トルクを伝達させる装置であるため、コンベヤ張力、プーリとベルトの接触角、摩擦係数が重要な設計パラメータとなります。特にコンベヤ張力は摩擦力に直接影響する項目であり、この調整が不適切な状態ではベルトの蛇行などのトラブルが多発するため、コンベヤ張力調整機構は非常に重要な機構要素です。
ワーク搬送コンベヤ保持機構の概要
平ベルトはベアリングホルダセットで保持された2本の太鼓状平ベルトプーリで両端に引っ張られて張力を作り出しています(【写真1】参照)。この平ベルトプーリが平行な状態で平ベルト(コンベヤ)を張る機構設計がコンベヤ張力調整機構のポイントです。
コンベヤ張力調整機構の構造
【写真2】がコンベヤ張力調整機構の拡大写真です。平ベルトを保持する平ベルトプーリとそのベアリングホルダセットのユニットを調整用の板(ローラプレート)上に配置させ、ローラプレート平行に位置調整できるアジャスト機構を設けています。このアジャスト機構はミスミのFA標準部品(アジャストボルト用ブラケット、アジャストボルト、位置決め調整ねじブロック)で構成が可能です。
ローラプレートの設計
標準部品以外の1部品の参考図を【図1】に示しました。
この構造により、組立調整とメンテナンスの容易性が、標準部品を採用することでローコスト化が得られます。