窓ガラスや眼鏡などの透明材料が、湿気や蒸気のために曇るという現象は、日常よく経験しますが、これは単に不便であることばかりでなく、時には重大な事故につながる恐れもあります。
これらの曇りは、ガラスの表面が疎水性のため水滴が形成され、それによって光が拡散・屈折・反射することによって起こります。したがって、これらの表面を親水性にすれば、水滴の接触角は小さくなり、水は表面に拡散し、連続層となりますので曇りは発生しません。
ガラスやプラスチックが曇るのは、表面の温度が露点以下に下がって、空気中の水分が細かな水滴となって付着し、これが光の乱反射を起こすために生じます。防曇方法としては【表1】に示す方法が採用されています。
【表1】防曇方法
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防曇塗料の一例を示しますと、耐水性の優れた架橋性ポリマーとポリエーテルポリオールを主成分とし、これに界面活性剤などを加えたものがあります。ポリエーテルポリオールによって親水性になった膜は、水分を吸収することによって防曇性を発揮します。さらに吸湿飽和点に達した場合でも、界面活性剤の働きによって水滴が濡れて広がることにより透明性が確保されます。
一般に界面活性剤は、水に溶けやすく、水とともに失われて防曇性が低下する恐れがありますが、各種の界面活性剤を数種類配合することによって、防曇性が維持されます。
防曇効果の評価方法としては、[1] −10℃の恒温恒湿槽に入れた試料を30℃65%RHの恒温恒湿槽に入れて曇りをみる。[2] 10℃65%RHの恒温恒湿槽に入れた試料を40℃65%RHの恒温恒湿槽に入れて曇りをみる。[3] 90℃の蒸気に当てて濡れの干渉縞ができるかどうかをみる方法などがあります。