夏の暑い日、締め切った風通しの悪い部屋に入ったときや、屋外に駐車した車のドアーを開けたときなど猛烈な熱気を感じることがあります。 これらは、屋根や壁などの構造物や自動車のボデーを構成する材料が【図1】に示すように、太陽光中に含まれる光エネルギーのうち約50%を占める780〜2100nmの波長領域である近赤外線を吸収し、熱エネルギーに変換されることによって起こります。 したがって太陽熱を遮蔽する塗料は、熱エネルギーの原因である近赤外線を反射する機能をもつことが必要で、これによって熱を内部に伝えにくくすることになります。 |
遮熱は、近赤外線領域の反射性の高い着色顔料を使用することによって熱線を反射させ内部への侵入を防いでいます。従来塗料と太陽熱遮蔽塗料(商品名:日本ペイント製・ユニフロン)の分光反射スペクトルを【図2】に示しました。従来塗料の反射率は10%以下なのに対して、太陽熱遮蔽塗料のそれは70〜80%と高い値を示しています。 |
従来塗料と太陽熱遮蔽塗料の遮熱効果を比較しました。色相をN-9からN-1と変えた塗装鋼板を作製して実験しました。実験は天井のない四角の木製ボックスの上部に塗装鋼板を置き、上部15cmの距離から200Wレフランプで30分間照射しました。こうして、屋根の表面温度を想定して塗装鋼板の表面温度と、ボックス内の空間温度を測定して、【表1】に示す結果を得ました。
【表1】日射反射率と遮熱効果
|