夜間の安全運転に欠かせない路面標識用として、ガラスの微小球を厚膜塗膜に含有させた、光反射塗料が用いられています。これは再帰反射という現象を利用したものですが、平面の方向に関係なく、平面に投射された光が、その平面によって反射されて、光源の方向に再び投射される現象をいいます。
道路標示には、次のようなものがあります。
1. | 路面表示:車道センターライン、外側線、横断歩道、停止線、図示など | |
2. | 垂直面表示:高欄、鉄道橋の橋脚、電柱、ガードレール、カーブのコンクリート壁など | |
3. | 縁石表示:駐車禁止、停車禁止など |
これらの道路標識塗料には、速乾性、耐候性、耐汚染性、夜間視認性などの機能が要求されます。道路標識塗料は、表1に示すように炭酸カルシウムなどの体質剤、二酸化チタン(白)などの顔料、ガラスビーズなどの反射剤、樹脂などの結合剤、大豆油などの可塑性付与剤、シリカ・ワックスなどの沈降防止剤、白色性向上剤、粘着性防止剤などにより構成されています。
また、塗装時の形態から、常温型、加熱型、溶着型などがあり、膜厚は、常温型で0.12〜0.2mm、加熱型で0.25mm、溶着型で1.5mm程度であります。
【表1】道路標識塗料の配合例
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光反射塗料は、固着力、耐候性、有効寿命、施工中のタイヤなどによる持ち逃げ、施工速度、塗料膜厚、乾燥時間、白さ、夜間反射、磨耗性、チエン車・除雪車によるはがれ、トータルコストなどで評価されます。
しかし、従来の方法では降雨時に、塗面上のガラスビーズの上に雨水がたまり、冠水してしまうと、光が乱反射して再帰反射が得られなくなりますので、高屈折率ガラスビーズや大球ガラスビーズの採用などが検討されています。