この塗料は、古くから電気・電子機器に使用されている電線やコイル・コンデンサーなどに使われてきました。この塗料は電力用とエレクトロニクス用に大分できます。
電力分野のコイル含浸用にワニスが使われます。これにより機器の小型化、軽量化、信頼性向上などの特性向上や、コストダウン、省エネルギー化などが図られてきました。小型電源トランスのコイル含浸用には、不飽和ポリエステル系の塗料が使われています。これは硬化後の削り取りなどの作業性がよいからです。
通信機器、家電製品などに広く使用されている塗料に、ポリウレタン系絶縁塗料があります。この塗料は、その皮膜が耐薬品性・電気的特性に優れ、しかも塗膜を剥離することなしに、はんだ付けができるためです。
また、この塗料の生産性や信頼性を高めるために改良された、塗装作業性やはんだ付け性に優れたポリウレタン塗料もあります。例えば、直径1mmに施した焼付けエナメル線は、可とう性、密着性、はんだ付け性に優れています。この絶縁塗料使った電線は、弱電部品の他の部品への熱の影響、作業時間の短縮、工程管理上などにおいて、はんだ付け時間が短い電線とし使われています。
耐熱性電気絶縁塗料も開発されています。モーター、トランスなどが小型化、軽量化され、連続運転などの信頼性の向上が要求されるようになり、これらに使用するエナメル線の一層の耐熱性が求められています。
一般にエナメル線は、有機樹脂を溶剤に溶解または分散させた塗料を、銅線に塗布焼付けて製造されます。その多くのものは、ポリイミドワニス、ポリエステルワニス、ポリエステルイミドワニス、ポリアミドイミドワニスや、耐熱性向上のために、これらにラダー型シリコン系オリゴマーを混合したものです。
これらのワニスを数回繰り返して銅線に塗布焼付けして、仕上げ径、導体径、皮膜厚、可とう性、熱軟化温度、ヒートショック(200℃×1hr.)、過負荷特性などを測定して完成します。
【表1】に、コイル含浸用ワニスの電気的特性の一例を示します。
【表1】コイル含浸用ワニスの特性
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