道路や工場内の床面・通路は滑り易いと交通事故や労災事故のもとになります。床に静電気が発生して埃や微粒子が付着すると滑り易くなり、プールサイドが水で濡れると、同様に滑り易くなります。
滑り止め塗料としては、プールサイドでは塩素化ゴム、酸化クロム、バライト、砂系などのものが使用されていますが、素地が鉄鋼系である場合には、これらを施工する前にプライマーの下地処理が必要であります。
通路や道路の磨耗や劣化は、人や自動車のスリップ事故などの原因になるし、平滑面に水や油があるとやはり滑り易くなります。それゆえこれらには、車や人間の安全確保のために滑り抵抗が必要です。その性能は滑り抵抗係数で表示され、0.4以上、できれば0.45以上が必要といわれています。
滑り止め塗料に要求される特性は、継ぎ目のない仕上がり面、耐摩耗性、耐衝撃性、高い滑り抵抗係数、部分的な補修可能、滑り抵抗の長時間持続、耐汚れ性、付着性、耐アルカリ性などであります。
樹脂系滑り止め塗料は、一液形のものと二液形ものもがあります。一液型のものは、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ゴム系合成樹脂、着色顔料、体質顔料、滑り止め材から構成されます。二液型のものは、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、着色顔料、体質顔料、硬化剤などから構成されます。着色は、黒、グリーン、ブラウンなどが多く、滑り止め材は、けい砂、人工けい砂、ゴム粉、プラスチックチップなどであります。粗面を形成するために硬化前の塗膜面に骨材を散布することも行われています。
滑り止め塗料には美観も大切であります。レジャー施設や公共施設にはカラフルさが要求されますし、屋外テニスコートなども独特のカラーが要求されます。
屋外テニスコート用には、アクリルエマルジョンにアルミニウムシリケートや炭酸カルシウムの粗粉を分散させたものが用いられています。暗緑色のトップコートには、アルミニウムシリケート、シリカ、緑色酸化クロム、黒色酸化鉄をアクリルエマルジョンに分散させたものに、アスベストを分散した酢ビ・アクリルエマルジョンを混合したものが用いられ、低温で優れた特性を示します。
道路では、横断歩道などの案内表示にもスリップしない安全性が求められます。道路表示材に求められる性能は、夜間視認性、耐スリップ性、耐久性などのほかに、施工時の安全性、水はけ良好、スリップなし、除雪時の障害にならないことなどが求められます。