自動車、鉄道車両、船舶、機械など多くの分野で、乗り心地向上、騒音防止のために防振塗料や制振塗料が使われています。また、ビルなどには水道管、ガス管など多数の配管がされていますが、これらの配管を媒体として伝わる振動による騒音も問題になっています。さらには多数の配管を有する化学プラントでも、多数の振動が相乗して事故にならないよう防振対策は安全対策の要になっています。
防振塗料には、減衰性、密着性、作業性などの特性が要求されます。通常かなりの膜厚で使用されますので、単位面積当りの重量、価格も重要です。このほか自動車車体に使用する場合には、高度な密着性のほかに、砂漠の炎熱や寒冷地の低温に耐えることや、塗装焼付け温度に耐えることが要求されます。
防振塗料には、アスファルト(瀝青)系、エポキシ系、フタル酸系、エマルジョン系、塩ビ系などの種類があります。それらの特徴をあげると【表】の通りです。
【表】防振塗料の種類と特徴
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防振のためには厚膜が必要で、そのために多量の充填剤の添加が行われます。昔から減衰特性向上のためにアスベストが使われてきましたが、健康上使用を止めました。現在では、鱗片状充填剤、けい砂、石膏、各種繊維、炭酸カルシウム、タルクなどが用いられています。
防振塗料の代表的塗膜形成成分は、ビヒクル(アスファルト+合成高分子)、キルン灰、充填剤(炭酸カルシウム、けい酸マグネシウム、タルク、けい酸アルミニウムなど)であります。