電気を通す塗膜を形成する塗料で、電磁シールド、ラジオ波シールド、帯電防止、表面汚れ防止、電子デバイスなどで活躍しています。
電子機器の軽薄短小化、電磁エネルギーの周波数分布の高密度化、また、プラスチック材料の大幅な利用により、より効果的な総合的電磁波遮蔽技術が必要とされており、電磁波遮蔽(EMIシールド)塗料が注目されています。
電磁波シールドのためには、筐体のシールド、筐体の設計、接地の方法、ノイズフィルターの利用、配線分離、回路設計などの対策が総合的に検討されて、はじめて効果的なシールドが可能といわれています。電気的機能をもつ塗料について【表1】に概観します。
【表1】電気的機能をもつ塗料
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導電性塗料は、高分子導電体を活用した真性タイプと、導電フィラーを分散した分散タイプに大別されます。用途は、EMIシールド・RFIシールド分野、包装分野、エレクトロニクス分野、電極材料分野などがあります。透明導電膜分野でも使われています。
静電気障害防止用の包装材料としての導電包装材料が開発されており、導電塗料をコーティングした導電化技術が注目されています。導電性フィラーとしてのカーボン添加率と導電性、混練と導電性変化、導電性塗料の必要塗布量、皮膜の柔軟性、加工性、パターンコートによる帯電防止などが検討されます。プラスチック用の帯電防止透明ハードコーティング材も開発されています。
航空機分野では、導電性高分子が多用されています。高分子絶縁体は高エネルギー電子により二次電子を蓄積します。二次電子による静電ポテンシャルがポリマーの絶縁強度を超えると破壊が生じて、通常の機能を保持できなくなります。そこで導電性ポリマーの登場です。
導電性塗料の塗膜性能は、プラスチック筐体への付着強度や、ユーザーの要求特性によって決まりますが、一般的な評価方法としては、耐熱試験、耐湿試験、熱サイクル試験、塩水噴霧試験、テープ剥離試験、汚染性、金属粉の剥離、シート抵抗、シールド効果などが行われます。
導電性塗料の塗膜欠陥としては、[1] 塗料の攪拌不足のよる塗膜中の導電性フィラーの不均一性、[2] プラスチック基材に対する溶剤の不適合による塗膜と基材の割れ、[3] 高温多湿時の白化などです。溶剤の選定は、作業性も同時に検討すべきであり、また、塗料の希釈安定性も重要であります。