静電気による災害や事故には、静電引力によるものと、静電気の放電によるものがあります。
放電による事故例としては、[1] 可燃物の着火による火災、[2] 人体への電撃ショック・不快感、[3] 写真フィルムなどの感光、[4] ICなど電子機器の故障・破壊、[5] 化学装置などの誤動作・火災事故などがあります。
また、静電引力による不都合には、[1] 電子機器・同部品・精密機械部品などへのごみ・細菌・カビなどの付着、[2] 精密機械のパイプなどの詰まり、[3] シート・フィルムなどの不整(絡み合い)、[4] 糸・繊維のからまり、[5] 印刷不良、[6] 人体への不快感などがあります。
わが国では、従来これらの事故は湿度の低い冬季に発生していましたが、エアコンの普及や精密電子機器の発達などによって一年中対策が必要になりました。静電気対策の必要な分野としては、室内・床・電子機器類などでありますが、作業環境の危険・障害の程度により電気抵抗(漏洩抵抗)が、【表1】のように決められています。
【表1】作業環境と床面の電気抵抗
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静電気防止用の塗料には、次のようなものが使用されています。
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カーボン系導電性塗料の被塗物との組み合わせは、[1] アクリル塗料/被塗物ABS樹脂、PS、PPO、[2] ウレタン塗料/FRP、ポリエステル、[3] ポリオレフィン塗料/PP、FRP、[4] アルキド塗料/金属、[5] エポキシ樹脂塗料/金属、FRP、セメントなどであります。
カーボン粉は、熱にも安定で常温硬化型から熱硬化型のメラミン系など多く用いられています。
クリーンルームでは、軽歩行用や壁・天井にはアクリル系やビニル系が、重歩行用にはウレタン系や無溶剤エポキシ系が使われています。また、電子機器のプラスチック筐体の静電気防止対策には、高電導性のカーボン系塗料が用いられています。