この塗料は、EMI(電磁障害)シールド塗料ともいわれています。主として導電性塗料が使われ、電磁障害を防ぎ、EMC(電磁環境適合性)を担うものです。
電磁波のうち情報機器に関連して重要なのは、10K〜500MHz程度の帯域で、1980年代から米国、ドイツでデジタル機器についてのEMI規制が強化されました。その理由の一つに、機器筐体のプラスッチク化があります。軽量、低コストに加え生産性、デザイン、高い電気絶縁性などの点で、デジタル機器筐体の主流を占めています。しかし、その電気絶縁性であることが、電磁波に対してシールド効果がないことになり、規制強化につながりました。
EMI規制には、業務、商業用機器を対象とした「クラスA」と、家庭用を対象とした「クラスB」があります。また、これらから発生するノイズには、機器の電源用、信号用などのケーブルから伝わる「伝導性ノイズ」と、機器内部から直接空間に放出される「放射性ノイズ」があります。電磁波の発生源を
【表1】に示します。
【表1】電磁波の発生源
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電磁波シールドの方法としては、導電性塗料を塗布します。Ag系、Ni系、Ag-Cu系、Cu系などがあり、これらは、いずれも低温硬化型塗料であるので、プラスチックに適しています。バインダーとしては、熱可塑性アクリル、熱硬化性アクリル、エポキシ、フェノール樹脂が使用されます。塗膜の性質を【表2】に示します。
【表2】電磁波シールド塗装の電気的性質
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