建物や車両などの外装は、防水対策が必要です。これらの目的を果たすために防水塗料が使われていますが、水の浸入形態には二つのタイプがあることを考慮することが必要です。一つは雨水など液状の水の浸入で、もう一つは水蒸気による侵入です。侵入した水蒸気は、凝縮して水となり、汚染や腐食や電気的事故などの原因となります。
水のタイプに対する防水塗料としては、ワックス、オイル、金属石鹸などを主とした撥水性材料が使用されてきましたが、撥水性材料は雨水の浸入を防止するという意味では有効ですが、コンクリートの内部の化学変化などある状況下では重大な割れを引き起こし危険をもたらすこともありました。
そのため種々の形のシリコン樹脂に置き換わりつつあります。シリコンは液状の水に対する抵抗性が大きく、レンガ、石膏、織物、皮革などに塗布されます。しかし、水蒸気に対する抵抗性は小さく、水蒸気透過速度の値は大きな値を示します。
シリコン以外でも、シリコネート、シラン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂なども注目されています。シリコン樹脂塗料には溶剤型、水系があり、いずれも使い易い反面、中には石灰岩に使用できないものもあります。また水系塗料は高いアルカリ性を示します。
素地表面を水蒸気の侵入から守るためには、合成樹脂塗料は完全ではありません。その理由は、塗膜を水蒸気が透過するためです。これは「水蒸気透過速度」で評価されますが、この値は、ポリマーの種類によって大きな相違があります。
たとえば、四フッ化エチレン樹脂やポリ塩化ビニリデンは4.8で、有効な防水効果を発揮するのに対して、ポリメタクリル酸メチルは550、酢酸セルローズは1200で、よく水蒸気を透過させます。
建築石材用防水塗料は、石の安定材ともいわれ、石の表面の飛散防止など安定化を意図して用いられてきました。代表的なものは、白スピリット中のアルキド樹脂をベースとしています。アルカリ抵抗性を改良するには、桐油変性アルキドや桐油フェノール樹脂が有効です。
エマルジョンなどの石材用塗料は、石材とよく付着しないので、粘度を十分に低くして石材への侵入を助長してやることが必要です。
アルキド樹脂以外では、極微細粒子サイズのラテックスが比較的低濃度で使用されます。たとえば、スチレンアクリルラテックスやアクリルラテックスなどです。
水はその表面張力からも分かるように、大きな毛管現象を示します。そのために防水塗膜面は連続面で、毛管現象を起こさない無孔面で、かつ環境に安定していることが必要です。