(9)シリコーン樹脂塗料
シリコーン樹脂は、ケイ素を骨格とした縮合体であります。塗料としては純シリコーンはあまり使用されず、アルキド・エポキシ・フェノール・アクリル・メラミン樹脂などを変性剤とした変性シリコーン樹脂が使用されます。
純シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂を問わず、シリコーン樹脂塗料は、耐熱性、耐寒性、耐薬品性、耐候性、電気絶縁性などが非常によいことで有名です。
純シリコーン樹脂塗料は、メチル基・フェニル基をもつポリマーで、その耐熱性は200〜250℃です。メチル基が多くなると塗膜の可とう性・撥水性は増しますが、耐熱性は低下します。
変性シリコーン樹脂は、アルキド樹脂・ポリエステル樹脂・エポキシ樹脂・アクリル樹脂などの変性シリコーン樹脂で、耐熱性は150〜200℃であります。
無機質フィラー添加シリコーン樹脂塗料は、シリコーン樹脂に耐熱顔料・アルミニウム粉末・グラファイト・セラミック粉末などを添加したもので、その耐熱性は300〜650℃と高くなります。
シリコーン樹脂塗料の主な用途は、耐熱塗料としてエンジン、排気または吸熱管、化学工場の反応釜内面、ストーブ、炉、煙突などの塗装に用いられます。
または、電気絶縁塗料としてモーター、変圧器、銅線、ガラス織布などの塗装または含浸・マイカ・積層品の接着などに用いられます。
(10)フッ素樹脂塗料
フッ素樹脂塗料には、フッ化エチレン・フッ化塩化エチレン・フッ化ビニール・フッ化ビニリデンなどフッ素含有モノマーの重合物が用いられています。これらは、耐熱性、耐薬品性、耐磨耗性などが極めて優秀であります。
しかし、樹脂の組成や重合度にもよりますが、樹脂が不活性であるため溶液化して塗料にすることがむずかしく、そのため分散形や水系エマルジョンとして塗料化されています。耐熱フッ素系樹脂塗料には、ディスパージョン塗料と粉体塗料があります。
ディスパージョン塗料の耐熱性は、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)260℃、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)200℃、三フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE)180℃、フッ化ビニル樹脂(PVF)150℃などです。
粉体塗料の耐熱性は、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニールエーテル共重合樹脂(PFA)260℃、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)200℃、エチレン・三フッ化塩化エチレン共重合樹脂(ECTFE)150℃、四フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂(ETFE)150℃などです。
非常に高価なため用途は限定され、特殊高級表面処理鋼板、耐熱性や耐磨耗性が強く求められる機械部品、耐熱を必要とするフライパン、鍋、ヤカンなどの台所用品、機械器具類の塗装があります。