切削加工:「被削材別」の課題
- [2024/2/9公開] Question アルミニウム合金の種類により、どのような切削工具が適しているか教えて アルミニウム合金の切削加工を検討していますが、合金の種類によって切削工具を変えた方がいいと聞きます。どのようなアルミニウム合金には、どのような切削工具がいいのか教えてください。 Answer アルミニウム合金の切削加工を考える時は、3種類に大別して切削工具を使い分けます アルミニウム合金ということでひとくくりにして加工すると、特性の違いによって思わぬトラブルになります。アルミニウム合金を3種類に大別して、それぞれに適した工具を使い分けることで、トラブルを回避することができます。それぞれの特長と工具選定のポイントを、以下に記載していますのでご参照ください。タグ:
- [2024/2/6公開] Question 旋削チップ(またはインサート)の選び方を教えてください インサートの種類がたくさんあり、材種とブレーカーの組み合わせのどれがベストなのか分からない Answer メーカー推奨のインサート材種とブレーカーの組み合わせを参考にしてください。 三菱マテリアルの旋削加工用インサートの「おすすめ組み合わせリスト」をご用意しました。
- [2023/11/28公開] Question アルミ加工に使う切削工具を教えて アルミを加工する準備をしていますが、どんな切削工具が適しているか教えてもらえますか? Answer 加工品質や生産性を上げるには、アルミが凝着しにくい表面コートや鋭い刃形状が必要です アルミは金属の中では硬くなく被削性は良好ですが、刃先に凝着しやすく構成刃先が発生するため、精度・面粗さなど加工品質を保つことが困難な場合があります。アルミ加工用切削工具の特長を以下に記載していますのでご参照ください。 エンドミル ●母材:超硬 ●コート:低摩擦係数のDLC、ダイヤ、ノンコート ●刃形状:切りくず排出性の優れた強ねじれ、切削抵抗のすくないピンカド ・ポジ刃 ※高い精度、高効率を要求しない加工では、ノンコートハイスエンドミルでも加工可能です。
- [2023/11/28公開] Question 高硬度鋼加工に使う切削工具を教えて マシニングセンタで高硬度鋼の加工を計画していますが、どんな切削工具があるか教えてもらえますか? Answer 高硬度鋼加工に対応した切削工具は、刃の材質、表面コート、刃の形状、剛性などが加工に耐えられなくてはいけません。高硬度鋼加工用切削工具の特徴を以下に記載していますのでご参照ください。 エンドミル ●母材:高硬度鋼用コート付き超硬またはCBN ●刃形状:ネガ刃、芯厚が太い多刃、コーナR付きが望ましい ドリル ●母材:高硬度鋼用コート付き超硬 ●刃形状:大きな先端角、剛性がある弱ねじれ
- [2023/11/28公開] Question エンドミルの母材と特徴 使い分けを教えて エンドミルの母材はさまざまな種類があるようですが、特徴や使い分けを教えてもらえますか? Answer エンドミル母材の種類と特徴、主な被削材を以下に記載しますので、加工用途に合った母材を選定してください。
- [2023/6/6公開] 代表的な穴あけ工具の種類・特長、2枚刃・1枚刃ドリルのメカニズム、 加工能率と工具コストを加味した穴あけ工具の使い分けのポイントなどをご紹介します。 Question 刃先交換式・ソリッド・ヘッド交換式ドリルはどのように使い分けたらいいですか? ドリルの分類として、1枚刃ドリル(刃先交換式ドリル)と2枚刃ドリル(ソリッド・ヘッド交換式ドリル)がありますが、その2つのドリルの特長・特性を活かし、どのように使い分ければいいですか? Answer 加工形状・穴精度・使用機械・被削材で使い分け、加工能率と工具コスト比較も大事になります。 1枚刃ドリル(刃先交換式ドリル)と2枚刃ドリル(ソリッド・ヘッド交換式ドリル)にはそれぞれ固有の特長、特性があります。それぞれのドリルの切削メカニズムを理解し、加工形状・穴精度・使用機械・被削材で使い分けること、また加工能率と工具コストの何を優先するかも大切なポイントとなります。
- [2022/03/09公開] 切削加工を行っているユーザーを対象に、製造現場における課題についてのアンケート調査(第2回)を実施した。 調査結果サマリ 現場担当者の多くは、材料(被削材)別の加工知識や段取り改善について課題に感じている。 経験年数10年以上でも材料(被削材)については、アルミ合金や高硬度鋼など、難削材や普段加工しない材料の加工知識不足が挙げられた。 設計担当者は知識を得て最適な機械部品をすばやく選定したい、公差・はめあい設計事例をもっと知りたいという声があった。 現場担当者-経験年数10年以上でも、アルミや高硬度鋼など難削材や普段加工しない材料については知識不足を感じている。 現場担当者(経験年数10年以上)からの回答では、アルミや高硬度など難削材や普段加工しない材料(被削材)毎の加工のポイントについての知識不足が多かった。また段取り改善による業務効率化や事例についても課題を感じている。それぞれの回答は以下(図1~図5)の通り。タグ:
- Question 調質鋼の加工精度を向上させるポイントは? [被削材例] NAK55、NAK80、HPM7、HPM38、STAVAX ESR、PX5 Answer 調質鋼の特性 調質鋼は熱処理を施した鋼材で、主に金型部品に用いられます。調質鋼の硬度は、HRC35~45程度であり、高硬度鋼の中では比較的に切削特性が高い鋼材です。 そのため、金型材として多く適用されており、金型部品の切削加工ではポピュラーな材料として知られています。
- Question 高硬度鋼を切削加工するときのポイントは? [被削材例] SK105(旧SK3 HRC56~58)、SUJ2(HRC60~63)、SKD11(HRC58~60)、SKH51(HRC60~63)、STAVAX(HRC50~52) Answer 高硬度鋼の特性 焼入れ処理により硬度を増した被削材を切削すると、工具摩耗が急速に進むため、従来は、放電加工か研削加工で加工することが一般的でした。最近、高速ミーリングの普及により高硬度鋼の切削が可能となり、切削のみで加工を終了させることが可能となりました。
- Question アルミ合金を切削加工するときのポイントは? [被削材例] A2017、A5052、A6061、A7075 Answer アルミ合金の特性 アルミ合金は一般的に軟質で被削性は良好ですが、材料溶融点が低いうえ延性の大きい性質のため、仕上げ面や工具に溶着しやすく、バリが発生しやすいという欠点があります。 高Siアルミ合金は、含有している結晶シリコンが工具摩耗の進行を促進させる難削材であり、切削時には各種対策が必要になります。
- Question ステンレス鋼を切削加工するときのポイントは? [被削材例] SUS303、SUS304、SUS316、SUS440C、SUS420J2 Answer ステンレス鋼の特性 ステンレス鋼は熱伝導率が低く、切削時に発生する熱(800℃~1200℃程度)が工具刃先に集中します。そのため工具摩耗が急速に進展し工具寿命は短く、難削材と呼ばれています。また、ステンレス鋼は、加工硬化現象の発生も懸念されるため、切削時のトラブルが多い被削材です。
- Question 耐熱合金を切削加工するときのポイントは? [被削材例] ニッケル基超耐熱合金、コバルト基超耐熱合金、チタン合金 Answer 耐熱合金の特性 熱伝導率が低く、高温強度、加工硬化、工具材料との親和性などの大きい材料です。特にニッケル基合金をはじめとする超耐熱合金やチタン合金などの難削材は、硬い、粘い性質を有しています。熱伝導率が低いと、切削熱が切りくずに伝導しにくく切削ポイントに集中して、切れ刃への熱影響が大きくなります。
- Question 樹脂を加工するときのポイントは? [被削材例] MCナイロン、ポリエチレン、ポリカーボネイト、GFRP、CFRP Answer 樹脂の特性 繊維を含まない硬質ゴムやエンプラは、軟らかくて被削性は良好ですが、材料溶融点が低いうえ延性が大きいため、工具に溶着が発生しやすい欠点があります。 強化繊維を含むFRPなどの複合材料は、アブレシブ物質や硬質物質を含有し、切削性が悪い材料です。強化繊維の特性、大きさ、含有量によって被削性は異なりますが、一般的に、工具切れ刃が強化繊維を切断するたびに、切れ刃が擦り減っていく現象が見られます。
- Question グラファイトの特性 グラファイトは、炭素を主成分とする粉末焼結体です。微小な炭素粒子が超硬材料のバインダーを削除するため、チッピングなどによる工具寿命の低下が懸念されます。 Answer 工具選定のポイント ダイヤモンドコートやDLCコートなどのコーティングが施された超硬合金工具を選んでください。 刃形状としては、すくい角が大きく、切れ刃のシャープな工具を選んでください。グラファイトは脆性材料のため、摩耗やチッピングによって切れ刃の鋭さが鈍るとワークに欠けが生じやすくなります。
- Question 銅電極を切削加工するときのポイントは? [被削材例] タフピッチ銅、無酸素銅、テルル銅、銅タングステン Answer 銅電極の特性 銅および銅合金は、延性が大きく、切れ味の悪い工具で切削すると仕上げ面粗さ精度の低下や加工変形などが懸念されます。さらに、軟質のためバリが発生しやすいことも特徴です。 工具選定のポイント 切削時の溶着、および仕上げ面粗さ精度の低下を防ぐために、すくい角が大きく切れ刃のシャープな工具を選んでください。
- 一般的に難削材といわれるステンレス鋼。ここではステンレス鋼切削時の「加工硬化」の注意点と工具による防止事例を紹介する。 ステンレス鋼切削時の「加工硬化」に要注意!後工程の工具寿命に悪影響を及ぼす 解決事例―切れ味重視の刃先形状の工具で、加工硬化を防ぐ ステンレス鋼切削時の「加工硬化」に要注意!後工程の工具寿命に悪影響を及ぼす ステンレス鋼は一般的に難削材と言われている。(ステンレス鋼の特性についてはこちら) 表1 ステンレス鋼切削時に発生しやすいトラブルタグ:
- バリ取り、バリ抑制、工具の摩耗管理、再研磨・・・切削加工現場で日々発生するさまざまな課題。『他社はどう対処しているのか?』『今のやり方以外にもっとよい解決方法はないのか?』と感じることも多いのではないだろうか。そこで今回、2社の切削加工のプロフェッショナルにオンラインで切削加工現場の課題について語り合っていただいた。ここでは、被削材別の課題、製造現場の安全対策について、第3回目のセッションを振り返りながら、課題解決の勘所を紹介する。
- Question インコネル加工のポイントは? [被削材例] インコネル600、インコネル625、インコネル718、インコネルX750 Answer インコネルの特徴 インコネル、ハステロイは主にNi基の耐熱・耐食合金の商標です。 耐熱、対腐食性に優れた特性を持つ反面、熱伝導率がステンレスよりも低く、さらに靭性が高く粘り気があるために、高い切削温度が発生し、工具刃先に温度が集中しやすい特性があります。 そのため、ステンレス鋼以上に刃先が摩耗しやすく難削材と呼ばれています。 工具選定のポイント 工具材種は、ステンレス同様、耐摩耗特性に優れたコーティング付き超硬合金の選択が有効です。 工具形状は、切削時における切れ刃の負担を軽減する目的で、強ねじれ刃、多刃、ポジティブすくい角など最適な切れ刃形状の選択がポイントになります。タグ:
- Question アルミ合金のタップ加工で溶着によるトラブルが発生して困っている。 アルミ合金にタップ加工をする際、工具へのアルミの溶着が原因となってタップが折損したり、ねじの精度が低下するといったトラブルが発生しています。 こうしたトラブルをどのように防げばいいのでしょうか? Answer アルミ合金の加工で溶着が発生するメカニズム アルミ合金は一般的に軟質で被削性は良好ですが、材料溶融点が低いうえ延性が大きいため、仕上面や工具に溶着しやすい欠点があります。一般鋼材用のタップで加工する場合、切れ刃のすくい角が不十分で刃先への溶着が著しく発生して加工困難となります。 また、構成刃先による面粗さの劣化や加工精度の低下といったトラブルも発生します。タグ:
- Question 高硬度鋼の切削をうまく行うには? 高硬度鋼のエンドミル切削では工具寿命が短くなるため、工具交換を頻繁に行ったり、寸法補正を何回もすることがあります。解決法があったら教えてください。 Answer 高硬度材に適した工具とツーリングの選定 工具選定については刃先強度の強い形状、刃数が多く剛性の高い形状にすることが有効です。 コーテッド超硬合金工具では、高温特性、耐熱性などに優れたコーティングを選定することが重要です。 ミスミTSコートは硬度が高く、対酸化性温度も高いため、工具の耐久性を高めることが期待できます。 また、ツーリングは把握力の高い焼ばめホルダが有効です。これまで焼ばめホルダは振れ精度の良さから仕上げ加工を中心に利用しているケースが多いですが、把握力が強くビビリにくいことから粗加工においても有効であり、チッピングが発生しやすい高硬度鋼加工において安定した加工が可能になります。タグ: