[2024/8/29公開]
Question
PVDコートとCVDコートの違いを教えて
切削工具のコーティングでPVDコートとCVDコートがありますが、違いを教えてもらえますか?
Answer
旋削チップなどに記載されているPVDコートとCVDコートの違いは製法の違いです。製法による一般的な機能の違いは、主に膜厚と密着力が異なる傾向です。
PVDとはPhysical Vapor Depositionの略で物理的蒸着法のことです。固体材料を加熱やスパッタ、プラズマなどにより蒸発・イオン化させて薄膜形成します。
機能の特徴
- 600℃以下での比較的低温処理のため、母材へのダメージが少なくハイスやシャープエッジにもコート可能
- 膜厚は比較的薄い(5μm以下)
- 密着性はよいがCVDと比較するとやや劣る
- CVDと比べ被膜種類の制約は少ない
CVDとはChemical Vapor Depositionの略で化学的蒸着法のことです。ガス状の物質を熱(主流)やプラズマなどのエネルギーを加え化学反応させ薄膜形成します。
機能の特徴
- 熱CVDは1000℃近い高温処理のため、母材へのダメージがありハイスやシャープエッジには不向き
プラズマCVDは比較的低温処理 - 膜厚は比較的厚い(20μm以下)
- 密着性はよくPVDと比較するとややよい
プラズマCVDはやや劣る - ガス原料により被膜種類に制約
上記は製法による一般的な特徴です。コート多層化や製法などの技術進歩により、PVDやCVDといった限定的な性能差はなくなってきています。