[2023/6/6公開]
Question
CBNインサートでの旋削加工時の正しい切削油の使用方法は何ですか?
CBNインサートを用いた旋削加工時に切削油は使用するべきでしょうか。また切削条件や加工種類、材種の硬度によって使い分ける必要はありますか?
Answer
CBNインサートは連続加工時では切削油を使用、断続加工時には使用しないことが長寿命化のポイントになります
加工物によって適切な切削油の使用方法が異なります。
連続加工時は切削油を使用した方(湿式加工)が工具寿命延長に効果的です。
一方、断続加工時は切削油を使用しない方(乾式加工)が工具寿命延長に効果的です。
ポイントは切削油
連続加工、断続加工時の切削油ありなしでCBN寿命が大きく変わります。
切削油は・・・、
『連続加工』はかける!
『断続加工』はかけない!
寿命を縮める原因はサーマルクラック
その原因は『サーマルクラック(熱亀裂)』にあります。
断続加工の場合、『サーマルクラック』がCBNインサートに発生しやすくなるためです。
サーマルクラック(熱亀裂)
- 加熱⇔冷却が繰り返されることで主切れ刃に亀裂が発生
- 温度差が大きいほど激しい
- 切削油を使うと酷くなる⇒ドライ加工を推奨
- フライス加工に多くみられる
切削時はCBNインサートの刃先温度が高温になります。
そのため、本来は切削油をかけることで冷却され欠損を防ぐことができます。
ところが、断続切削の場合、断続のところで切削油がかかるとCBNインサートは急冷されます。
この温度差でサーマルクラックが起きます。
そこを起点にCBNインサートが欠けてしまいます。
改善することで工具寿命が最大4倍
「断続は少しだけだから、別に切削油をかけても・・・。」
「そこまで大きな改善はしないのでは?」
など思われる方もいらっしゃるかと思います。
下の資料をご覧ください。
断続切削部は少しでも切削油をかけないことでインサート寿命はなんと4倍も違ってきます。
(連続加工の際は切削油をかけた方が良いことも下記資料からお分かりいただけると思います)
結論
CBNインサートを長持ちさせるには
◎連続加工は切削油をかける!
⇒切削による刃先温度が冷却され、欠損、酸化を防ぐ。
◎断続加工は切削油をかけない!
⇒切削油をかけるとサーマルクラックが発生、耐欠損性が落ちる。
技術情報提供:株式会社タンガロイ