プラ型用部品
- 前提条件 F :突き出しに必要な力(kgf) d :円筒成形品直径(cm) t :成形品肉厚(cm) l :成形品高さ(cm) μ :金型表面と成形品内側の静摩擦係数 σ :成形品の引張応力(kgf/cm2) Eタグ:
- プラスチック成形品の精度を保証するためには、金型のキャビティ、コアやモールドベース等の金型部品を精度良く機械工作する必要があります。工作機械は、金型部品の形状や材質、硬度などによって選択されますが、工作機械や工作法自身の要因によって加工精度には上限があります。 どの工作機械であれば、どの程度までの精度で機械工作ができるのか?を金型設計者は熟知しておかねばなりません。 工作精度は、金型の製作コストにも関連します。精度の高い工作機械を使用すると機械加工コストは増大します。一方、粗取り加工などでは低い精度であっても十分で低コストで機械加工が可能です。 工作機械の選定にはこのように複眼的な検討をして選定する必要があります。 以下に、金型部品の加工に用いられる工作機械とその加工精度について、一例を示します。 プラスチック金型用工作機械と加工精度タグ:
- プラスチック射出成形加工では、金型のキャビティ内に射出されてある程度の強度が得られるまで冷却固化がなされた成形品を金型を開いて突き出すことによって成形品を取り出すのが一般的なプロセスです。 成形品をキャビティから離型させる、あるいはコアから突き出して取り出す際には、キャビティ、コアは一般に鋼鉄製であり、成形品は熱可塑性樹脂で室温よりは高い表面温度の状態にあります。キャビティ、コアの表面は、工作機械や磨き仕上げである表面粗さの状態で機械加工されています。そして、硬さや強度は熱可塑性樹脂成形品よりも高い状態にあるのが一般的です。このような状態を物理的に考察してみますと、成形品のキャビティ、コアからの離型は、キャビティ、コアの表面粗さによる摩擦抵抗が大きな影響を与えていることが想定されます。 キャビティ、コアの表面粗さが粗いほど、摩擦係数は大きくなる傾向にあります。そして、樹脂の硬さや自己潤滑性などによってその影響の度合いが異なります。成形品の離型を考える場合にはキャビティ、コアの表面粗さと樹脂材料の間における摩擦係数の関係を考慮することがヒントになります。以下に実験データの参考例を示します。タグ:
- プラスチック射出成形金型のキャビティ、コアを切削加工する方法として、高速ミーリング加工法があります。高速ミーリング加工では、主軸回転数50,000~75,000rpm程度の高速で刃物を回転させて、熱処理後の合金鋼などを精密に機械加工することができます。わが国の金型工作法の中でも主力の機械工作法に位置付けられます。 高速ミーリング加工を行うために、マシニングセンタが必要なことは当然ですが、切削工具も必要です。工具材質は、超硬合金やcBN焼結体(立方晶窒化硼素)を使用します。工具は硬度が極めて高いことが必要ですが、さらに高速回転しますので、回転による工具の振れを小さくしないと切削面の粗さや加工精度が大きく左右されてしまいます。 そこで、マシニングセンタ主軸と工具をつなぐツールホルダーの存在が大変重要になってきます。 ツールホルダーは、一般のミーリング加工では、コレットチャック方式を採用しています。 しかし、コレットチャックでは高速回転させた場合の振れが大きく15~20μm程度も振れてしまいます。
- プラスチック射出成形金型の設計では、樹脂の充填、保圧による瞬間的に作用する巨大な圧力に耐えて、大変形や破壊がおきないように十分な機械強度を維持したキャビティ、コアやモールドベース、スライドコアの設計を行っておかねばなりません。 プラスチック射出成形金型に作用する力によって金型部品がどのような変形や破壊が生ずるのかを推察する学問が材料力学です。材料力学のこれまで蓄積されてきた経験式と理論を当てはめることでかなりのことを予測することができます。 特に、金型部品に作用する力に対する基準強さは、以下のステップでより深く考察を行っていきます。 1.静荷重における破壊応力 荷重が静的に加わり、かつ脆性破壊をする場合に最も適合しています。 2.降伏点または耐力 静荷重を受ける延性材料が弾性破壊の限界を示す値になります。 3.限界変形を示す応力 金型部品がある定められた変形量をこえると不都合になる場合の強度です。 4.座屈応力 座屈による破壊を考慮する場合に適しています。タグ:
- プラスチック射出成形金型の構造では、円柱や角柱形状の部品が柱状に組み合わされて使用されるケースがあります。たとえば、サポートピラやエジェクタピン、エジェクタスリーブ、傾斜突き出しピンなどがあります。 柱には先端部に力が作用することが考えられますが、柱に力が作用する場合には、曲げ応力や圧縮応力だけでは説明しにくい現象で破壊してしまうことが知られています。このように柱の先端部に作用する力で破損する現象のことを座屈(ざくつ)と読んでいます。 座屈は、柱の長さが永くなるほど顕著に発生します。また、柱の端部が固定されているのか、自由に動ける状態にあるのかでも座屈の発生のしかたは変ってきます。 座屈がどんな状態で発生するのかは多数の実験によってある程度力学的な解明がなされています。材料力学によって座屈は予見ができるということになります。そうすると、座屈を力学計算することによって適切なサポートピラの太さ、エジェクタピンが座屈する危険性などを計算で予知することができます。 座屈の計算では以下の理論が提唱されています。タグ:
- ミスミ「糸引き防止キャップ」は、射出成形時のスプルー根元からの糸引きを防止するアイデア商品です。 コールドランナー金型の場合、スプルー先端部は射出成形機の射出ノズルと接触していて、ノズル先端の保温加熱によって樹脂は絶えず加温されています。樹脂の温度が高い状態ですと柔らかく、糸引きが発生しやすい状況下に置かれているということになります。糸引きは、成形品表面に異物不良を引き起こしたり、金型のパーティング面に挟んで金型を痛めたりする危険を呼び込みます。 糸引きを防止するためにはスプルー入り口部のノズルタッチ部を早く冷却固化させて固めてしまい、樹脂が糸を引きにくい状態にしてしまうことが必要です。 そこで、ミスミ「糸引き防止キャップ」は、ノズルタッチ部を十文字形のスリットを設け、タッチ部の体積を小さくして早く冷却固化できるように工夫をしています。この小さな工夫だけで想像以上の糸引きを防止することができます。タグ:
- ミスミ「エコスプルーブシュ」は、射出成形機の射出ノズル先端径よりもスプルー入り口を細く設定できるため、スプルーが全体的にスレンダーになるため、スクラップの軽減、サイクルタイムの短縮に効果があります。 1.スプルー・ランナー部の樹脂材料削減 コールドランナー金型の場合、スプルーは樹脂をキャビティへ導くために必須の部分になりますが、充填・保圧が完了した後は、スクラップになりますので、材料歩留まりを考えた場合、スプルーはできるだけ細く軽いことが望ましいです。しかし、成形機の射出ノズル径よりもスプルーを細くデザインしてしまうとアンダーカットになり、連続成形をすることができません。そこで、エコスプルーブシュを使用しますと、成形機ノズルタッチ部は座ぐり加工してありますのでアンダーカットになることがありません。そして、所望の寸法にスプルーを一回り細くデザインできますので、スクラップの軽量化が可能となります。タグ:
- ミスミ「ガス抜きユニットMSTV」は、金型のキャビティ内から成形時に発生するガスやエアーをキャビティ外へ効果的に排出することができるユニットです。 ガスを効果的に排出することにより、 成形不良が改善されます。 (焼け、ヒケ、充填不良、ウェルドラインの低減等) 成形サイクルの短縮が可能となります。 ステンレス製ですので、耐食性に優れています。耐熱温度:200℃ 作動原理 排気バルブがスプリングにより開かれていて、樹脂より発生したガスや金型内の空気が排気されます。樹脂がバルブに到達すると、樹脂圧により閉鎖され排気が終了します。バルブの排気口に樹脂が流入しようとしても樹脂の先端部は粘度が高いためバリになる前にバルブは閉じてしまいます。タグ:
- ミスミ「スポット冷却パイプ」は、金型のキャビティやスライドコアを部分的にスポット冷却ができるように開発された商品です。 熱可塑性樹脂の射出成形では、金型のキャビティ表面温度を適切に維持することが精密成形や製品の表面光沢を実現するためには大変重要です。しかし、狭い部分やエジェクタピンなどが入り組んでいる部分の冷却は困難で多くの場合、冷却構造を設けないで金型を製作してしまうケースがあります。そうすると、キャビティの表面温度はショットごとに徐々に上昇し、成形品の寸法が小さくなったり、変形を生じる、バリが出てくる、表面光沢が変化してくる、ひけが目立つようになる、離型不良が起きやすくなる、冷却時間を長くしないと連続成形できない等の不具合が発生する危険性が高まります。 ミスミではこのような不具合を回避するために「スポット冷却パイプ」を開発しました。 この商品の特徴は以下の通りです。タグ:
- 人間が作業する場合の標準動作は17の動作要素の組合せによって表現できることをギルブレス氏は観察によって発見しました。彼の名前を逆にスペルをしたことで「サーブリッグ」 と命名されました。サーブリッグ分析を行うことにより、金型の組み立て調整作業、射出成形作業の動作を分析することができます。分析の結果、避け得る遅れ、探す、位置を正すなどの要素を道具の工夫や作業標準化によって時間を短縮させることができます。 たとえば、いつも使う道具を一体化して手のとどく場所へ吊り下げておくとか、作業治具を作って、位置合わせをしないでも正確な位置に作業できるなど、実現をさせます。 最近の工作機械や成形機は、かなりの部分が自動化されていますが、作業者が行う手作業ではこのような動作分析を十分に行う習慣が薄れてきてしまっているせいで、作業能率が低下している事例を工場見学でよく目にするようになってきました。人間工学を再度学ぶことによって作業効率を高める工夫をすることはデジタル時代においても有効なコストダウン、納期短縮の方法です。 サーブリッグ一覧表タグ:
- ブロー成形法は、中空のボトルや容器を成形するためのプラスチック成形法です。PETボトルやシャンプー容器の製造に多用されています。ブロー成形の代表的な方法は、 コールド・パリソン法 ダイレクトブロー法 があります。 コールド・パリソン法では、まず、射出成形でコールド・パリソン(予備成形体)を成形し、このパリソンをブロー成形機へ取り付けて、熱風を吹きかけて中空体に成形する方法です。 一方、ダイレクトブロー法は、成形機の中へ樹脂を射出して、しばらくした後で熱風を樹脂内へ吹きかけて中空体にする方法です。 ブロー成形で用いられる金型は、特徴としてキャビティだけであり、コアがありません。 吹きかけられた熱風がコアの代わりをしていると言えます。 ブロー成形金型は、本体キャビティと底部キャビティ、口金部キャビティから構成されるのが一般的です。 キャビティの材質は、樹脂の種類や製品用途によって使い分けられます。炭素鋼、鋳鉄、アルミニウム合金、銅合金、亜鉛合金などが採用されています。成形サイクルを短くするために冷却効率を高めたい場合にはアルミニウム合金や銅合金が使用されます。タグ:
- ばね(spring)は、プラスチック射出成形金型でも多用される機械部品です。ばねは、弾性体で作られていて、変形した際にエネルギーを蓄積し、開放される時に元の形に戻る作用をします。 プラスチック射出成形金型では、ばねは主に以下の部分に用いられています。 エジェクタプレートを戻すためのリターンばね ランナーストリッパープレートを開くためのばね スライドコアを復帰させるためのばね ボールプランジャで鋼球を元に戻すためのばね プレートを早開きさせるためのばね 等 ばねには荷重のかかり方によって、 【圧縮ばね】と【引張ばね】に大別されます。 用途によってばねはさらに下記のような種類があります(注:金型用途とは限りません)タグ:
- エジェクタピンは、プラスチック射出成形金型では成形品を金型から取り外すために必ずといって良いほど使われている基本部品になります。射出成形金型から成形品を取り出すときの成形品の温度は、一般的には50~300℃ぐらいの温度になっているので、人間が手作業で成形品を取り出す作業は火傷を負ってしまいますから危険です。また、成形品は、樹脂の成形収縮によって金型の可動側(一般的には)に収縮の力で強固に抱きついていますから、これらの力に負けない力で成形品を取り出すことが必要になります。そこで、鋼鉄製のエジェクタピンによって安全に成形品を平易に取り外すことができるようになります。 当初のエジェクタピンは、鋼鉄製のシャフトを用い、ピンを固定する部分のツバ部は溶接やはめ込み固定、鍛造でツバ形状に変形させる等の方法で作られていました。しかし、これらの方法で作られたピンは、交換時の互換性がなく、工作費用も高くなります。そこで、同一形状のピンを標準化して大量生産することで互換性がある安価なエジェクタピンを作る工法が開発されて今日に至っています。タグ:
- 金型部品の内部に大きな応力が発生して、その部品が2つまたはそれ以上に分離してしまうことを破断(rupture)と呼びます。金属材料の場合、破断に至るまでは塑性変形を生じながら、同時進行で亀裂(crack)を発生させていく場合がほとんどです(注:焼き入れをしてマルテンサイト組織となっている場合には、脆性破壊を起こすことがありますので、金属材料は全て延性材料であると断定することはできません) 一般的には亀裂が進行して破断を招く現象を破壊(fracture)と呼びます。また、破壊に至らなくてもある大きさの変形を生ずれば目的に応じた機能を果さなくなる場合があり、これは破損(failure)と呼んでいます。 引張強度試験などでは一軸方向の力による破壊強度等を試験評価しますが、実際のプラスチック成形金型部品では、2軸方向または3軸方向から力を受けて破損や破壊を生じます。そうすると複雑な力の組合せを考慮して強度を考えねばなりません。 実際の組合せ応力による破損や破壊を推定するためには以下のような考え方の学説が提唱されています。タグ:
- 「梁(はり)」とは、部材が1点以上の支点で支えられている機械構造のことをいいます。 プラスチック射出成形金型では、コアピン(底部を固定された1本の棒)、可動側型板(2枚のスペーサーブロックの上に支えられている板)のような構造が梁になります。 梁には、荷重が作用すると梁自身が曲がって変形をします。また、さらに力が加わると曲げによって梁が破断します。 このような梁の変形やどのぐらいの力まで持ちこたえられるか?を技術計算する方法が確立されています。この計算は、材料力学(Strength of material)の梁のたわみについて学習することで習得することができます。 梁のたわみの計算では、下記に示す基本となる微分方程式(式1)を用います。 d2y/dx2 =-M/EI (式1)タグ: