プラ型用部品
- 樹脂をキャビティ内に充填させるためには、射出シリンダーから圧力を加えながら押し込んであげる必要があります。 樹脂は、加熱されて溶融している状態では、粘り気のある(粘性のある)流体となっています。しかし、粘性は、樹脂がスプルー、ランナーを流れながらキャビティに到達するまでに金型の表面から熱を奪われることにより、低下を始めます。粘性がある限界を越えて低下してしまうと、先端部が冷却により固化し、それ以上流動することができなくなってしまいます。 どのぐらいの距離まで先端部が冷却固化しないで流動が可能なのか?それを知ることによって、ゲートの数や配置、ランナー配置等を金型設計の時点で考慮することが出来ます。 その目安となる指標が流動比(L/t)です。 流動比は、ある特定の樹脂を、一定の板厚のキャビティ内を、一定圧力で流動させた場合に、流動先端が到達できる距離を示した実験的指標です。 「POM樹脂を、射出圧力900kgf/cm2で、板厚1mmのキャビティを流動させた場合、流動比(L/t)は、450~530mmである」 といった表現をします。 流動比は、一般に下記の傾向を示します。タグ:
- 金型は、組立をしている間は必要以上の力は加わりませんが、実際に射出成形機に取り付けて成形加工する場合は、組立の際とは異なり、さまざまな外力を受けています。 例えば、金型を締め付けている型締め力は、数トンから数百トン、数千トンまで及びます。その圧縮応力に、まず金型は十分に耐える強度を持っている必要があります。 さらに、溶融樹脂をスプルーを経由し、ランナーを経てキャビティ内部を完全に充填するためには、樹脂に圧力を加えて流し込まねばなりません。なぜなら、溶けたプラスチックは、粘り気(粘度)のある流体ですから、流し込むためにはそれなりの押し込む力が必要になるからです。その圧力は、スプルー入り口付近では1000〜2000kgf/cm2にも及び、キャビティ内部でも200〜600kgf/cm2もかかっています。しかも、その圧力は、通常1秒もかからない極めて短時間に作用しますので、コアピンやキャビティの壁には、相当の衝撃が加わることになります。 また、成形品を突き出す際には、エジェクタロッドにより、エジェクタピンが押されますが、エジェクタピンの作動がスムーズでないと、ピンには過大な圧縮応力が加わり、場合によっては細長いピンは座屈破壊を起こしてしまいます。タグ:
- 生産ショット数の多い金型では、エジェクタピン穴が磨耗し、成形品にバリが発生することがあります。 バリの修正のためには、金型の可動側コアの入れ子修正や、新規製作による交換が主に採用される方法ですが、いずれも多大な時間と修正コストが必要になります。 このように、あらかじめショット数が大きく見込まれる金型では、エジェクタピン部の摩耗を見越して、メンテナンスが速やかにできる金型構造が推奨されます。 ミスミでは、かかるニーズに対応して、「エジェクタピン用ブシュ」を商品化しております。 ブシュを可動側コアにインサートし、摩耗が生じた際に標準品と交換するだけで、バリ修正を完了させることが可能です。 ブシュ材質は、現在のところSKD61を採用し、表面を窒化処理しています。 したがいまして、エジェクタピンにSKH51(硬度58〜60HRC)を採用した場合には、硬度の低いブシュ側が硬度差により先に磨耗させることができ、ピンはそのまま使用し、ブシュのみの交換を考慮すれば良いことになります。タグ:
- 前回の解説では、基本的なキャビティ寸法の決定方法を説明しましたが、今回は、応用編を解説したいと思います。 応用例1:成形品の寸法公差が片側公差の場合(±公差でない場合) 成形品の寸法公差が22の場合を取り上げてみます。タグ:
- 今回は、成形収縮率を利用して、キャビティの寸法を決定する方法を解説します。 まず、成形収縮率αを決定します。 例)α=0.005 次に、決定しようとする成形品の寸法を選びます。(寸法公差が±公差の場合) 例)22±0.05 続いて、求めようとするキャビティの寸法を【式2】を用いて計算します。 L0=(1+α)×L…【式2】 ただし、タグ:
- プラスチック射出成形での成形不良の中で、厄介なものの1つがガスによる不良です。 ガス逃げが機能できない場合、ガス焼けにより成形品が黒変したり、不定期にショートモールド(充填不良)が発生したり、あるいは成形品の表面に光沢むらが発生したりします。 パーティング面に設けたガスベントから、ガスやキャビティ内の残存エアーを排出できれば良いのですが、リブや壁形状などにより排出がままならない場合には、どのようにするのがよいのでしょうか。 問題解決のための手段の1つは、入れ子分断により分断面の隙間から、ガスを排出する方法があります。これは効率的ではありますが、その都度金型の形状に合わせた部品加工をしなければならず、金型製作コストの面から不利を強いられることになります。タグ:
- プラスチック成形金型に使用される鋼材は、鉄-炭素系の合金(いわゆる鋼(はがね))が基本的な材料になります。 代表的な鋼の種類については、基礎知識としてその化学成分を知っておくと、熱処理や機械特性などを考慮する際に有益です。 こちらにその一覧データを紹介します。タグ:
- これからのプラスチック射出成形金型では、成形品の形状を正確に、安定して成形することは最低限のスペックとしてとらえられ、さらに成形サイクルをいかに短くできるかが金型の評価を左右することになるでしょう。 通常、成形サイクルの工程の中で最も大きなウエイトを占めるのが、冷却工程です。 冷却工程の時間を短縮するためには、溶融樹脂の充填が完了した後のキャビティ表面からの熱を効率的に奪い、成形品表面温度をすみやかに低下させることが肝要です。 金型には、冷却水(または冷却油)を流すための流路が、設けられていますが、単純な冷却孔のみでは、効果的な冷却が得られるとは限りません。 冷媒(流体)を効果的に作用させるためには、発熱している部分に冷媒が接触している時間と面積を大きくする工夫が有効な手段です。その一般的な手段の1つがバッフル板です。バッフル板に衝突した冷媒の先端部は、バッフル板に沿って冷却孔内を流れ、熱を奪って行きます。タグ: