プラ型用部品
- プラスチックに関する規格は、JIS規格やISO規格が様々な規格を制定していますが、これ以外のも各省庁や業界団体で規定している規格や基準があります。代表的なものは下記のようなものがあります。タグ:
- 医療用のプラスチック成形品を射出成形して製造するためには、日本国内では薬事法に規定されている「医療用具」の製造許可を受けることが必要です。 これは、プラスチック製医療用具の安全性を法令で規定し、医療事故の防止を図るための制度趣旨によるものです。 医療用具を製造するためには、下記の手続きが必要になります。無許可での製造は、法令により罰せられる場合があります。タグ:
- プラスチック射出成形金型のキャビティ、コアに使用される金属材料は、圧倒的に炭素鋼が多いのですが、一部の金型では軽量化や熱電導を考慮するために、アルミニウム合金を採用することがあります。 アルミニウムは元素番号13の軽金属ですが、亜鉛等の金属と合金にすることで、硬さや強度を改善することができます。金型に使用されるのは、このような合金タイプのアルミニウムです。 アルミニウム合金のなかで有名なものにジュラルミンがあります。ジュラルミンは軽量で強く、ある程度の硬さを有しています。アタッシュケースに使用されていますので、皆さんもイメージしやすいのではないでしょうか。金型に使用されるアルミニウムもほとんどはジュラルミン系の材料で、さらに強度等を改善した超ジュラルミン、超超ジュラルミンという種類もがあります。 アルミニウム合金の主な特徴は以下の通りです。 軽量 熱伝導性が良好 削りやすい 耐食性がある。 代表的なアルミニウム合金であるA7075は、以下の成分を含んでいます。タグ:
- 油圧コア抜き構造は、アンダーカット量が長い成形品のアンダーカット部を、油圧シリンダーを用いて強制的に離型させる構造です。 配管パイプ継手、円筒状成形品、異形状成形品などの金型で利用されます。 油圧シリンダーは、大きな力でスライドコアを閉じ続けることが可能であり、スライドコアを強力なパワーで移動させることも可能です。 アンギュラピンを用いたメカ式のスライドコアでは不可能な、スライドコアの移動を実現することができます。 油圧コア抜き構造を採用する場合には、油圧シリンダーの作動タイミングをあらかじめ射出成形機の作動信号と連動させた制御装置を備えることが必要で、どのタイミングで油圧シリンダーの開閉をさせるのかを、金型設計時に十分に検討をしなければなりません。 また、スライドコアの先端部には必要に応じて抜き勾配を設け、離型を補助する工夫を検討することも重要になります。 スライドコアの先端面が樹脂の充填圧力を直接受けなければならない場合には、油圧シリンダーが充填圧力に押し返されない十分な油圧を作用させることができるように、シリンダーの対応できる油圧の力を計算しておきます。タグ:
- 高精度研磨プレートは、基準面直角度、板厚平行度が5ミクロンメートル、平面度が5~10ミクロンメートルの高精度に仕上げられた研磨プレートです。 材質はNAK55またはNAK80で、硬度は37~43HRCとなっています。 6面がサーフェイス研磨仕上げされており、面粗さも良好で(算術平均粗さ0.8a)、キャビティ本体やスライドコア、型板等に使用が可能です。 外形サイズは、最小10ミリ×10ミリ×10ミリ~最大100ミリ×100ミリ×100ミリまでのバリエーションで選択が可能で、長さは0.01ミリ単位で選定ができます。 データム平面に対しての良好な形状精度を保持しておりますから、購入後に自社内での仕上げ研磨が不要で、必要な形状の追加工で金型部品を製作することが可能です。材質はプリハードン鋼ですから、エンドミル等の切削工具による追加工も容易に可能です。ワイヤーカット加工や放電加工も対応ができます。 6面全面研磨仕上げされたプレートを、短納期でかつ低コストで購入が可能な新商品としてご利用いただければと企画化されたものです。タグ:
- 金型デートマークセット−ダブルリングタイプは、インサイドアローと二重のリング構造で構成されています。二重のリングに書き込まれた文字情報を1つのデートマークセットで表示ができますので、省スペースでより多くの生産情報を成形品表面に転写させることができます。6年間の年表示と月表示がセットになっています。 また、6年間使用できますので、従来のインサイドアロー交換の手間が省け、コスト削減につなげることができます。 日付切り替えタイプは、十の位と一の位が一つで表示できます。 位置決めは、鋼球によるストッパー機構を採用しておりますのでOリングに比べて位置精度が向上し、成形加工時に発生するガスや高温に対する耐久性も改善されています。 表示の切り替え方法は、インサイドアローの矢印にドライバーを取り付け、右方向へ回転させるとインサイドアローのみが回転します。左側へ回転させますと、インサイドアローと一緒に内輪が回転します。 使用温度は、金型温度80℃以下でご使用願います。 成形品に転写される文字は凸文字となります。 取り付けはキャビティの上面から叩き込む構造になります。タグ:
- ウレタンスプリングは、3プレート構造金型のランナーストリッパープレートと、型板の開きをサポートするための部品です。 通常は、ランナーストリッパープレートは、引張りリンクやプラーボルトによって、機械的に強制的に開くような構造が採用されています。ランナーストリッパープレートは、開くタイミングが速やかに作動することができると、ピンポイントゲートの切れ味も改善されますので、開く動作をアシストするために、従来からコイルスプリングを設置する方法を採用するケースがありました。 ウレタンスプリングは、コイルスプリングの動作と同様の効果を狙った商品です。取り付けが簡便であるところに特長があります。 ウレタンスプリングは耐熱温度が100℃となっておりますが、連続して成形する場合には80℃を目安にご使用ください。 ロングランで成形加工をする場合には、スプリングの寿命の具合を確認していただき、交換をお願い致します。タグ:
- ピンポイントゲートブシュ−内径テーパタイプは、ピンポイントゲートの二次ランナー先端部の形状を、テーパ形状に設計したゲートブッシュです。 従来のピンポイントゲートの二次ランナー先端部の形状は、SR形状(球状)になっている場合が大半でしたが、成形加工するプラスチックの種類によっては、ゲートが切断される際に、ゲート切断状況が「むしれ」を生じたり、「へそ残り」が生じたりする不安定な切断になる場合がありました。 特に、PMMA(メタクリル酸メチルエステル、アクリル樹脂)やポリカーボネート、シクロヘキサンなどの透明樹脂のゲート切断で困っている事例が多くありました。 このような樹脂の成形加工では、内径テーパタイプを採用しますと、切断状況が改善される方向にあります。 レンズ、プリズム、導光板、反射板などの透明な成形品で、ピンポイントゲートを使用される場合に最適なゲートブシュになります。 ゲートブシュの外形はB寸固定タイプ、B寸指定タイプ、ツバ付きの3種類がございます。金型の構造によって、適宜選択をしてお使い頂けます。タグ:
- カートリッジヒータ均熱タイプは、金型のキャビティ等の被加熱物の形状や放熱量に合わせて、ヒーターのワット数を3つのゾーンに分けて設定することができます。このような設定によって、温度分布を均一化することができます。 成形品の形状や使用するプラスチック、エラストマーの種類によっては、金型の温度分布の不均一が成形品の外観品質や寸法精度に影響を与えることが考えられます。 このような温度変化に敏感な成形をする場合には、カートリッジヒーターの熱量の発生を変化させることで、なるだけ均一な温度分布になるように工夫することがアイデアとして考えられます。 ミスミカートリッジヒータ均熱タイプは、このような要望に対応するために開発された商品になります。液状シリコーンゴムや熱硬化性樹脂、特殊なスーパーエンジニアリングプラスチックの成形加工での採用が考えられます。タグ:
- 小頭六角穴付ボルトCHBSは、通常のJIS規格の六角穴付ボルトよりも、頭の部分の直径が一回り小さく設計されているボルトです。 最近のプラスチック成形金型の小型化に伴って、金型部品の取り付けスペースも狭くなる傾向があり、ボルトの頭の直径が他の部品と干渉してしまうために困っているというご意見を多数お受けしていました。 そこで、ミスミでは従来のJIS規格品よりも頭の直径をスレンダーにしたボルトを開発しました。このボルトをお使い頂くことで、金型部品のコンパクト化に対応することができる機会を増やすことができると思います。 使用用途としては、スライドコアの締結やエジェクタプレートの締結などにご使用ができると考えられます。ねじの強度区分は12.9(JIS B1176)ありますので、従来品と遜色はありません。 しかし、従来品よりは頭の直径が細くなっておりますので、締め付け面積は小さくなりますから、締め付け力を十分に必要とする場合には、使用本数を追加することをご検討ください。タグ:
- レンズや導光板、化粧品容器などの表面の鏡面性が要求される成形品用のキャビティの製作には、適切な鋼材の選定が重要になります。 金型部品の切削加工や研削加工を終えた後に加工表面は、精密ラップ仕上げ等の磨き加工が必要になります。 精密仕上げ加工をする前提としては、鋼材の素材自身の結晶粒の状態や不純物の含有状況等が、鏡面仕上げに適していることが必要になります。 代表的な鏡面仕上げ鋼種であるSUS420J2系ステンレス鋼は、不純物の清浄度を上げて鋼材組織を緻密化させる手段として、ESR法とVAR法という消耗電極式特殊溶解法で鋼材を精錬しています。 VAR法による精錬の方が、ESR法による精錬よりも一層緻密な組織が得られます。 また、さらなる緻密さを実現するために二重特殊溶解法も開発されています。 このような鋼材自身の精錬方法が適切になされていなければ、高度な鏡面仕上げは困難であると言えます。 さらに、鋼材の展延方向による組織の不均一が発生する可能性もあるため、素材の圧延方向にまで配慮をした素材選定が必要となる場合もあります。タグ:
- プラスチック成形金型では樹脂から発生するガスや腐食成分、大気中の水分が結露することによる金型部品表面の錆びや腐食に対抗するために、耐食性の良好な鋼材を採用する必要がある場合もあります。 耐食性の良好な鋼種の代表としてはステンレス鋼があります。ステンレス鋼は、クロムが成分として13%程度以上含まれている鋼材で、表面に錆びにくい皮膜を形成することが広く知られています。 プラスチック金型用途では、以下のステンレス鋼が多用されています。 (1)13Cr系ステンレス鋼 13%のCrを含有するステンレス鋼で、マルテンサイト系ステンレスに属します。JISではSUS420J2が代表的な規格になっています。 耐食性が良好で、加えてじん性が良好で鏡面性にも優れています。切削加工性も比較的良好です。硬さは33HRC程度です。 コアピン類、キャビティに使用されます。 モールドベース部材に使用される場合もあります。タグ:
- 金型の冷却に水を使用する場合には、型板やキャビティの内面に冷却水を循環させるための水穴を加工します。 水穴の表面は、ガンドリルやエンドミルで機械加工された面になっていますが、成形加工をした後は水穴の中に残った水分が錆びたり、水垢が表面に付着してしまいます。 水穴の表面状態が金属表面ではなく錆びたり水垢付着を起こしますと、伝熱効率が変化して、冷却効率が悪化します。 物理的な熱関係のデータは下記のように変化することが知られています。 熱通過率K (kcal/m2・h・℃) S50C(機械構造用炭素鋼) 1022 水垢 123 S50Cニッケルめっき 1019 ステンレス鋼 736タグ:
- LSR(液状シリコーンゴム)は、加硫ゴムを代替する軟質素材として廃棄物環境対策や人体安全性の観点から注目されている素材です。 この素材は、原材料コストが高いために高付加価値成形品には使用されるものの、一般的な安価な成形品には使用されにくい傾向がありました。 しかし、環境対策コストや安全性が重要視される社会が到来した結果、液状シリコーンゴムの採用はヨーロッパを中心に急速に普及が進みつつあります。 液状シリコーンゴムは、成形サイクルタイムが熱硬化性樹脂であるにもかかわらず、比較的短く加工採算性が良好です。また、加硫ゴム圧縮成形ではバリ処理が必須であったものが、バリレス成形が可能であるので、二次加工コストのコストダウンを図ることができます。 また、寸法安定性も良好です。 LSR成形用金型は、下記のような特殊な金型ノウハウを採用する必要があります。タグ:
- 先回の解説の続きです。金型設計図面等の営業秘密の不正使用行為等は、差止請求権の行使や損害賠償請求の対象となり、これらの規定で保護されています。 これらの規定に加えて、平成17年の法律改正により、さらに以下の保護が追加されました。 第二十一条(罰則) 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。(中略) 第四号 詐欺等行為(人を欺き、人に暴行を加え、又は人を強迫する行為をいう)により、又は管理侵害行為(営業秘密が記載され、又は記録された書面又は記録媒体(以下「営業秘密記録媒体」という)の窃取、営業秘密が管理されている施設への侵入、不正アクセス行為により取得した営業秘密を、不正競争の目的で、使用し、又は開示した者 第五号 前号の使用又は開示の用に供する目的で、詐欺等行為又は管理侵害行為により、営業秘密を次のいずれかに掲げる方法で取得した者 イ 保有者の管理に係る営業秘密記録媒体等を取得すること ロ 保有者の管理に係る営業秘密記録媒体等の記載又は記録について、その複製を作成すること。タグ:
- 金型図面やそれらのCADデータ、CAMプログラム等は、金型部品を繰り返し生産するための重要な技術情報になります。先回の講座では一般の金型図面自体には著作権法上の保護は及ばない旨、解説いたしましたが、不正競争防止法という別の法律によれば、金型図面等の技術情報は、この法律の規定によって保護されるケースが多いと考えられます。 不正競争防止法では、営業秘密の不正使用等を排除する規定があり、刑事罰や損害賠償請求などの手段が規定されています。 「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいうと定義されており(第二条第六項)、金型図面等の技術情報は、この規定に該当すれば営業秘密となります。 つまり、以下の3つの要件を全て備えていれば、金型図面等は営業秘密に該当します。 秘密として管理されていること。(秘密性) 生産方法など事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること。(有用性) 公然と知られていないこと。(非公知性) 営業秘密は、以下の規定で保護されます。タグ:
- 金型図面とは、一般に金型の全体構造を検討したり、金型部品を設計し製作するために、紙またはディスプレイ上に2次元的または3次元的に表現した図面のことです。 金型図面は、部品の加工情報や形状、寸法公差、材質、熱処理などの生産技術情報が盛り込まれている重要な技術情報になります。 したがいまして、金型図面は企業秘密が盛り込まれている場合もあり、その取り扱いは慎重に行う必要があります。 金型図面の機密保持に関しては、産業に関する法令で保護される場合があり、その代表的なものは不正競争防止法です。また、一部の場合には著作権法が適用される場合があります。 この中で、「金型図面が著作権法で保護される場合」について解説します。 著作権法の目的は、著作物等の権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、文化の発展に寄与することを目的としています。 したがって、著作権法の適用を受けるためには、「著作物」であることが必要になります。著作物は、下記のように定義されています。タグ:
- コアピンやエジェクタピンなどの特殊鋼製プラスチック射出成形金型用部品の多くは、焼き入れをして硬度を上げ、強度を改善して使用されています。 鋼材の焼き入れは、炭素鋼特有の変体温度以上の温度域から急冷することにより、マルテンサイト組織を得る熱処理のことです。 マルテンサイト組織はとても硬くて強い組織です。その発生状況は、焼き入れ時の冷却速度が大きく関与することが知られています。 冷却速度は部品の厚みによって、表面近傍と内部では差が生じます。差がある程度以上大きくなると、マルテンサイト組織の出来具合も変わってきます。 鋼材寸法が大きくなりすぎると、表面と内部では冷却速度が異なるので、焼き入れ性の悪い鋼では、内部では臨界冷却速度に到達しないので焼きが入らなくなります。ここで臨界冷却速度とは、マルテンサイト組織が発生する限界の冷却速度のことをさします。 このように、鋼材の大きさによっては焼き入れにむらができる現象を「質量効果」と呼んでいます。 質量効果によって、部品の表面と内部で焼きの入り方に差がある状態ですと、内部に残留応力を蓄積していますから、あとでひずみが発生したり、予期せぬ破損の遠因になる場合があります。タグ: