Question

フライス加工でびびりが発生し、工具寿命も短いです。
フライス工具を選定する際に何に気を付ければいいですか?

Answer

フライス工具を選定する際には、『同時切削刃数』を確認することが重要です

解説動画

カッタの刃数について

現在のカッタにはφ100で5枚刃や8枚刃など、同径でも刃数の異なる仕様が数多く存在しています。
刃数が少ない方を「標準刃数使用(コースピッチ)」
刃数が多い方を「多刃使用(クロスピッチ)」
と呼びます。
※更に刃数が多いものを超多刃仕様(エクストラクロスピッチ)、
  刃並びが不等分割なものも不等分割仕様(イレギュラーピッチ)とも呼びます。

多刃使用(クロスピッチ)の特徴

  1. ・メリット
    送り速度(Vf)が上がる
    切削幅の狭い加工で同時切削刃数が増えて安定して切削できる
    (額縁上のケース加工など)

  2. ・デメリット
    切削幅が広いと同時切削刃数が増えて、びびり振動が起こりやすい

多刃仕様工具のメリットとデメリット

同時切削刃数とは?

上記のメリット、デメリットで述べた「同時切削刃数」が最良な刃数の選び方の重要なポイントになります。

「同時切削刃数」
被削材に接し、切りくず生成している切れ刃の数。

同時切削刃数

・刃数が4枚の場合
同時切削刃数が送り方向に対して、最大で「2刃」接しています。
また最小で「1刃」接しています。

同時切削刃数

・刃数が3枚の場合
同時切削刃数が送り方向に対して、最大で「1刃」接しています。
また最小は「0刃」、つまり切れ刃が被削材に接していません。

同時切削刃数が0刃になるのは避けるべき、その際の注意点とは

「振動が起きやすくなる」ため、同時切削刃数が0刃になるのは避けるべきです。
振動の原因は切削抵抗の変動値です。
同時切削刃数が1刃~0刃の場合(切れ刃が被削材に接していない場合)、振動が起きやすくなります。
1刃の場合は切削抵抗が上がり、0刃の場合は切削抵抗が一気に0まで下がります。
変動値の落差が大きいことが、振動の発生につながります。

切削抵抗

逆に同時切削刃数が2刃~1刃の場合、切削抵抗の変動差が小さく振動が起きにくくなります。

切削抵抗

一方で、被削材の切削幅が広い場合、同時切削刃数が多すぎると、びびり振動が発生しやすくなります。
被削材の幅が広く多刃仕様の場合、多くの刃が被削材に接し、同時切削刃数が多くなることで切削抵抗が増大します。
華奢な被削材、マシン剛性不足の場合、びびり振動が起こりやすくなります。
最悪、スピンドル(主軸)が止まってしまうこともあります。

びびり、びびり振動、切削抵抗

回避策として次のことを試してみてください。
1. 事前に被削材の剛性、切削動力の動力計算を行い、機械の出力値よりも下回った計算値であるかを調べておく。
2. 切り込み条件を下げる。
3. 偶数刃の場合は1枚おきにインサートを間引き、同時切削刃数を少なくする(例:8枚刃→4枚刃、4枚刃→2枚刃)

切り込み条件を下げたことによる改善例

・切り込み3mmの場合(切り込み条件が大きくびびり振動が発生)

・切り込み1mmの場合(スムーズに加工可能)

結論

被削材の幅が狭い場合、同時切削刃数が1刃~0刃になるため振動が起こりやすいので、同時切削刃数が0になるのを避けるため、多刃仕様にする。

被削材の幅が広い場合、同時切削刃数が増えるため切削抵抗が増え、ワークやマシンが華奢な場合はびびり振動が発生しやすいため、事前にワークの剛性確認、切削動力の計算を行い、主軸出力・トルク値よりも必要動力・トルク値が下回っているかを確認する。
(切り込みを少なくする、偶数刃の場合は4刃→2刃へ刃数を減らす、など)

技術情報提供:株式会社タンガロイ

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