切削加工:ワーク・工具の「条件異常」
- [2024/6/12公開] Question 不等リード 不等分割のメリットを教えて エンドミルで、不等リードや不等分割というのがありますが、どのようなエンドミルでメリットはなんですか? Answer 不等リード・不等分割とは、刃のリード角(ねじれ角)と刃の分割配置を不等にして、防振効果を高めたエンドミルです。刃を不等リード・不等分割にすることで、加工時の振動の位相をずらし再生効果で大きくなろうとする振動を抑え、ビビリ振動を抑制させる効果があります。幅広い加工条件、被削材でビビリ振動を抑えられるので、不等リード・不等分割は効率的に面粗度の良い加工ができるといえます。 【不等リード】 同一エンドミルの各切れ刃のねじれ角度を変化させることにより、振動の位相をずらしビビリ振動の抑制が期待できます。
- [2024/6/12公開] Question ホーニング処理とはどのようなことでしょうか? 再研磨サービス連絡用紙の超硬ドリル欄にホーニング処理とありますが、どのような処理のことでしょうか? Answer ホーニング処理とは、刃先に微小な面取りまたはRを施す研磨処理のことです 刃先に微小な面取りまたはRを施すことで、バリなどを除去し刃先の表面性状を改善させます。それによりコーティングが均一に密着し、剥離が起きにくくなります。 また、刃先の剛性が上がるので耐久性も上がります。特に高硬度鋼などを加工する超硬ドリルに施すと、欠けが抑えられ工具寿命の延命化が期待できます。
- [2024/2/20公開] Question 穴あけ加工の精度にはどのような要素が影響するか知りたい 高精度の穴加工をするには、どのような要素が影響するかが分からない。 Answer ドリルの設計要素、先端角、シンニング、マージン、芯厚は穴精度に大きく影響します。 また、ドリルの正しい使用方法も穴精度に影響を及ぼします。 超硬ドリルとハイスドリルの穴精度の違い 穴精度は、穴径、穴位置、真円度、円筒度、加工面の粗さなどいくつかの穴精度の種類があります。 超硬ドリルはハイスドリルに比べて各項目とも数値が優れており、より精度の高い穴あけ加工が可能となっています。タグ:
- [2024/1/18公開] Question メッキ予定のタップ加工の対処方法は? メッキ予定の部品にタップをたてるのですが、タップ後にメッキをするのでねじが入らなくなるのではと懸念しています。どのような対処方法があるか教えてもらえますか? Answer オーバーサイズタップのご使用をおすすめします メッキ加工をするとメッキの厚み分だけねじ径が細くなります。タップ加工した穴にねじを取り付けてメッキをすることで、ねじ部にメッキが施されずねじが細くなることがありません。 その場合、ねじ部はメッキされないので、目的に合わないケースがあります。その時はあらかじめメッキ厚を見込んだオーバーサイズタップを使用することで、メッキ加工後でもねじが入らないことがなくなります。
- [2024/1/18公開] Question エンドミルで穴のくり広げ加工をするときの切削条件がわかりません 多刃のスクエアエンドミルで、穴のくり広げ加工を行う準備をしています。コンタリング加工で行うつもりですが、切削条件を教えてもらえますか? Answer コンタリング加工などの円弧加工を行う場合は、エンドミルの中心軸経路と外周経路の比で送り速度を下げる必要があります。 コンタリング加工などの円弧加工では回転速度と切込み量は側面加工の条件と同じですが、送り速度は補正が必要です。直線加工では送り速度とエンドミル外周における送り速度は一致しますが、円弧加工では外周における送り速度はエンドミルの中心軸経路と外周経路の比で設定値より速くなります。エンドミル外周における送り速度を適正にするには、中心軸経路と外周経路の比で送り速度を下げるように調整します。 ●中心軸経路と外周経路の比=(R-r)/R R:加工半径 r:エンドミル半径
- [2024/1/18公開] Question あり溝加工をするときの注意点を教えて あり溝カッターで、あり溝加工を行おうとしましたが、カッターが折れてしまいました。加工条件は切削条件表どおりなのですが、その他の注意点を教えてもらえますか? Answer Tスロットカッターやあり溝カッターは、刃径に対してネックが細いので過負荷にならないように注意が必要です。加工条件はもちろんなのですが、前加工と切りくずの処理にも注意が必要です。 Tスロットカッターやあり溝カッターは底刃が無いので、下方向に送る加工はできません。
- [2023/12/8公開] Question 刃先交換式エンドミルの有効刃数とはなんでしょうか? Answer 刃先交換式エンドミルの有効刃数とは、ソリッドエンドミルの刃数に相当します。チップの配置により有効刃数が異なる場合があるので、切削条件の送り速度に注意します。 2枚刃のソリッドエンドミルは、1回転あたりの被削材を削る回数は2回となります。 下図の刃先交換式エンドミルにはチップは4か所付いていて2列に配置されています。しかし側刃の配置は交互にあるので、1回転あたり被削材を削る回数は1回となります。実質の刃数は1枚刃と同等ですので、有効刃数は1枚となります。
- [2023/11/28公開] Question ドリルで加工できる深さを教えて ドリルで加工できる深さは溝長より短いと聞きましたが、どの程度の深さまで加工できるか教えてもらえますか? Answer 通常のドリルでは溝長から刃径の1.5倍を引いた長さを目安にします。またフラットドリルは溝長ではなく、カタログの加工可能深さを確認します。 ドリル加工は溝に沿って切りくずを排出します。溝をふさぐ深さまでドリルを挿入すると、切りくずが排出されずドリル折損の原因となります。また、溝のシャンク側は切り上げて浅いので溝の長さにマージンが必要です。特にフラットドリルの場合は、ねじれが弱く切りくずの排出性が悪いためマージンが長めに必要です。フラットドリルはカタログで加工可能深さを確認してください。
- [2023/11/28公開] Question 超硬エンドミル加工での送り速度と切込み量について教えて 超硬エンドミル加工で加工時間の改善のため、切削条件を見直そうとしています。送り速度は回転速度と1刃送りから算出するのは分かるのですが、肝心の1刃送りが分かりません。また切込み量の目安も教えてください。 Answer 基本はエンドミルの切削条件表から見て加工することをおすすめいたしますが、実加工に合わせ改善する場合、1刃送りと切込み量の調整範囲目安を記載しますのでご参照ください。 (1)1刃送りと送り速度 (a)1刃送りの目安 30°ねじれ、レギュラー刃長、2枚刃のミスミ超硬エンドミルで機械構造用炭素鋼を側面加工する場合、以下表の中央値で試し加工をおすすめいたします。
- [2023/11/28公開] Question TスロットカッターのT溝加工条件を教えて TスロットカッターでT溝加工を行おうとしていますが、切削条件表には切込み量が小さい側面切削条件しか載っていません。T溝加工の切削条件を教えてもらえますか。 Answer 実際に加工するときの切込み量とTスロットカッターの側面切削条件の切込み量の比で、送りを落として加工します。
- [2023/11/20公開] Question リーマ加工の方法を教えて リーマ仕上げ記号がある図面の加工をしたいが、この加工方法を教えてもらえますか? Answer リーマ仕上げはリーマ代を残した下穴にリーマを通して穴寸法と面精度を仕上げる加工です リーマにより加工可能被削材や加工可能形状、加工手段が異なりますので、まず加工目的に適したリーマを選択します。リーマ代を残した下穴にリーマを通しますが、切削条件はリーマ、被削材により異なりますので使用するリーマの切削条件表を参照します。リーマの種類と加工方法を以下に記載しますのでご参照下さい。 リーマの母材 リーマの母材はハイスと超硬があり、被削材が高硬度鋼などは超硬を選択します。 リーマの側刃形状 側刃形状はストレートとスパイラル、ハイヘリカルがあります。側刃にねじれがあると加工速度を上げることができます。また、ねじれ方向は右ねじれと左ねじれがあり、右ねじれは切りくずをシャンク側へ排出しますが、左ねじれは先端側へ押しだしますので通し穴用となります。
- [2023/7/3公開] Question エンドミル加工での被削材ごとの切削速度について教えてください エンドミル加工で回転速度を設定しようとしていますが、回転速度を切削速度と刃径から算出するのは分かるのですが、肝心の切削速度が分かりません。被削材ごとの切削速度を教えてください。 Answer 超硬エンドミルでの切削速度の目安を被削材ごとに記載しましたのでご参照ください 1. 切削速度の目安 被削材に適したコート付き超硬エンドミルでの側面加工を前提にしています。 以下の切削速度は目安ですので、事前テストで±30%の調整をしてください。 【側面切削 切削速度表】タグ:
- [2023/7/3公開] Question エンドミルでの突っ込み加工について教えて エンドミル加工で突っ込み加工をしようと考えていますが、どのようなエンドミルで行えるか知りたい また、突っ込み加工を行うときの切削条件を知りたい Answer 以下に穴あけ加工を行う工具の選定と突っ込み加工の切削条件を記載しましたのでご参照ください 穴あけ加工を行う工具の選定 1. 被削材形状による穴あけ加工の推奨工具 通常の穴あけ加工ではエンドミルよりドリルでの加工を推奨いたしますが、傾斜面や段差面への加工、穴底面をフラットにしたい場合などはエンドミルを使用することがあります。 また、先端が平らなフラットドリルでも加工できますが、加工目的の刃径が無い場合があります。タグ:
- [2023/3/16公開] Question ボールエンドミル加工のピックフィードの目安とは? CAMでツールパスデータを作製していますが、中粗加工と仕上げ加工のピックフィードを設定する目安はありますか? Answer ピックフィードはカスプハイト(理論加工面粗さ)を目安に設定します ピックフィードとカスプハイト(理論加工面粗さ)の関係 ピックフィードは大きくすると、加工面粗さが大きくなり仕上げ研磨工程の工数が多くなります。また必要以上にピックフィードを小さくすると、切削加工工程の工数が多くなります。適したピックフィードの選定は、中粗加工と仕上げ加工それぞれの面粗さを設定してから、ピックフィードを決めます。 ボールエンドミルのカスプハイト(理論加工面粗さ)の算出
- [2022/12/22公開] Question アルミ・一般鋼・ステンレス鋼を加工していますが、加工に使用するエンドミルを一本に集約できませんか? 単品加工の受注が多くアルミ・一般鋼・ステンレス鋼をメインに加工しています。その3種類の素材で良好な面粗度が得られるマルチ被削材対応のエンドミルはありますか?タグ:
- XALシリーズ・TSCシリーズ超硬ラフィングエンドミルによる溝・側面切削 XALシリーズ・TSCシリーズ超硬ラフィングエンドミル45°ネジレタイプ VACシリーズ超硬ラフィングエンドミルによる溝切削 TSCシリーズステンレス鋼用超硬スクエア3枚刃・ラフィングエンドミルみよる溝・側面切削 アルミ用超硬ラフィングエンドミルによる側面切削 XALシリーズ・TSCシリーズ超硬ラフィングエンドミルによる溝・側面切削 機械、チャックは剛性のある精度の高いものをご使用ください。 切削油は被削材に適したものを選定してください。 ご使用の加工機で回転速度が上がらない場合は、送り速度と回転速度を同じ比率で下げてご使用ください。タグ:
- [2022/04/08公開] Question SUS304に小径タップ加工したがタップが折れてしまった。折れた理由と適切な加工方法を教えてほしい M3以下のタップでSUS304のタップ加工をすると加工中にタップが折れる事がある。 折れてしまう発生理由と折れないようにするための対策を知りたい。 Answer SUS304の小径タップ加工の留意点と対策 SUS304の下穴加工では加工熱により穴径が加工後に収縮する事があり、その後のタップ加工で想定以上の取り代を加工する事で工具への加工負が増え、結果的に工具の折れが発生します。 解決策としては下穴加工時に加工収縮を想定したオーバーサイズのドリルを使用し、タップ自体の負荷を下げる事です。 各サイズの選定サイズは以下の通りです。目安として刃鉄系加工時の穴径の+0.02~0.08mm程度に設定してください。 図1 SUS304加工時の下穴設定タグ:
- [2022/03/10公開] Question ミスミ品の不等リードエンドミルを購入したが再研磨はしてもらえますか? ミスミ品の不等リードのエンドミルを購入したのですが、将来的に新品通りの角度に研磨できますでしょうか? 他社研磨屋で、不等リードは角度が不明で研磨不可と言われたのですが、ミスミでは対応可能か確認したいです。 また、ミスミ以外の不等リード品は再研磨してもらえるのでしょうか? Answer ミスミ品であれば不等リードの再研磨の対応は可能です。 ミスミ品であれば、新品時の精緻な角度データを基準として再現が可能(Φ5未満は対応不可)です。 再現された不等リードの効果は新品時と同等でご使用が可能になります。 ただし、ミスミ品以外の不等リード品の再研磨は対応しておりません 図1 再研磨NC加工
- [2022/03/04公開] Question エンドミル加工の切削条件を求める方法を教えて エンドミル加工を行うために切削条件表を調べましたが、自分が加工しようとした条件が載っていませんでした。 切削条件を算出する方法を教えてください。 Answer 回転速度は切削速度から、送り速度は1刃当りの送り、切込み量は刃径より算出します 回転速度は切削速度と刃径から算出しますが、その切削速度は切削条件表または被削性指数を参考にします。 送り速度は1刃当りの送りと回転速度、刃数から算出します。 切込み量は刃径より算出します。 算出した結果をもとに、加工テストを行い切削条件の調整を行います。 回転速度の算出方法 図1 回転速度と切削速度の計算式タグ:
- Question 曲面加工を高精度に仕上げるには? 金型の曲面形状を仕上げる際、手作業による磨き工程にかかる時間を減らすために、切削加工で、できるだけ高精度に仕上げたい。どのような方法が有効でしょうか? Answer 高速ミーリングの有効性 ボールエンドミルによる曲面形状切削で良好な加工面粗さを得るには、1刃あたりの送り量とピックフィードを小さくしなければなりません。ところがそのような切削条件では、実送り速度が低下し、ツールパスが伸びるため、加工時間は長くなってしまいます。そこで、加工時間の延長を抑えながら加工面粗さを向上させるには、回転数を高める必要があります。回転数を高めると刃先の切削特性が向上し、バリの発生も抑えられ、加工面は高品位になります。 このような、微小な切り込みと高速回転を条件とする高速ミーリングは、小さい切削抵抗で安定した加工が可能になるため、工具摩耗の進行が遅いことも特徴です。ツールパスが長い仕上げ加工においても高精度な加工が長時間維持できます。