単一のエンドミルで、異なる被削材の面粗度を向上させるポイント

アルミ・一般鋼・ステンレス鋼を加工していますが、加工に使用するエンドミルを一本に集約できませんか？

単品加工の受注が多くアルミ・一般鋼・ステンレス鋼をメインに加工しています。その3種類の素材で良好な面粗度が得られるマルチ被削材対応のエンドミルはありますか？

不等リード・不等分割エンドミルは防振効果があるのでアルミでもステンレス鋼でも良好な面粗度を実現できます

面粗度が悪くなる要因の一つにエンドミルのびびり（振動）があります。
エンドミル加工では、エンドミルそのものが周期的な弾性変形を繰返します。
この振幅はアルミは小さく、一般鋼やステンレス鋼は大きくなるため面粗度が悪化します。

刃を不等分割にして、刃があたる間隔をずらすことにより、それぞれの刃の振幅のタイミングがずれ、ピークが減少します。また同様に不等リードはエンドミルの軸方向において連続的に刃のあたるタイミングがずれ、振幅の重なりによるピークが減少します。そのため、アルミ、一般鋼、ステンレス鋼等の幅広い材種において良好な面粗度を実現することがきます。

ステンレス鋼（SUS304）、アルミ（A5052）における切込み量別の面粗度比較テスト

今回の加工テストでは一般鋼よりも難削のステンレス鋼（SUS304）と、見た目の仕上がりを求められるアルミ（A5052）それぞれの比較加工を行いました。
エンドミルはミスミ製XAL-EM4R10（等リードエンドミル）とXAL-VHEM4R10（不等分割・不等リードエンドミル）を使用し、側面切削で比較した結果、切込み量Rd0.01～0.4mmの全領域で、通常の切削加工仕上げRa0.8をクリアしました。ただし、等リードエンドミルでは切込み量を増やすと面粗度が粗くなる傾向になり、対して不等分割エンドミルでは切込み量を増やしても安定した面粗度Ra0.2を得ることができました。
不等リードエンドミルはより安定した面粗度を実現できたといえます。

【被削材：ステンレス鋼304テスト結果】

【被削材：ステンレス鋼（SUS304）テスト加工動画】

【被削材：アルミ（A5052）テスト結果】

【被削材：アルミ（A5052）テスト加工動画】