切削加工:基礎知識(旋削工具と材質)
- [2024/4/14公開] Question 旋削の内径加工でびびりが発生してしまいます 旋削の内径加工でびびりが発生して困っています。できるだけ加工効率を下げたくないのですが、何かよい方法はありますか? Answer びびり対策には、切削条件の調整とチップ形状の選定、振れ止めの設置、ホルダの突き出し量や剛性を上げるなどの方法があります。 【切削条件の調整】 びびりが発生した場合、まず刃先位置が加工中心より低くくバイトやチップの逃げに当たっていないことを確認します。刃先位置調整後、切削条件の回転速度、送り速度、切込み量を落としてみます。送り速度と切込み量は逆に上げると、びびりが発生しなくなる場合もあります。
- [2024/4/14公開] Question 旋削加工の後挽きとは何ですか? 旋削加工の後挽きとはどんな加工のことでしょうか?また、裏挽きとか前挽きとかの違いは何ですか? Answer 後挽きとは加工物の最大径の位置より旋盤チャック側を加工することです 下図のような加工物を加工する場合、B部をつかみA部を加工した後、B部を加工するためA部につかみなおすと(通称トンボ加工)、A部とB部の軸がずれてしまいます。旋盤の回転軸とチャック本体、爪の間にわずかですが軸ずれがあるためです。 B部側につかみ代を設け、長いものでしたらA部側を回転センターなどで支えて加工すれば、つかみなおさないので加工物の軸ずれが発生しません。
- [2024/4/14公開] Question 旋削ホルダのクランプについておしえて 旋削ホルダのチップをクランプする種類は多数ありますが、それぞれどんな特長がありますか Answer クランプ方式には取付け構造により、チップの脱着が容易なもの、剛性が高いもの、穴無しチップ用などがあります。 旋削の外径加工ではチップの負荷は軽切削と重切削では大きく異なります。そのためクランプ構造は軽切削向けで単純構造のものや、重切削向けで高剛性のもの、穴無しチップ用などがあります。通常ホルダ型番の先頭アルファベットはクランプ方式を表わしていることが多く、加工目的にあったものを選定するときはそれも参考にします。代表的なクランプ方式を以下に記載していますのでご参照ください。 クランプオン(ホルダ型番先頭 C) クランプ駒(押さえ金)を用いて穴無しチップの上面を固定する方式 穴無しチップ向けタグ:
- [2024/4/14公開] Question 刃先交換式旋削ホルダの型番についておしえて 旋削用の刃先交換式ホルダを選定していますが、ホルダの型番はどのようにしてつけているのですか Answer 旋削用の刃先交換式角シャンクホルダの型番はメーカー特有のものもありますが、JIS B4125にて以下のように呼び記号を規定していて多くのものが準拠しています。角シャンクホルダを選ぶときは、JISの呼び記号を知ることで形状がわかりますので参考にします。タグ:
- [2024/2/15公開] Question 旋削ねじ切りチップのさらい刃とは何ですか? 旋削ねじ切りチップには、さらい刃があるのとないのがありますが、さらい刃とは何ですか? Answer 旋削ねじ切りチップのさらい刃とはねじ山の頂点を仕上げる切れ刃のことです さらい刃のないねじ切りチップは、ねじ山の頂点部にバリが発生するため、バリ処理とねじ山の形状を整える必要があります。ねじ山部にバリが発生するとねじゲージに入らない不具合や、バリを巻き込む現象など不具合が発生します。 さらい刃のあるねじ切りチップでは、ねじ山高さを仕上げる切れ刃により、適正なねじ山頂点の形状に加工でき、またバリを除去できます。
- [2024/2/6公開] Question 旋削チップ(またはインサート)の選び方を教えてください インサートの種類がたくさんあり、材種とブレーカーの組み合わせのどれがベストなのか分からない Answer メーカー推奨のインサート材種とブレーカーの組み合わせを参考にしてください。 三菱マテリアルの旋削加工用インサートの「おすすめ組み合わせリスト」をご用意しました。
- [2023/11/28公開] Question 外径用旋削ホルダを選定したい 外径用旋削ホルダはたくさん種類がありますが、どのように選定するのか教えてほしい。 Answer 旋削ホルダとチップを選定するときは、まずホルダを選定します。チップはホルダに適合するものから加工目的に合わせてチップを選定します。ホルダの選定に必要な仕様と選定内容を、以下に記載していますのでご参照ください。 外径用旋削ホルダの選定に必要な仕様と選定内容 ①加工用途の選択:下図の加工形状に応じて選択します。
- [2023/10/26公開] Question 旋削チップの選定方法を教えて ホルダに合った旋削チップを探していますが、旋削チップの型番に□□や**などが記載されていて、型番がわかりません。旋削チップの選定方法を教えてもらえますか? Answer チップ形状とブレーカタイプ、チップの材種を特定して選定します チップ形状は取り付けるホルダから特定します。ブレーカタイプは荒、中、軽(仕上げ)などの加工用途により選び、チップ材種は被削材種と連続、断続などの加工状態から特定します。 以下に詳細選定方法を記載します。 (1)チップ形状タグ:
- [2023/8/29公開] Question 外径バイトの選定を行う際に考えるポイントは何ですか? さまざまな外径バイトがありますが、選定する際の注意点を教えて欲しい。 Answer 外径バイトの選定で重要になるポイントは切込み角です。切込み角の特性を理解することで、より適切な工具選定とその特性を活かした使いこなしが可能になります。 外径バイトの種類と切込み角 外径バイトはJISで定義された歯形形状記号で定義づけされていますが、これらは切込み角が異なります。 切込み角とは、”ワーク外径と切れ刃からなる角”で定義づけられ、切削特性に影響を与える重要な要素です。 切込み角が切削特性に与える影響 切込み角は、おもに「切取り厚さ」と「切削力の向き」に影響を与えます。タグ:
- [2023/8/24公開] Question 外径溝入れ加工を行う際に気を付けるポイントは何ですか? さまざまな外径溝入れ工具がありますが、選定する際の注意点を教えて欲しい。 Answer 外径溝入れ加工を行う際は、用途に応じた適切な工具選定と使用上の注意点を意識して用いることが重要です。 また溝入れ加工に限らず、溝入れ工具を旋削加工に用いることで工具集約による加工時間の低減も可能です。 外径溝入れ・横送り加工用工具の選定 溝加工の状況により「クランプオン式」「セルフクランプ式」「スクリュークランプ式」から適切な方式の溝入れ工具を選定してください。 溝幅の精度 加工する溝幅の精度により、「型押し品」「研削品」のインサートを使い分けてください。 横送り加工 溝入れ加工に限らず、溝入れ工具を旋削加工に用いることで工具集約による加工時間の低減も可能です。溝入れ工具で横送り加工を行う際は、工具やツールパスの面で注意点が多いため、これら注意点を守った加工の実施が必要です。タグ:
- [2023/7/4公開] Question 突切り加工において正しい工具選定の方法や、加工時に注意すべきポイントは何でしょうか? 突発的なインサート欠損などのトラブルが生じていて、工具選定が悪いのか加工方法が悪いのか判断ができない。 Answer 工具のセッティング方法、工具選定、加工時のポイントなどを注意することで安定的な加工が行えます。 ・工具のセッティング 溝入れ工具を使用する際、工具のセッティングが非常に重要なポイント 回転軸に対してインサートを垂直(90°)に取り付け、刃先高さ(芯高)は±0.1mm以下に設定することが重要 ・突切り幅の選定 突切り幅の広さによって、歩留まりや工具特性にメリットやデメリットが生じます。 加工するワークに応じて、安定した加工ができるインサートの選択が重要です。タグ:
- [2023/6/6公開] Question CBNインサートでの旋削加工時の正しい切削油の使用方法は何ですか? CBNインサートを用いた旋削加工時に切削油は使用するべきでしょうか。また切削条件や加工種類、材種の硬度によって使い分ける必要はありますか? Answer CBNインサートは連続加工時では切削油を使用、断続加工時には使用しないことが長寿命化のポイントになります 加工物によって適切な切削油の使用方法が異なります。 連続加工時は切削油を使用した方(湿式加工)が工具寿命延長に効果的です。 一方、断続加工時は切削油を使用しない方(乾式加工)が工具寿命延長に効果的です。
- Question 内径用旋削ホルダとチップを選定したい 内径用旋削ホルダとチップの選定にあたり、選定方法と注意点を教えてほしい。 Answer 内径用旋削ホルダとチップの選定方法のコツ 旋削ホルダとチップを選定するとき、ホルダを先に選定する方が効率的です。 メーカ各社のカタログは、旋削ホルダに適合するチップを探すのは比較的容易ですが、チップに対応するホルダは、掲載が分散していて比較しづらいことがあります。 内径用旋削ホルダの選定 加工目的に適したそれぞれの条件を選定する。タグ:
- ステッキバイト(板バイト) 完成バイト ステッキバイト(板バイト) 旋削加工(円筒型の金属を加工する場合)に使用する切削用刃物です。タグ:
- 工具材質の特性 切削工具材質の特性 ハイス(高速度鋼)は、靱性は非常に高いですが硬度が低く、またダイヤモンド(PCD)は非常に硬いですが、その反面、靱性が非常に小さく欠けやすいです。超硬は、硬度と靱性の間のバランスがよくとれており、さらに切削時の高温許容度も高く、幅広く使用されています。前述のハイスは切刃温度が7〜800℃以下でないと使えず、そこで鋼をバリバリ切削するのは困難です。ダイヤモンド(PCD)も硬度が非常に高いですが許容温度から制限があり鋼をバリバリ切削できません。アルミニウムのように切削熱の上らない素材を高速で切削します。
- 切刃(チップ)の型番について ツールホルダ(バイト)の型番について 旋削工具の選び方(ツーリング) 円筒形の金属を加工する場合 切刃(チップ)の型番について 切刃(チップ)やホルダに記載されている型番は簡単な暗号になっています。読み取り方さえ理解すれば形状、タイプ、サイズなど基本的な情報が分かるようになります。またホルダ側の型番も適応工具が見分けられます。 ※ブレーカー記号、チップ材質は各メーカー独自の記号となっています。タグ:
- 金属切削工具とは何か? 被削材(ワーク)の分類 金属切削工具とは何か? 金属切削における命題は、速い金属排出率(高い生産性)と信頼性です。 加工がうまくいく重要な要因は、加工する金属の加工性を考慮し、それに従って切削工具を選択することです。 切削工具に関しては、3つの重要な事柄があります。 すなわち切削工具は3つの主要な素材から成り立っていると言えます。タグ: