ここではねじ締め自動化作業のトラブルの発生率の高いねじ位置決めミスに付いて解説する。
(1)ねじ位置決めミスとトラブル要因
- ねじの位置決めミスの要因は、ねじ形状やねじを締めつけるワーク側の両者の特性要因もあるが、自動化装置側の要因がそれ以上に大きい。図1にねじ位置決めミスの要因を示した。
- トラブル要因の多くがねじを締めつける側のワーク品質に関係する項目と成っている。これらの副次的な要因としてねじのクランプ不良が関係している可能性が大きい。したがって、自動化装置側の課題として、(1)ねじ位置ズレ、(2)振動ズレ、(3)ねじのクランプ不良、の対策が重要となる。この3項目の不良要因の(1)と(3)は、前号で解説したねじの供給ミス対策とも関連を持ってくる。
(2)ねじ位置決めミスと供給条件/クランプ機構の関係
- ねじの位置決め作業は、ねじをエアーシュートなどで移送した後のねじチャック部でのねじの姿勢と位置決めが適切でなければならない。ねじの姿勢や位置決めが不完全な場合、高い確率で位置決めミスが生じる。
- ねじチャック部での位置決めを確実に作動させるには、a)移送中のねじ姿勢、b)移送後のねじの安定停止、c)安定停止後のねじチャックの確実性、の3要素が求められる。
- ねじチャック部での位置決めを確実に作動させるために次の3種のチャック機能が求められる。
- チャック機構部の設計手順は次のプロセスが参考となる。
- 移送ねじのストッパ方式とねじクランプ方式にバネを用いた機構の場合、次のバネ力の関係が保たれる様に条件(ねじ移送速度等)と機構部を調整する必要がある。
- 振動による位置ズレも対策を要する要因となる。また自動機が生じさせる騒音にも関係するためパーツフィーダや整列ユニットの選定と供給速度の適正化などが課題となる。
(3)ねじ締結作業の工程設計の重要性
- 典型的な工程設計例を次に示した。「位置決め確認」の判別工程は、位置決めの確実性とねじ締結トルクの安定制御に必要となるため1工程として独立させている。