部品移送の自動化でトラブル対策にパワフルな生産技術に画像処理技術がある。整列機やコンベア上での搬送部品の姿勢不良や位置決めミスのトラブル対策のほかに異物混入対策にも効果が高い。画像処理技術の概要を解説する。
(1)自動化と画像処理
・生産ラインでは、搬送、加工/組立、検査の全ての工程で視覚検査の機能として画像処理技術が活用できる。
・位置決めミスのトラブル対策として、位置決めステージの前でねじ部品の位置や姿勢の適正さを計測し、不適切な姿勢部品を排除する(図1)。
・異物混入のトラブル対策として、検査品の外形をパターン認識させておき、異なるパターン部品(異物)を排除する。
・検査への応用では、ねじ締結後の外観状態を画像処理技術で検査する事例などがある。
(2)画像処理技術の基本
人間の眼による状態認識を画像処理で実施する場合の主な技法として次の4種がある。
a)映像信号を2値化して領域判別
b)対象物の局所的特徴を抽出して検査に適用
c)姿勢や回路パターンなど検査したい形状を事前にテンプレート形状として認識させ、このテンプレートとの照合検査(テンプレートマッチング)で位置決めやキズ検査などに適用(図2)
d)対象物の面積や外周長などの大局的特徴を演算算出し部品分類や位置決めに適用
解説
・映像信号の2値化処理は、画像信号(例:明るさ)に対する閾(しきい)値基準に対する大小で「1」「0」の2値デジタル化させる。
・2値化で対象物の外形認識が可能になると次のような形状検査が可能となる。
1) 投影形状から製品認識、異物検査
2) 投影形状の重心
3) 重心から輪郭までの距離(最大距離、平均距離)
・対象物の外形認識による局所的特徴では、プリント基板の検査やキズ検査には適用できない。
・テンプレート照合法は、対象物の画像認識に必要な形状的特徴をテンプレートとしてパターン認識させておき、複雑形状の精密位置決めや姿勢制御、回路パターンの不良判別などに利用する。
・対象物は多様な外形(3次元凹凸物)のため、次の変動パラメータに対して好ましい使用法の選択が重要。
1) 画像処理カメラの向き(見る位置、画像エリアの広さ、他)
2) 画像処理エリアの照明条件(明りの強さ、向き、明るさの変化度合、他)
3) 対象物の状態の適正化(部品の重なり等の回避、他)