ここではねじ締め自動化作業のトラブルの発生率NO.2のねじ部品供給ミスに付いて解説する。
(1)ねじ部品の供給ミスとトラブル要因
・前回のねじ締結不良と今回のねじ部品の供給ミスのトラブルが、ねじ締め自動化におけるトラブルの約50%を占めている。
・使用されるねじ形状(ねじ径、長さ、特殊ねじ、座金付き、他)が非常に多種であることや処理タクトが短いなどの要因も影響してくる。
・このねじ部品の多種性を下記に示した。
・このねじの多種性以外のトラブル要因として、加工法の違いで生じる外周部のバリや製作ロット毎のねじ品質のバラツキなども無視できない。
・ねじ部品供給ミスの要因の典型的な分布データを図2に示した。このデータより、トラブル要因は、(1)供給機構側(パーツフィーダ側、供給パイプ/シュート側)、(2)ねじクランプ機構、(3)ねじ部品品質の3つに大別できる。
(2)ねじ部品と供給難易性
・ねじ部品の多様性(図1)から、安定してねじ部品を供給することの難しさはある程度理解できると思われる。
・ねじ外形の違いは供給姿勢に大きく影響する“重心”や“摩擦特性”を変化させ、低コストのねじはバリや帯磁などの影響も生じることがある。
・座金付きの場合は、“からみ”や座金が外れて異物となる場合があり、対策が複雑化する。
・図3-a)の場合は、移送時のねじ姿勢と移送後のねじ締め方向が一致しているためねじ姿勢の反転が不要だが、移送方向に対して重心がねじ後部にあるため供給パイプの曲がり部などで“つまる”などのリスクが高くなる。
・図3-b)の場合は、移送時の姿勢安定性は良いがねじ締め工程の前で反転処理が必要となる。
・図2の供給ミスの要因のNO.1とNO.3の両者に異物混入が関係するため、異物混入によるトラブルを回避するための対策を持つ事が非常に効果的で、次のような対策案がある。
a) 納品検査時の異物混入検査(自動選別等)
b) 自動化工程での二重選別設計
(3)供給システムの設計の重要性
・ねじ締結の自動化は、生産性と確実性を同時に求められる。
・自動化工程は、ねじの整列供給ユニットとねじ締結ユニットで構成され、前者はパーツフィーダを含むため部品整列は確率的処理となる。他方、ねじ締結ユニットは固定タクト処理となる。
・この2つの異なる処理タクトのユニットを連結するには整列ねじの貯蔵バッファを持たせるのが好ましい。