ねじ締結自動化での画像処理による検査として、ねじ部品の外観検査(異物、バリ、変形など)と締結後の状態検査が挙げられる。ゼロディフェクト(ゼロ不良)が要求される中で、人の検査のバラツキを回避する手段としても画像処理による検査の技術高度化が求められる。
(1)画像処理による検査の必要性
人の目視検査では次のような問題が挙げられるため、画像処理による検査が求められる。
- 検査作業者の感覚的判断による検査と成りがちで個人差が避けられない。
- 検査作業による疲労により判断基準が変動する。
- 視認検査の長時間作業は労働環境的に限界がある。
- 検査者の習熟度の違いで検査生産性の差が大きく人件費への影響が大きい。
(2)画像検査の自動化の難しさと色々な技法
・外観検査は、単純な異物混入の判別から汚れなどの定性的感覚的な判断まで色々とあり、それぞれの検査項目に応じた画像検出センサと検査判別アルゴリズム/プログラムが必要となる。
・このため、投資対効果の点から外観検査の自動化が敬遠される場合が少なくない。
・画像検査のうち、部品の有無、大まかな形状と姿勢/方向の認識程度であれば、検査対象物を限定させることで、シンプルで低価格な検査システムが構成できる。
・画像センサは、(1)単純な光電センサ、(2)リニアイメージセンサ(図1)、(3)マトリクスイメージセンサ、(4)パターン認識装置(図2)があり、(3)、(4)の使用ではパターン認識のために各種の数値演算処理が採用される。
・光電センサ(フォトトランジスタ、光電センサなど)の複数個の組合せで、検査対象物の概略外形や方向、表裏の判定が可能(図3)。
・画像センサの設置スペースが限られる場合などには、オプチカルファイバで画像センサまで伝送する技法が利用できる。
・対象物が小さい場合、デジカメの画像をモニタテレビに映し、拡大された対象物を光電センサで処理する手法もある。
・リニアイメージセンサは、コンベア上で検査対象が移動する場合などに多用される。マトリクスイメージセンサは光電素子をマトリクス状に配置させたもので、2次元平面の検査に適用される。
・画像センサの使用法にもノウハウ的技術が求められ、環境変動(ゴミや異物付着対策、周辺の明るさの均一化処理、他)や、センサ周辺の機材色を黒として突発的な反射光によるノイズ回避などが必要。
・画像データの処理装置は、2値化信号の判別(パルス幅のカウントなど)や「1」「0」の各信号エリアの数値カウント処理などを行う。パターン認識では、面積とその特徴(重心位置、穴の数、位置、他)や長さなどを演算処理でデータ化し、比較/判定などの処理を行うことができる。
(3)ハンドリング機構と画像処理
・画像検査の結果(データ)によりハンドリング機構で異常部品の排出などの処理を行う。