アクチュエータを持つ簡易自動機(LCA:ローコストオートメーション)の設計は、機械の寸法や重量、強度などのほかに速度、アクチュエータに必要な負荷の大きさを決めなければなりません。
以降では、操作性・制御性・高精度に優れる電動モータと、出力/重量比が大きく速度調整が容易な空圧シリンダを例に、力学とLCAを解説します。
(1)直線運動機構と力学の関係
【図1】は代表的な直線運動機構です。
アクチュエータは電動モータ式としていますが、電動モータとボールねじ、連結部品(カップリング)を交換すれば空圧シリンダ方式も同じ構造となります。
静止状態では力はつりあい状態にあります。したがって剛性設計が主なテーマです。
静止状態のLCA機構設計 → 「力のつりあい」の剛性設計
直線運動状態における力の作用状態(力学)は【図2】と単純化できます。
電動モータの回転力でボールねじを回転させ、その回転トルクを直線方向の力に変換させる機構です。この状態では、「ニュートンの運動の法則」の3つの法則が関係してきます。
運動状態のLCA機構設計 →
移動体の重量と変動する位置、速度/加速度、慣性力への対応設計
(「ニュートンの運動の法則」)
■ニュートンの運動の法則
運動の法則 | 法則 | 内容 |
第1法則 | 慣性の法則 | 物体に外力が作用しなければ運動状態は変わらない。 【例】 1.宇宙空間での人工衛星の飛行状態 2.電車内で加速度が変わると体が揺れる |
第2法則 | 運動方程式 | 物体に外力が働くと加速度が生じる。加速度の大きさは外力に比例し、力が作用した方向に生じる。 【例】 エンジンの回転数を上げると加速度が大きくなる。その大きさは車の重量に反比例する。 |
第3法則 | 作用・反作用 | 2個の物体間に力が作用するとき、その力の大きさと同じで反対方向にも力が作用する。一方を作用、他方を反作用という。 【例】 車の急発進時、加速度が急激に大きくなると慣性力が体に働く。このとき、体を支える座席シートが変形すると同時に、シート側からの反作用の力が体に戻ってくる。 |