ボールねじの高速化は、電子部品の実装機やロボット、NC工作機械の重要ニーズへの対応課題の一つです。ここでは、高速化のための技術について解説します。

(1)ボールねじの高速化

 ボールねじはモーターの回転を直線運動に変える機構要素のため、高速化は次の2つの手段となります。

(1)1回転に対する直線運動距離を長くする → 大リード化
(2)回転数を高くする → 高速回転化(かつ高精度化を両立)

 ボールねじの高速化のニーズは、高精度性能を伴う要求のため(1)と(2)を両立させる必要があります。

(2)高速回転化の課題

 ボールねじの高速化には、次の難易度の高い課題があります。

a)鋼球の公転速度:dmn値による高速限界の対応・・・dm:鋼球の径、n:回転数
b)ねじ軸の危険速度
c)温度上昇による熱変位の影響増大
d)振動や騒音の増大
e)高速運動・高加減速運動による負荷(慣性力など)の増大

解説

a)
鋼球の公転速度:dmn値が増大すると、鋼球の運動による繰り返し衝撃力による循環路への損傷が無視できなくなる。例えば、リターンチューブのタング部が破断するなど

【図1】リターンチューブの破損事例

b)
ボールねじを高速回転させると、両端支持された細長いねじ軸の固有振動数と回転数が共振現象を生じる危険速度に達する。
c)
ボールねじは鋼球とねじ軸は摩擦トルクが生じる摩擦抵抗により、高速回転化に応じてボールねじ全体の温度上昇に繋がる。この温度上昇が熱膨張を生じさせ、精度劣化を引き起こす。
d)
ボールねじにはナット内部に複雑で不連続な(滑らかでない)経路を有すため、鋼球運動の高速化に伴い振動や騒音の増大を引き起こす。
e)
ボールねじは可動体を高速・高加減速状態で運動させるため、ボールねじへの負荷が増大する。