プラ型用部品
- プラスチック射出成形金型部品に使用される金属材料は、特殊鋼が大半を占めていますが、鋳鉄、銅合金、アルミニウム合金、超硬合金なども使用されています。 これらの金属材料は、引張強度や曲げ強度、かたさなどの特性がありますが、金型部品の破壊を考える上では素材が「延性材料」であるのか「ぜい(脆)性材料」を知っておくことは重要です。 なぜならば、延性材料とぜい性材料は、破壊に至るプロセスが全くことなることから、万が一、部品が破壊した場合でも最悪の事態を回避できるようにするためには、いずれの性質に属する素材を使用すべきかを、設計の時点で検討すべきであるからです。タグ:
- 金型は、プラスチック成形をするための精密機械ですが、その機能を維持するためには適切な強度を確保しておくことが必要になります。また、金型を取り付けたり、取り外したりする作業においては重量物になりますので、移動時に自重で変形したり破壊したりという突発的なトラブルによって人身事故が発生しないように十分な強度を確保していなければなりません。 そのためには、経験と勘による強度確保のみでは不十分であり、材料力学を基礎とした強度計算を応用して金型を設計することが重要です。 プラスチック射出成形金型の設計では、以下に挙げる材料力学的試験のデータを活用することが必要です。タグ:
- 精密な成形品を得るためには、金型のキャビティ表面に加工されている形状や面粗度を、可能な限り忠実に転写させることが求められます。 表面形状の転写が問題となるケースとしては、以下のような事例が挙げられます。 鏡面仕上げを要求される光学部品(レンズ類) エッチングや梨地処理を美麗に転写したい成形品(化粧品ケース、装飾品など) 微細な表面形状を正確に転写したい成形品(マイクロ流路、導光板など) 表面の転写性は、主に次のファクターが関与しています。タグ:
- 金型部品を切削加工するためには、ドリル、エンドミル、バイトなどのツールを使用します。ツールは様々な硬質素材を使用して、切削面が滑らかに仕上げられるような工夫がなされています。 主要なツール用の素材には、以下のような種類と特徴があります。 (1)高速度鋼 切削工具としては最も昔から使用されている特殊鋼です。英訳するとハイスピードスチールとなりますので、略称として「ハイス」と呼ばれることも多い素材です。 高速度鋼は、刃先の耐摩耗性を改善するために、コバルトなどのレアメタルを含んでいます。 一般には、非熱処理鋼、硬度40HRC以下のプリハードン鋼の切削に、主に使用されています。熱処理された硬い鋼の加工には適していません。 (2)粉末ハイス 高速度鋼を粉末にして、コバルト、タングステンなどの高硬度素材を添加して作られる素材です。刃物の表面に、イオンプレーティングなどの皮膜をコーティングして使用するケースが多い素材です。高硬度の素材の切削には適していません。タグ:
- スプルーブシュは、射出成形機の射出ノズルから溶融したプラスチックを、金型内へ誘導するための流路を確保するためのブシュです。ミスミからも各種のスプルーブシュが規格化されて販売されています。 スプルーブシュのノズルが接触する部分をノズルタッチ部と呼んでいますが、この形状は一般的にSR(球状の面)形状で設計製作されています。 成形機の射出ノズルの先端SR寸法と、スプルーブシュのノズルタッチ部のSR寸法の関係は、以下のようになるように設定します。 SR≧Sr+1タグ:
- MEMSとは(MIcro Electoro Mechanical Systems、マイクロ電気機械システム)であり、マイクロマシンや分析装置、反応装置などの機器がこの分野に含まれています。また、バイオテクノロジー(生物化学)やゲノムテクノロジーなどの分野と、MEMSを含めたより広い分野は「マイクロ化学システム」とも呼ばれています。 このような新しい分野の機器は、薬品の合成、化学分析、DNA分析、医学的診断などの用途で、あたらしい市場を作り上げようとしています。 例えば下記のような分野で実用化が進んでいます。タグ:
- レンズ、導光板、導光体、透明ケース等の成形品ではキャビティ表面の面粗さによって、光透過率、光複屈折率などの光学特性は大きく左右されます。キャビティ表面の面粗さを改良するためには、刃物による切削加工条件、砥石による研削加工条件等の加工プロセスの制御によってもある程度は改善が図られますが、表面粗さが1ミクロンメートル級以下の高精度が求められる場合には、キャビティの鋼材自身の選択から考慮をしないと所望の面粗さを獲得することは困難です。 キャビティ用の鋼材は、炭素工具鋼をベースとした合金工具鋼が使用されますが、鋼材を精錬するプロセスにおいて、鋼材中に炭化物や酸化物などの不純物が混入したり、ピンホールを生ずる危険性が常にはらんでいます。 鏡面仕上げをする場合には、これらの不純物等の微細な内部欠陥が磨き面に現れてしまいますと、それまで磨き仕上げをしていた工数は無駄になってしまい、補修も事実上は不可能になり、多大な時間のロスと出費を余儀なくされてしまいます。 したがいまして、鏡面仕上げを当初より所望する場合には、鋼材の選定から入らないとなりません。 表面粗さが0.1~0.005ミクロン級の磨きを必要とする場合には、下記の特性を満足する鋼材を選定する必要があります。タグ:
- フィルムゲートは、成形品の側面に、薄いフィルム状の長い距離のゲートを設ける方法です。 溶融したプラスチックをキャビティの中へ充填させるために、ゲートは様々方式があり、本数や配置も成形品の仕様によって適宜選択がなされます。 ゲート方式が、サブマリンゲートやピンポイントゲート、細いサイドゲートのような場合にはキャビティ内へ流動する流れ方が強制されてしまい、流動方向と流動に対して直角方向での収縮状態がアンバランスになり、またガラス繊維入り樹脂の場合には、ゲート近傍での配向が顕著に生じます。このような状態になると成形品にそりを生じたり、変形が発生しやすくなる傾向にあります。 キャビティ内へ安定して樹脂を注入させる方法の1つとして、フィルムゲートがあります。ランナーからフィルムゲートへ到達した溶融樹脂は、薄いスリット状のフィルムゲートを通過する際に流入速度が減速され、ゲート幅の範囲で一定状態で流入します。 このような状態で充填させることで、そりや変形の危険性を低減させることができます。 フィルムゲートは、下記のような成形品のゲート方式に採用されています。タグ:
- キャビティやコアの表面は、成形材料から発生する揮発成分や、大気中の水分によって酸化したり(錆びる)、腐食する可能性があります。 キャビティの表面は、成形品の離型を考慮すると、丁寧に磨き上げられてピカピカの面の状態を保っていることが必要になります。 酸化や腐食を防止するためには、キャビティの表面をめっきする手法が採用されています。めっきの中でも硬質クロムめっきが代表的なめっきです。 硬質クロムめっき(Hard chromium plating)は、耐磨耗性が良好で、耐食性に優れています。 表面皮膜の硬度は、700〜1000HVであり、白色の金属光沢をしています。 めっきは、無水クロム酸、硫酸等からなるめっき液中に被加工物を沈め、電流めっきします。 めっき皮膜は、大気中では強固な卑金属の不動態化皮膜です。めっき表面エネルギーは低いので、他の物質との凝着がしにくい特徴をもっています。したがって、プラスチック成形品がキャビティから離型しやすくする機能も有していると言えます。 めっきを上手に行うためには、めっき前にめっき部分の表面を丁寧に磨いておいて、めっきが着きやすい状態にしておくことが推奨されます。タグ:
- プラスチック成形金型やプレス金型に使用される特殊鋼の規格は、世界で統一された規格はほとんど存在しておらず、実用的には各国の工業標準規格が採用されています。 ところが、実際の金型の製作や修理には、日本やアジア諸国、欧米などの地域を越えた形で金型が使用されている関係から、相互に同等の水準の鋼材であることを認識する必要性が現場では求められます。 そこで、主要な特殊鋼の各国規格の相互対応をまとめてみました。タグ:
- ミスミ「ガス抜きストレートコアピン」シリーズは、プラスチック射出成形の際に発生するガスやキャビティ内部のエアーを、排出促進するための部品です。 プラスチックは、溶融して金型内部へ充填される際に、高速で流動しながら狭いキャビティの中を走り抜けていきます。特に最近では、プラスチックの素材にガラス繊維や難燃剤などの無機成分、化学成分が配合されていたり、新しいプラスチック素材でガスを発生しやすいものが登場しています。 このような素材を射出成形するためには、金型の随所にエアベントやガスベントを設けてガスが排出できないがために発生する充填不良(ショートショット)やガス焼けを回避しようとさまざまな工夫がなされます。 しかし、微細な部分やボス形状などの局部においては、有効な対策が取れない場合もありました。タグ:
- ミスミ「超精級角エジェクタピン」は、コネクターや電子部品用金型に最適な、超精密な角エジェクタピンです。 電子部品関係は、日を追って軽薄短小化が進んでいます。成形品をキャビティから離型させるためには、エジェクタピンが使用されますが、角エジェクタピンでなければならない場合もあります。小型精密な成形品の場合では、より小さなサイズの角エジェクタピンが必要になり、かつバリを防止するために寸法公差もより精密なピンが要求されるようになってきています。 このようなニーズに対応するために開発されたのが「超精級角エジェクタピン」です。 角ピン形状部のP寸法(幅寸法)とW寸法(厚さ寸法)の公差は、+0/-0.003と精密に仕上げられています。 また、外形寸法は、最小で0.6ミリ×0.3ミリと極小サイズにも対応が可能です。 長さ寸法は、40ミリ〜最大200ミリとなっています(サイズによります) 材質は、SKH51、硬さは58〜60HRCです。 ツバ形状の任意形状カットサービスや文字ナンバリングサービス、先端面ラップサービス、コーナー部逃がし加工サービスも別途有償で対応可能となっています。タグ:
- ミスミ「位置決めストレートブロックセット-PL面取付・L寸ショートタイプ」は、金型の可動側−固定側の位置決めをより精密に実現するために開発された製品です。 プラスチック射出成形金型は、可動側と固定側に金型が開き、金型が閉じるときにガイドピンとガイドポストで概略の位置を決めながら金型が閉じていって、最終的にはキャビティとコアが閉じられます。この際に、キャビティとコアの相対位置が精密に位置決めされませんと、成形品の寸法がずれてしまったり、コアピンどうし強く接触しすぎて磨耗したり、かじったり、折れたりする危険が増大します。 このようなリスクを低減させるために、従来より位置決め用のテーパピンセットやテーパブロックセットが使用されておりますが、今回の「位置決めストレートブロックセット-PL面取付・L寸ショートタイプ」は、小型にコンパクトに設計されていますので、よりキャビティ、コアに近い位置で精密位置決めが可能です。タグ:
- ミスミ「ボス用コアピン−ガス逃げ穴付きタイプ」は、成形品にボス形状を作りたい場合に最適なコアピンです。 プラスチック成形品には、位置決めの目的や他のプラスチック部品と熱かしめ融着をするために、ボス形状を設けることがあります。OA機器のハウジングや家電製品の筐体などでは必須の形状になります。 ボス形状は、相手方の穴形状へ挿入しやすくするために先端部へC面取りを施したり、根元部の応力集中を回避するための補強C面取りを設ける事例が多いです。 本製品ではこのような需要にお応えするために、任意のC面取りに対応できる選択ができるようにラインナップされています。 また、ボスの軸径寸法公差は、マイナス0.01タイプとマイナス0.02タイプが選択できますので、相手方の穴への挿入と位置決めが容易にできるような工夫がされています。タグ:
- ミスミ「バキュームユニット」は、プラスチックをキャビティの中へ充填する過程で発生するエアーやガス成分を、外部へ強制的に排出させるための新商品です。 「バキュームユニット」をエアーやガスを抜きたい部分の直下に装着し、その上にTSベンを設置して、キャビティから外部へ圧縮空気を利用して強制的に排出をさせます。 または、エジェクタピンを「バキュームユニット」の中心穴を通じて配置することにより、エジェクタピンの取り付けクリアランスからエアー、ガスを強制的に排出させます。 圧縮空気は、工場内のコンプレッサーから供給される圧縮空気を利用します。圧縮空気の圧力は、0.3〜0.5MPaの範囲で供給し、カプラー経由で金型へ供給します。 空気は、金型に溝を加工しておいて「バキュームユニット」の取り付け穴に届くようにします。 「バキュームユニット」の端面と円筒部にはエアーが漏れないようにゴム製のOリングがあらかじめ装着されています。 圧縮空気が「バキュームユニット」の側面に供給されますと圧縮空気がユニット内のテーパ流路を高速で流動し、その際に発生する負圧によって、強制的にユニット上部の開口部からエアーを外部へ誘導し排出します。タグ:
- 金型を成形加工で使用している途中に、なんらかの原因で部品が破損したり、折れたりする事故が発生する場合があります。金型は機械ですから、機械を構成している部品がなんらかの原因によって破損することはありえることです。重要なことは、破損の原因がどこにあるのかを究明して、再発を技術的に防止することです。 破損原因があいまいな状態のままで、核心的な技術手段を講じないままに修理をしてしまうと、同じ内容の事故が再発したり、作業者に危険を及ぼす可能性も指摘されます。 金型の破損事故の分析は、綿密な調査分析を行うことが入り口となります。タグ:
- プラスチック成形金型で、1ショットで成形加工できるキャビティの数を、取り個数(number of cavity)と言います。 取り個数は、最小は1個取りから最大では192個取りぐらいまで実績があります。 取り個数が多ければ多いほど、1ショットあたりの成形品の数は多くなりますから、部品1個あたりの生産コストを低減させることができます。 しかし、取り個数が多くなると、キャビティごとの成形品の寸法や重量、外観等の品質のばらつきが大きくなる傾向にあります。 取り個数の大小は、長所と短所を総合的に検討して決める必要があります。 一般的には取り個数は、金型の種類によって以下のような傾向が見られます。タグ: