先回の解説の続きです。金型設計図面等の営業秘密の不正使用行為等は、差止請求権の行使や損害賠償請求の対象となり、これらの規定で保護されています。
これらの規定に加えて、平成17年の法律改正により、さらに以下の保護が追加されました。
第二十一条(罰則) 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。(中略)
第四号 詐欺等行為(人を欺き、人に暴行を加え、又は人を強迫する行為をいう)により、又は管理侵害行為(営業秘密が記載され、又は記録された書面又は記録媒体(以下「営業秘密記録媒体」という)の窃取、営業秘密が管理されている施設への侵入、不正アクセス行為により取得した営業秘密を、不正競争の目的で、使用し、又は開示した者
第五号 前号の使用又は開示の用に供する目的で、詐欺等行為又は管理侵害行為により、営業秘密を次のいずれかに掲げる方法で取得した者
イ 保有者の管理に係る営業秘密記録媒体等を取得すること
ロ 保有者の管理に係る営業秘密記録媒体等の記載又は記録について、その複製を作成すること。
第六号 営業秘密を保有者から示された者であって、不正の競争の目的で、詐欺行為若しくは管理侵害行為により、又は横領その他の営業秘密記録媒体等の管理に係る任務に背く行為により、次のいずれかに掲げる方法で営業秘密が記載され、又は記録された書面又は媒体を領得し、又は作成して、その営業秘密を使用し、又は開示した者
イ 保有者の管理に係る営業秘密記録媒体等を領得すること
ロ 保有者の管理に係る営業秘密記録媒体等の記載又は記録について、その複製を作成すること
第七号 営業秘密を保有者から示されたその役員または従業者であって、不正の競争の目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、その営業秘密を使用し、又は開示した者
第八号 営業秘密を保有者から示された役員又は従業者であって、不正の競争の目的で、その在職中に、その営業秘密の管理に係る任務に背いてその営業秘密の開示の申し込みをし、又はその営業秘密の使用若しくは開示について請託を受けて、その営業秘密をその職を退いた後に使用し、又は開示した者
第九号 不正の競争の目的で、第四号又は第六号から前号までの罪に当たる開示によって営業秘密を取得して、その営業秘密を使用し、又は開示した者
第四項 第一項第四号から第九号までの罪は、詐欺等行為若しくは管理侵害行為があった時又は保有者から示された時に日本国内において管理されていた営業秘密について、日本国外においてこれらの罪を犯したものにも適用する。
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- 参考文献:『要説不正競争防止法・第三版、(社)発明協会知的財産権法文集』(山本庸幸 (社)発明協会)