ここでは、空気圧シリンダの「作動時間が安定しない」というトラブルを例に、関連機器選定の不適切要因とその対策について解説します。

 空気圧シリンダの作動時間が安定しない原因は、下記が挙げられます。

  1. 供給空気圧、供給空気流量
  2. 空気圧シリンダの内部抵抗増大
  3. 空気圧シリンダの負荷率
  4. 空気圧シリンダのクッション機能
  5. 外部抵抗、外部機構の影響

 ここでは、上記の3.、4.を解説します。(1、2については「1軸しゅう動機構設計のポイント」、「空気式アクチュエータ用空圧回路のトラブル対策」にて解説しています。)

(3)空気圧シリンダの負荷率に起因する問題と対策

 負荷率とは、移動させる荷重(W)に対する空気圧シリンダの推力の能力比率で、次式で表します。

  負荷率α=負荷荷重(W)/空気圧シリンダ推力(F)
  空気圧シリンダ推力(F)=(π/4)×D2×P×μ[kgf]
    D:シリンダ径 [mm]
    P:使用圧力 [MPa]
    μ:シリンダ推力効率 [%]

 「作動時間が安定しない」問題を自動車の走行性能の不安定性に喩えると、空気圧シリンダ推力は馬力、負荷荷重は自動車重量といえます。重量に対して適切な大きさの馬力を持つ自動車(空気圧シリンダ)の選定が必要とわかります。LCA(ローコストオートメーション)設計のポイントは、負荷荷重を小さく(軽く)することです。

■負荷率に起因する問題の対策

  • 使用空気圧力は出来るだけ高い圧力で使用
  • 空気圧シリンダの内径は出来るだけ大きい内径を選

(4)空気圧シリンダのクッション機能に起因する問題と対策

 空気圧シリンダにはクッション機能のあるもの、無いものがあります。
 ア)負荷重量が大きな場合や、イ)速度が速い場合などは、繰り返し使用によりクッション機能が劣化しシリンダの動きが不安定になることがあります。

(ア)負荷重量を大きくした場合

 運動エネルギーは次式で求められます。このEが空気式シリンダのエアークッション能力(ショックアブソーバ仕様の最大吸収能力)を超える場合は、1ランク上の大きな内径を選びます。

  運動エネルギーE=1/1960×(負荷 [kgf] × 速度2[cm/s])

(イ)速度をより速くした場合

 負荷重量を大きくした場合と同じ考えで、エアークシュション能力を超える場合は1ランク上の内径の大きな空気圧シリンダを選定し対処します。

■クッション機能に起因する問題の対策

  • 負荷荷重・速度の場合ともに、1ランク大きなシリンダ内径の空気圧シリンダを選定し、クッション機能に余裕を持たせる