1軸のしゅう動案内のLCA(ローコストオートメーション)は、前回の【表1】に示したように使い易さ(保守容易)の点で空気式のエアーシリンダが多用されています。反面、保守容易の特徴は初期設計の段階で盛り込まれるべき予防保全の設計が、往々にして不完全である結果をまねいているようです。
 ここでは、空気式アクチュエータを使用する場合のトラブル事例と、その対策のための機構設計のポイントを解説します。

(1)空気式アクチュエータ使用上のトラブル原因

 空気式アクチュエータのトラブル要因と、その発生源(対処すべき担当部署)は下記があります。

トラブル要因 発生源
1. 装置との取付の不適切 機構設計
2. 取付位置や方向の不適切 機構設計
3. アクチュエータ選定の不適切 機構設計
4. 圧縮空気の質の不適切 保全活動
5. 保守・管理の不適切 保全活動

(2)トラブル事例と対策の解説

 以下では、上記1. ~3. のトラブルの具体的内容と対応策について解説します。

(1)装置と取付の不適切について

トラブル内容 解説 対策案
連結部の芯ずれ 移動体の負荷中心とシリンダピストンロッド軸芯の不一致で、こじれ発生。推力低下・速度不安定・エアー漏れなどを生じる。
1. 芯ずれ防止機器の採用(FAメカ;フローティングジョイントなど)
2. シリンダ取付形式の選定(【表1】参照)
3. ピストンロッド径の大きなもの選定
ピストンロッドへの横荷重過大 ピストンロッドに横荷重が過大にかかるとピストンパッキンからエアー漏れを生じ、内部破損によるシリンダ使用不能となる。(【図1】参照)
1. 横荷重のかからない設計
2. シリンダ取付形式の選定
3. 横荷重に強くするため、長ロッド長ブッシュ型を選定
取付台の強度不足 負荷荷重と速度による衝撃力に対して取付剛性が不十分だと、取付部破損を生じる
1. 取付部の補強構造設計(【図2】参照)
配管部の信頼性・耐久性の不備 使用される環境を考慮せずに、ナイロンチューブやワンタッチ継手を多用すると、経時変化等による事故が生じる;可動部・熱作用・温度変化・薬品雰囲気などでは対策を要す
1. ワンタッチ継手は使用せず締付式継手を採用
2. ふっ素樹脂チューブの採用
3. チューブ長さの適正化
4. チューブ・継手の固定

【表1】空気式シリンダの取付形式(一部抜粋)


負荷の運動方向 シリンダ取付形式 注意事項
直進運動のみ フート型
フランジ型
負荷の運動方向がシリンダ本体の軸芯と一致する場合に採用。
トラニオン型
クレビス型
アイ型
その他
長ストロークの場合や負荷の運動方向とシリンダ本体の軸芯が合わせにくい場合に採用。
負荷が一平面内で揺動する場合 トラニオン型
クレビス型
アイ型
負荷の揺動が一平面で生じる場合、シリンダを支えるクレビスまたはトラニオンの揺動方向を一致させて使用する。併せてロッド先端金具も揺動方向を一致させて使用。

図1

図2