物質は熱を伝える性質を必ず持っています。熱の伝わり方が良好であってほしい場合と、熱を伝えにくいほうが好ましい場合がありますので、その目的によって材質を選定することが必要です。
プラスチック射出成形金型でも、その部品の用途によって熱伝導率の選定を行って、成形品の保温や冷却、金型部品の冷却や温度維持を適切に管理することが、従来以上に重要な意義をもつ時代になってきました。
プラスチック射出成形金型の場合、溶けた高温状態の樹脂をキャビティ内へ流入させるためには適温の状態にキャビティ表面を保温しなければなりません。そのためには金型内に冷媒あるいは温水、蒸気などを流して、熱伝導で保温を実現しようとします。
また、溶融樹脂がキャビティ内に充填された後には、樹脂から熱を奪い去り、冷却固化をするためにキャビティ表面温度は適正な温度に保持される必要があります。
金型への加温や温度保持をするためには、温度調節機やカートリッジヒーターなどで加温をしなければなりません。そうすると金型自身から放出される熱量を遮断するためには断熱板が効果的であることが理解できると思います。
このように熱伝導を適切に行うためには、素材の熱伝導率が大きく関与することになってきます。
物質名 | 熱伝導率k(単位:W・m−1・K−1) |
綿 | 0.03 |
フェルト | 0.04 |
グラスウール | 0.04 |
ソーダガラス | 0.55〜0.75 |
雲母 | 0.55〜0.79 |
紙 | 0.06 |
ポリスチレン | 0.08〜0.12 |
石綿 | 0.1〜0.3 |
ゴム | 0.1〜0.2 |
石膏 | 0.13 |
ボール紙 | 0.2 |
ポリエチレン | 0.25〜0.34 |
ポリアミド | 0.27 |
砂 | 0.3 |
鉛ガラス | 0.6 |
漆喰 | 0.8 |
コンクリート | 1 |
耐火煉瓦 | 1.1 |
パイレックスガラス | 1.1 |
石英ガラス | 1.4 |
磁器 | 1.5 |
氷 | 2.2 |
水銀 | 7.8 |
水晶 | 9.3 |
18−8ステンレス | 15 |
チタン | 22 |
ニッケルクロム鋼 | 33 |
炭素鋼 | 50 |
青銅 | 53 |
ゲルマニウム | 67 |
錫 | 68 |
プラチナ | 72 |
鉄 | 83.5 |
ニッケル | 94 |
クロム | 96.5 |
コバルト | 105 |
黄銅 | 106 |
亜鉛 | 117 |
マグネシウム | 157 |
珪素 | 168 |
タングステン | 177 |
ベリリウム | 218 |
炭素 | 80〜230 |
アルミニウム | 236 |
金 | 319 |
銀 | 428 |