ホットランナーの種類(ゲート構造)
ホットランナーにおけるゲート構造は、以下図1に示す2パターンに分けることができる。
図1.ゲート構造
1)オープンゲート(ホットチップ/サーマルゲート)
ノズルチップ形状と温度制御によりゲート周辺の樹脂を固化させることでゲート開閉を制御している。
「オープンゲートの特長」
- ゲート品質は温度コントロールで左右
- シンプルなゲート構造で稼働する部分が無い
- 材質の最適化によりエンジニアリングプラスチック等にも対応可能
2)バルブゲート(メカニカルゲート)
バルブステム(バルブピン)の作動によりゲート開閉を制御している。
「バルブゲートの特長」
- ゲート品質はバルブの駆動力及び加工精度(適正なクリアランス)に依存
- 材質の最適化によりエンジニアリングプラスチック等にも対応可能
- 高圧成形にも対応可能
- 成形条件幅が広い
オープンゲート
1)ゲート開閉機構
オープンゲートは、以下図2のような原理でゲート開閉を行っている。
図2.オープンゲートの開閉機構
- Ⅰ. 樹脂充填後、ゲート周辺の樹脂が保圧と冷却によって固化してゲート閉となる
- Ⅱ. 型開きによりゲート部が切断
- Ⅲ. ショットの樹脂圧及びせん断発熱によりゲート部の固化した樹脂が再溶解してゲート開となる
2)ゲート品質
オープンゲートの場合、型開きによりゲートが切断される時(図2-Ⅱ)にゲート痕が残る場合がある。(図3)※一般的に、ゲート痕はゲート径の1/3以下
図3.オープンゲート痕
オープンゲートの開閉は温度制御に起因しているため、制御等が不適切な場合は下記の様な問題が発生する場合がある(あくまでも条件が不適切な場合のみ)。
- 冷却不足による糸引き
- マニホールド残圧による鼻垂れ
- ゲート径不適などによるゲート高
バルブゲート
1)ゲート開閉機構
バルブゲートは、以下のような機構でゲート開閉を行う。(図4)
- Ⅰ. バルブによりバルブピンが機械的に後退しゲート開となり、樹脂が射出される
- Ⅱ. 充填・保圧完了後、バルブによりバルブピンが機械的に前進し、ゲート閉となる
図4.バルブゲートの開閉機構
2)ゲート品質
バルブピンが機械的にシールするため良好なゲートが得られる。
図5.バルブゲート痕
つまり、このようなホットランナーの高度な技術によって、高品質な成形品の生産に大きく貢献することができる。
- ゲート痕を減らし、良好な外観を実現
- 高度な製品寸法要求にも対応可能
技術情報提供:ハスキー株式会社