プラスチック射出成形金型の設計では、さまざまな切り口から設計項目を検討する必要がありますが、大局的には以下のような観点から検討をすることが推奨されます。
(1)合目的性
金型に要求されている品質、コスト、生産能力、寿命などの目的を明確に実現できること。
(2)信頼性
金型の品質保証機能、品質安定性、修理時の互換性など成形品の信頼性を確保できること。安心して長時間の連続成形加工ができる操業安定性を有すること。
(3)経済性
成形品を合理的なコストで生産できること。スクラップの極少化、リサイクル性などのトータルコストが極小化できるようにすること。金型のメンテナンス費用(修理費、修理人件費)が極少化できること。
(4)独創性
知的財産権、ノウハウが含まれるような独創的な設計ができることが競争力を生む。
(5)機械加工性
機械加工しやすい形状に設計すべきである。
(6)量産適応性
増面型を起工した場合に互換性を有すること。
(7)維持管理性
メンテナンスのしやすさ、防錆などに配慮されていること。
(8)標準化
標準規格を活用し、低コスト化、互換性を強化する。
(9)理論性
強度、構造などについて、力学等の科学技術の理論で裏打ちされた設計をすべきである。
(10)安全性
金型の取り扱い、移動、分解、組み立て等の作業で安全に金型を取り扱えるような治具、補助機能などにも配慮する。
(11)運搬性
金型の移動に際して、移動させやすい荷姿、分解搬送ができること。
(12)低騒音性
金型を使用する際にできるだけ騒音が発生しない構造を採用すべきである。
(13)電機部品の互換性
センサー、スイッチなどの電機部品は互換性が図られている部品を採用し、修理や調整がしやすく配慮すべきである。