クリーンルーム環境で使用するLCA(ローコストオートメーション)装置には、低価格で必要なクリーン環境が得られる簡易クリーンブースを活用するのが好ましい。ここでは色々なLCA装置に最適な、簡易クリーンブース設計のためのクリーンエアーの可視化技術を解説します。
(1)クリーンエアーの流れの最適化
- コストパフォーマンスの高い簡易クリーンブースを設計・製作するには、簡易クリーンブース内部のクリーンエアーの流れを最適化させる必要があります。
- クリーンエアーの流れの最適化は、給気(サプライエア)と排気(リターンエア)の関係を適切にすることです。
- 給気(SA:サプライエア)と排気(RA:リターンエア)の関係を適切にするために、SAの気流の流れの状態を最適に制御することです。
(2)クリーンエアーの可視化技術
クリーンルーム内と一般室のそれぞれで採用する可視化技術を紹介します。
(a)クリーンルーム内でのクリーンエアー可視化技術
- クリーンルームの環境に悪影響を与えない可視化技術として2種を紹介する。
[1] 液体窒素の昇華ガス
[2] 純水の水蒸気
[3] 軽い繊維状のひも - 液体窒素の昇華ガスは、次の2種の方法が簡単
*棒の先に布を付けて液体窒素に浸し昇華ガスを出させる
*棒の先にドライアイスを布で包み固定させ昇華ガスをださせる(【図1】-a)) - 上記の棒を簡易クリーンブース内部の色々な箇所にかざして昇華ガスの流れの状態を見る
- 気流の速度が速い場合は昇華ガスが拡散して見えないため、[3] 軽い繊維状のひもを利用して、流れの状態を知る(【図1】-b))。
- [3] の軽い繊維状のひもは、簡易クリーンブースのカーテン下部に垂らした状態で使用することで、簡易クリーンブース外部からの影響(室圧変動など)による気流の逆流チェックに利用できる。(【図2】)
(b)一般室でのクリーンエアー可視化技術
- 一般室で気流状態の確認をする場合は環境劣化の心配が不要のため、手軽に利用できる「線香の煙」が手ごろ
(3)簡易クリーンブース設計のための予備実験
- 加圧乱流型の局所クリーンブースの設計には、一般室での予備実験で適切なSAとRAの配置関係を知ることが役に立ちます。
- ダンボールや透明ビニールシートなどで局所クリーンブースの外形模型を造り、SAとRAの配置関係と内部の気流状態を可視化技術で観察することが設計情報として有効です。