クリーンルーム内の環境に限らず、静電気が原因となる帯電/放電による製品破壊(静電破壊)などのトラブルが生じる場合、生産設備面で対策が求められます。以下では、静電気による帯電/放電のトラブルとLCA(ローコストオートメーション)設備における対策の考えを解説します。
(1)静電気による帯電/放電のトラブル
装置上では、部品や半製品がテーブル上に設置されて組立、調整、検査などが行われる。この時、装置および対象半製品には完全な帯電防止処理は望めないため、装置側で静電気トラブルの対策が求められます。
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テーブル上での剥離帯電対策と、搬送コンベア上での対策の2事例を紹介します。
事例1:テーブル上の剥離帯電対策
- ガラス基板などの導電材では、テーブル上に設置した状態から持ち上げただけで剥離帯電を生じます。
- これは、テーブル材料自体が導電材である場合、2つの導電材を付き合わせた状態から剥離する場面で、プラス(+)とマイナス(−)の電荷が分離する時に放電事故が生じることがあります。
■対策・・・考え方:LCA側の接触面を放電しない材料/しにくい表面状態にする
- テーブル表面を絶縁処理して、剥離帯電を防止する。例えば、絶縁性を有する表面処理など
- 併せて、ガラス基板に対抗するテーブルの表面の接触面積を少なくする。例えば、面粗さを粗くする、格子状溝を形成して接触表面積を少なくする(【図1】参照)。
事例2:搬送コンベア上の放電対策
- 上記−事例1の状態から、ガラス基板がコンベア上に移動させる場合、ガラス基板は帯電状態にある。
- この状態でガラス基板に帯電した電荷を持たせたままに搬送すると、搬送中のどこかで放電事故に繋がるリスクが残ります。
■対策・・・考え方:帯電電位を徐々に低く変化させる(急激に変化させると放電する)
- テーブルから搬送コンベアに移載する場面で、ガラス基板の帯電電荷を徐々に除電させるメカニズムをLCA装置側に持たせる(【図2】参照)。
- 急激に帯電電荷を除電させようとすると、放電のきっかけとなり静電破壊を誘発させる。