摩擦・摩耗・寿命の経時変化を少なくする技術として潤滑技術があります。ここでは、潤滑油やグリス材料が重要な役割を持ちます。しかし、クリーンルーム(CR)内での潤滑油やグリスの採用は、作業者に付着しての二次汚染や気化ガスとしてのコンタミネーション放出など、厄介な問題を生じる材料ともなります。
 ここでは、CRでの使用に適した潤滑油・グリスについて解説します。

■CR用潤滑グリスとは

  • クリーンルームで使用される潤滑用グリスは、低飽和蒸気圧グリスが選定されます。
  • 飽和蒸気圧とは、飽和したときの蒸気の圧力=蒸発しようとする圧力のことです。
  • 蒸発するとは、液体から気体になることで、グリスや油の場合は蒸発する変化がCR内をガス(浮遊粒子)として浮遊飛散できる状態になること。
  • したがって、蒸発しにくい潤滑用グリスがCR用として好ましいこととなる。
  • 低飽和蒸気圧とは蒸気圧が低い状態(=真空状態に近い側への変化)のこと。
  • 低飽和蒸気圧グリスとは真空に近い側の環境で気化しにくいグリスの性質をもつもの。

■代表的な真空用/CR用潤滑グリスの性質

  • 真空用/CR用潤滑グリスの分子構造は、末端を全てフッ素で飽和させて、化学的に極めて安定な特性を持っています。(フッ素コーティングフライパンは、焦げても付着しにくい特性の分子構造モデルと解釈)
  • そのため、金属に対しては化学吸着性が究めて弱いので、軸受や摺動部分に使用する場合は、防錆剤を添加して使用される場合が多い。
  • この種の潤滑オイルの場合の蒸気圧は:9x10-5~1x10-7
  • 高温時における一般的な潤滑油との蒸発量の比較は次の数値となります。
蒸発量 真空用/CR用潤滑油 合成油 シリコーン油    
<0.1 <1.5 <1 ・・・ 100℃の場合(wt%)
<1 計測不能 <10 ・・・ 200℃の場合(wt%)

■潤滑用オイル/グリス類の飛散を抑えるには

潤滑用オイル/グリス類の飛散を抑えるには 手段の例
低飽和蒸気圧オイル/グリスの採用 気化しにくい潤滑オイル/グリスを選定
局所排気処理 機構構造で対応
過剰に供給しない 多すぎる塗布による飛散を防ぐ