- クリーン環境の原則・規則
- ミスミ商品を用いたクリーン環境対応
クリーン環境の原則は?
微細化・高集積化が進む電子部品・組立業界や、人体に影響を与える医薬品・食品業界をはじめとし、多くのFA分野でクリーン環境が求められています。本特集では、クリーン環境とコンタミネーション管理を取り上げます。品質を左右する重要な技術です。そのクリーン環境を造り、維持するための3原則があります。
【クリーン環境 3原則】
- 1. コンタミネーションを持ち込まない
- 2. コンタミネーションを出さない
- 3. コンタミネーションを堆積させない
※コンタミネーション:浮遊微量粒子、微生物等の汚染物質のこと
また、コンタミネーション管理において、下記のような分類を基準にすると対策が打ちやすいと言われています。
【コンタミネーション管理の分類基準】
- ●汚染対象は?
→気体・液体・固体(内部・界面)によって、対策が変わる。気体は、他に比べて広がりが早く、製造現場一般に存在するので、クリーン環境の維持に、気体のコンタミネーション管理は重要。 - ●汚染物質の性質は?
→物理的・化学的性質を確認する必要がある。汚染物質が汚染対象の物理的・電気的性質を変えてしまったり、汚染物質の除去に、化学反応が使われるため。 - ●汚染源は?
→汚染物質は、汚染源がなければ発生しない。汚染源を特定して取り除いたり、汚染経路を遮断することが有効。
クリーン環境に関する規格
クリーン環境と言えば、クリーンルームを想像する方が多いかと思います。クリーンルームの定義と規格を確認しておきます。
【クリーンルームとは】
コンタミネーション管理が行われている限られた空間のこと。空気中における浮遊微小粒子、微生物が限定された洗浄レベル以下に管理され、またその空間に供給される材料、薬品、水などについても要求される浄度が保持されている。必要に応じて温度、湿度、圧力などの環境条件も管理されている。(JIS Z 8122 コンタミネーションコントロール用語)
クリーン環境の技術は、米国を中心に発達したため、長年の間米国連邦規格FED-STD-209Dが一般的に使用されてきました。この規格の基準体積は、1立方フィート(1フィート=30.48cm)です。その後、1立方メートルを基準としたFED-STD-209Eへの規格変更が行われました。日本では、1989年にJIS B 9920クリーンルームの空気清浄度の評価方法が規格化されています。そして、世界で国際単位系への移行が進む中、1999年にISO 14644-1が規格化されました。対象となる微小粒子の粒径、基準体積は、JIS規格がほぼ採用されています。これにより、米国規格は廃止されましたが、慣習的にFED-STD-209Dは使われています。
各規格の基準体積と基準粒径
規格表(FED-STD-209)
クラス表示 | クラス上限値 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0.1μm | 0.2μm | 0.3μm | 0.5μm | 5μm | |||||||
体積単位 | 体積単位 | 体積単位 | 体積単位 | 体積単位 | |||||||
209E | 209D | m3 | ft3 | m3 | ft3 | m3 | ft3 | m3 | ft3 | m3 | ft3 |
M1 | 350 | 9.91 | 75.7 | 2.14 | 30.9 | 0.875 | 10 | 0.283 | - | - | |
M1.5 | 1 | 1,240 | 35.0 | 265 | 7.5 | 106 | 3.00 | 35.3 | 1 | - | - |
M2 | 3,500 | 99.1 | 757 | 21.4 | 309 | 8.75 | 100 | 2.83 | - | - | |
M2.5 | 10 | 12,400 | 350 | 2,650 | 75 | 1,060 | 30 | 353 | 10 | - | - |
M3 | 35,000 | 991 | 7,570 | 214.4 | 3,090 | 87.5 | 1,000 | 28.3 | - | - | |
M3.5 | 100 | - | - | 26,500 | 750.4 | 10,600 | 300 | 3,530 | 100 | - | - |
M4 | - | - | 75,700 | 2,140.4 | 30,900 | 875 | 10,000 | 283 | - | - | |
M4.5 | 1,000 | - | - | - | - | - | - | 35,300 | 1,000 | 247 | 7.00 |
M5 | - | - | - | - | - | - | 100,000 | 2,830 | 618 | 17.5 | |
M5.5 | 10,000 | - | - | - | - | - | - | 353,000 | 10,000 | 2,470 | 70.0 |
M6 | - | - | - | - | - | - | 1,000,000 | 28,300 | 6,180 | 175 | |
M6.5 | 100,000 | - | - | - | - | - | - | 3,530,000 | 100,000 | 24,700 | 700 |
M7 | - | - | - | - | - | - | 10,000,000 | 283,000 | 61,800 | 1,750 |
規格表(JIS B 9920-1:2019 / ISO 146441-1:2015)
空気清浄度クラスの上限粒子数濃度
清浄度クラス(N) | 次の対象粒径以上 a) の粒子に対する上限粒子数濃度 (個/m3) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
0.1μm | 0.2μm | 0.3μm | 0.5μm | 1μm | 5μm | |
1 | 10 | c) | c) | c) | c) | d) |
2 | 100 | 24 | 10 | c) | c) | d) |
3 | 1,000 | 237 | 102 | 35 | c) | d) |
4 | 100,000 | 2,370 | 1,020 | 352 | 83 | d) |
5 | 1,000,000 | 237,000 | 102,000 | 3,520 | 832 | e),[c),d)] |
6 | b) | b) | b) | 35,200 | 8,320 | 293 |
7 | b) | b) | b) | 352,000 | 83,200 | 2,930 |
8 | b) | b) | b) | 3,520,000 | 832,000 | 29,300 |
9f) | b) | b) | b) | 35,200,000 | 8,320,000 | 293,000 |
- 注 a)
- :この表の最大許容粒子数は、対象粒径以上の粒子数の累積値を示す。例えば、清浄度クラス5、0.3μmに示す 10,200個の粒子は、同粒径およびをの粒径以上のすべ ての粒子を含む。
- b)
- :非常に粒子濃度が高いため、表のこの領域に濃度限界は適用しない。
- c)
- :低濃度のため粒子のサンプリングおよび統計処理は、クラス分類に不適切である。
- d)
- :粒子サンプリング経路における計数損失を考慮し、低濃度の粒子、および1μm以上の粒径双方の最大許容粒子測定は、クラス分類に不適切である。
- e)
- :クラス5に関連し対象とする粒径として5μmは指定しない。併記が必要な場合は、粗大粒子M表示を採用してもよい。
- f)
- :このクラスは通常運転状態に適用可能。