センサは、物理量や化学量を検出して電気信号に変換するデバイスです。検出したい量を明確にすると、下の種類一覧からセンサの大分類を絞り込みやすくなります。目的に応じて以下から進んでください。
このページの目次
- センサの種類一覧:計測量別の分類
- センサの動作原理:物理現象を電気信号に変換する方式
- センサの出力形式:デジタル・アナログ・通信出力
- センサ選定の基本ステップ(検出対象→環境→出力の順で絞る)
- センサとは:基礎知識(補足)
- よくある質問(FAQ)
センサの種類一覧:計測量別の分類
センサは、検出したい対象や計測する物理量によって大きく分類できます。下表に、主な産業用センサの種類と代表的な用途をまとめます。
| 分類 | センサ種類 | 計測量 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 存在検出 | 光電センサ・近接センサ・マイクロフォトセンサ | 有無・位置 | 搬送ライン・組立工程・通過カウント |
| 変位・寸法 | 変位センサ・測長センサ・レーザー変位センサ | 距離・長さ・形状 | 品質検査・精密加工・厚み測定 |
| 温度 | 熱電対・白金測温抵抗体(Pt100など)・サーミスタ・赤外線温度センサ | 温度 | 炉温管理・射出成形・食品加工 |
| 圧力・流量 | 圧力センサ・差圧センサ・流量センサ | 圧力・流量・差圧 | 配管管理・空圧システム・流体制御 |
| 超音波 | 超音波センサ | 距離・液面・厚さ | 液面管理・衝突防止・非接触測定 |
| 磁気 | 磁気センサ・ホールIC | 磁束密度・磁界 | 回転検出・位置検出 |
| 色・マーク | 色識別センサ・マークセンサ | 色・反射率・マーク | 色選別・印刷位置合わせ |
| 画像 | 画像センサ | 形状・面積・パターン | 外観検査・文字読取・OCR |
仕様からセンサを絞り込む
センサの動作原理:物理現象を電気信号に変換する方式
センサは抵抗変化・圧電効果・ホール効果・光電変換・静電容量変化といった物理現象を利用して計測対象を電気信号に変換します。主要な変換方式を以下に整理します。
抵抗変化型(ストレインゲージ・測温抵抗体)
材料の抵抗値が機械的ひずみや温度によって変化する性質を利用します。圧力センサや荷重センサに使われるストレインゲージは、金属箔が伸縮すると抵抗値が変化する原理を用います。測温抵抗体(Pt100など)は、温度上昇に伴って白金の抵抗値が規定特性に従って増加する性質を利用した温度センサです。
圧電型(PZTなど)
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの圧電材料に力を加えると電荷が発生する圧電効果を利用します。超音波センサの送受信素子・振動センサ・衝撃センサなどに使われます。電気信号を加えると振動(逆圧電効果)するため、超音波の送信にも同じ原理が使われます。
ホール効果型(磁気センサ・磁気型近接センサ)
磁場中に置かれた半導体に電流を流すと、電流と磁場に垂直な方向に電圧(ホール電圧)が発生するホール効果を利用します。磁気センサや磁気型近接センサに使われ、非接触で磁界・回転数を検出できます。
光電変換型(フォトダイオード・フォトトランジスタ)
光を受けると電流が流れる半導体素子(フォトダイオード)を使い、光の有無や強度を電気信号に変換します。光電センサ・ファイバーセンサ・色センサの受光部に使われます。発光素子(LED・レーザ)と組み合わせることで非接触の検出ができます。
静電容量型
電極間の静電容量が検出対象との距離や誘電率によって変化することを利用します。金属だけでなく、プラスチック、液体、粉体なども条件により検出できるため、静電容量型近接センサや変位センサに使われます。金属検出を主用途とする誘導型(高周波発振型)に比べ、対応できる材質が多いのが特徴です。
センサの出力形式:デジタル・アナログ・通信出力
出力形式は、接続するPLCやコントローラの入力仕様に合わせて選びます。代表的な出力形式には、デジタル出力(ON/OFF)、アナログ出力(電圧/電流)、通信出力(IO-Linkなど)があります。代表的な方式を以下に整理します。
デジタル出力(ON/OFF出力)
検出状態をON(1)またはOFF(0)の2値で出力します。代表的な方式として以下があります。
| 出力方式 | 特徴 | 接続先 |
|---|---|---|
| NPN出力(シンク出力) | 出力端子がGND(0V)に接続される。日本・アジア系のFAシステムで多く使用される | COM端子が+V側のPLC入力(プラスコモン入力) |
| PNP出力(ソース出力) | 出力端子が+電源(Vcc)に接続される。欧州・海外のFAシステムで多く使用される。 | COM端子が0V側のPLC入力(マイナスコモン入力) |
| リレー出力 | 接点出力。AC/DC両対応だが応答速度が遅い(数ms~数10ms) | リレー回路・ランプ・ソレノイド |
※NPN/PNPは、接続するPLC・シーケンサの入力仕様に合わせて選定します。実際の配線では、PLC入力回路、コモン配線、電源電圧、負荷電流を必ず確認してください。
アナログ出力
検出量を連続した電気信号(電圧または電流)として出力します。変位センサ・圧力センサ・温度センサ用変換器などで使われます。
| 出力方式 | 範囲 | 特徴 |
|---|---|---|
| 電圧出力 | 0~5V / 0~10V / ±10V | 短距離配線に適しています。配線抵抗やノイズの影響を受けやすいため、配線長や入力インピーダンスを確認 |
| 電流出力 | 4~20mA | 長距離配線やノイズ環境に強く、断線・異常を判別しやすい |
通信出力
IO-Link・RS-232C・CANopen・EtherCATなどのデジタル通信プロトコルで出力するタイプです。IO-Linkは一般的な3線式センサ接続をベースに、デジタルデータ、パラメータ設定、診断情報を双方向に扱える通信方式です。そのため、スマートセンサの接続方式として採用が広がっています。
センサ選定の基本ステップ(検出対象→環境→出力の順で絞る)
検出対象の物理量→検出方式→設置環境→必要精度・応答速度→出力形式→IP保護等級・認証の順に確認すると機種が固まります。以下の6ステップを順にチェックしてください。
- 検出対象の物理量を特定する:「何を検出したいか」を明確にします。ワークの有無なら存在検出センサ、寸法なら変位センサ、温度なら温度センサと大分類が決まります。
- 検出方式(非接触 / 接触)を決める:高速ラインや対象物が変形しやすい場合は非接触方式(光電・近接・超音波)を選びます。接触できる場合は接触式センサも選択肢に入ります。
- 設置環境を確認する:周囲温度・湿度・粉塵・切削油・洗浄水・化学薬品など環境条件を整理し、必要なIP保護等級・材質・耐薬品性を確認します。
- 必要精度・分解能・応答速度を確認する:品質検査ラインでは検査内容によって高い精度や分解能が求められることがあります。また応答速度は応答時間(ms/μs)や応答周波数・検出周波数(Hz)で確認します。
- 出力形式・配線方式を確認する:接続するPLCやコントローラの入力形式に合わせてNPN/PNP・アナログ電圧/電流・2線/3線を選定します。
- IP保護等級・認証を確認する:洗浄が必要な食品・薬品ラインではIP67/IP68/IP69K/IP69K、海外出荷設備ではCEマーキング・UL認証の有無を確認します。さらに、EU向けの電気・電子機器では、RoHS指令などの環境規制への適合も確認します。
センサとは:基礎知識(補足)
センサの定義と3要素
センサとは、物理量・化学量・生体量などの信号を検出し、後段の制御システムが扱いやすい電気信号に変換するデバイスの総称です。JIS Z 8116では「物理量や化学量を検知して情報信号として出力する素子または装置」と定義されています。機能的には3要素で構成されます。物理量を直接感じ取る検出部(センシング素子)、検出した信号を電気量に変換する変換部(トランスデューサ)、ON/OFFのデジタル信号や0~10V・4~20mAとして後段機器へ送る出力部です。
産業用センサと民生用センサの違い
スマートフォンや家電にも温度・加速度・照度などのセンサが内蔵されていますが、産業用センサは耐環境性・信頼性・応答速度・出力形式の要求水準が異なります。
| 比較項目 | 産業用センサ | 民生用センサ |
|---|---|---|
| 耐環境性 | IP67/IP68対応、耐油・耐振動・耐衝撃設計など、生産現場の環境を想定した仕様が多い | 室内使用や一般環境での使用を想定した仕様が多い |
| 信頼性・寿命 | 長時間の連続稼働や長期使用を前提に設計されることが多い | 一般的な製品ライフサイクルに合わせて設計されることが多い |
| 応答速度 | 高速ライン向けでは、1ms以下~数ms程度の応答時間が求められる場合あり | 用途により異なるが、数値よりも操作性・省電力性・コストとのバランスを重視する場合が多い |
| 出力形式 | NPN/PNP・アナログ・IO-Link等PLC接続対応 | I2C・SPI・UART等のデジタルバス |
| 認証 | UL認証・CEマーキング・cULus・防爆認証など | 安全規格・EMC規制・無線規制など |