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温度センサとは?仕組み・種類・測定原理・選定方法を解説

温度センサは、温度を電気信号(電圧・抵抗)に変換して計測するセンサです。測定温度範囲・精度・取付方法が決まれば、下の比較表で方式選定の方向性を絞り込みができます。目的に応じて以下から進んでください。

このページの目次

温度センサの4種類を比較:熱電対・測温抵抗体・サーミスタ・非接触(赤外線)

用途に対し、まずこの比較表で測温体の方式を絞り込みます。高温は熱電対、高精度はPt100、小型・低コストはサーミスタ、移動体・高温物体の非接触測定は赤外線が候補になります。

種類原理測定範囲精度応答速度特徴主な用途
熱電対(K・J・T・E・Rタイプ)2種類の金属を接合した回路の両端に温度差が生じると起電力が発生する(ゼーベック効果)-200~+1600°C程度(タイプにより異なる)中程度(クラス・温度域により異なる)速い(秒単位)広い温度範囲をカバー。構造が堅牢で高温環境に強い工業炉・ガスタービン・溶融金属・高温プロセス
測温抵抗体(Pt100/Pt1000)白金(Platinum)の電気抵抗が、温度上昇に伴い規定された特性(IEC 60751準拠)で増加することを利用する-196~+600°C程度(製品により異なる)高い(クラス・温度域により異なる)遅い(数秒~十数秒)高精度・長期安定性。IEC規格に基づいた互換性精密計測・食品加工・薬品製造・空調
サーミスタ(NTC/PTC)半導体素子の電気抵抗が温度に対して急激に変化する(NTC:温度上昇で抵抗減少、PTC:増加)-50~+150°C程度(一般品。製品により異なる)狭い温度範囲では高い(製品により異なる)速い小型・高感度・低コスト。Pt100より感度が高い電子機器・空調・家電・医療機器
非接触型(赤外線温度センサ)物体から放射される赤外線エネルギーを検出し、放射率などの条件を補正して温度に換算する-50~+3000°C程度(製品により低温域から高温域まで対応)放射率・測定距離などの条件に左右される非常に速い(ms単位)非接触・高速・移動体や高温物体も計測可能溶融金属・塗装乾燥・ガラス製造・半導体ウェハ

精度は代表的な目安です。実際の精度は、センサの種類、クラス、温度域、測定回路、配線方式、取付状態、対象物の表面状態、使用環境によって異なります。

仕様から温度センサを絞り込む

温度センサの選定フロー(4ステップで絞り込む)

測定対象の温度範囲・精度 → 測温体の種類 → 保護管(シース)→ 出力・接続の順に決めれば機種が固まります。

  • 測定範囲と精度要求を確認する
    まず測定対象の温度範囲を確認します。-200℃の極低温ではKタイプまたはTタイプ、1000°C以上の高温ではRタイプもしくはSタイプなどの熱電対が好ましいです。一方、低温域や高精度測定では、Tタイプの熱電対や測温抵抗体なども候補になります。高精度・長期安定性を重視する場合はPt100などの測温抵抗体が適しています。一般的な産業計測ではKタイプ熱電対が費用対効果に優れます。
  • 測温体の種類と応答速度を選ぶ
    温度変化に追従する速さを示す熱時定数(T63%)は、センサの質量・熱容量・被測定物との熱接触状態で決まります。急速な温度変化を追跡する場合は細径・薄型のセンサを選び、安定した温度を精密に測る場合は熱容量が大きくても高精度なセンサを優先します。移動体や高温物体の非接触測定には赤外線式を選びます。
  • 設置環境に合う保護管(シース)を決める
    腐食性ガス・薬液・水が存在する環境ではセンサの保護管(シース)の材質が重要です。一般用途にはSUS316Lが使われ、強酸・強アルカリ環境ではハステロイやインコネルなどの耐食合金を検討します。振動が激しい環境では、シース径、挿入長、支持構造、固定方法、保護管(サポートチューブ)の共振などを確認します。必要に応じて、保護管(サポートチューブ)付きのタイプを検討します。表面貼付型・挿入(シース)型・クランプ型から取付方法も合わせて選定します。赤外線温度センサなどの非接触式では、保護管ではなく、測定距離、視野径、放射率、対象物の表面状態、蒸気・汚れの影響を確認し、必要に応じて保護窓やエアパージを検討します。
  • 出力・接続方式を用途に合わせる
    熱電対・測温抵抗体は温度調節計や変換器(トランスミッタ)を使って信号を処理します。出力形式は直接抵抗・電圧出力のほか、4~20mAアナログ出力(プロセス信号の標準)やデジタル出力(RS-485/Modbus・IO-Link)があります。PLC・DCS・データロガーへの接続方式に合わせて選定します。

熱電対の種類と特徴:K・J・T・E・Rタイプの使い分け

熱電対は2種類の金属の組み合わせによって複数のタイプがあり、温度範囲・出力起電力・耐環境性が異なります。JIS規格(JIS C 1602)で各タイプの特性が規定されています。

タイプ素線材質(+/-)代表的な温度範囲
(許容差の分類はJIS C 1602参照)
特徴主な用途
Kタイプニッケル及びクロムを主とした合金 / ニッケル及びアルミニウムを主とした合金-200~+1200°C程度最も汎用的。酸化性雰囲気に強い。低コスト工業炉・熱処理・一般産業用途
Jタイプ鉄 / 銅及びニッケルを主とした合金-40~+750°C程度低コスト。還元性雰囲気に強い。湿度が高い環境で鉄側が酸化しやすい低温~中温の一般プロセス
Tタイプ銅 / 銅及びニッケルを主とした合金-200~+350°C程度低温域の精度が高い。耐食性に優れる低温計測・食品冷凍・超低温実験
Eタイプニッケル及びクロムを主とした合金 / 銅及びニッケルを主とした合金-40~+900°C程度一般的な実用熱電対の中で起電力が最も大きく高感度高感度が必要な測定・低温域
Rタイプロジウム13%を含む白金ロジウム合金 / 白金0~+1600°C程度高温での安定性・精度に優れる。高価高温炉・ガスタービン・貴金属溶融

冷接点補償の必要性

熱電対の起電力は測定端(熱接点)と基準端(冷接点)の温度差によって発生します。測定器に接続する端子(冷接点)の温度が変動すると計測値に誤差が生じるため、冷接点補償(CJC: Cold Junction Compensation)が必要です。温度調節計や変換器には冷接点補償回路が内蔵されているものがほとんどです。配線には熱電対の種類に対応し、所定の温度範囲で同等の熱起電力特性を持つ補償導線または延長導線を使用します。

測温抵抗体Pt100の仕様と配線方式:2線・3線・4線式の違い

測温抵抗体のPt100は0°Cで100Ω、Pt1000は0°Cで1000Ωの抵抗値を持ち、温度が上がるにつれて抵抗値が増加します(例:Pt100は100°Cで138.5Ω)。高精度測定を実現するため、配線方式によるリード線抵抗の影響を補正します。

配線方式特徴精度用途
2線式センサと測定器を2本の導線で接続する最もシンプルな方式。リード線の電気抵抗が測定値に直接加算される低(リード線抵抗分の誤差あり)リード線が短くコスト優先の簡易計測
3線式センサからリード線を3本引き出し、測定器側でリード線抵抗を自動補正する。最も普及している方式中~高(補正回路によりリード線誤差を低減)一般産業設備・プロセス計測の標準的な選択
4線式電流供給用2本・電圧検出用2本の計4本を使用する4端子法で、リード線抵抗の影響をほぼ除去できる高(リード線抵抗による誤差をほぼ排除)研究・校正・高精度計測・標準器

※3線式は3本のリード線の抵抗値が等しいことが前提です。リード線の長さが異なる場合は4線式が推奨されます。

温度センサの測定原理(補足:ゼーベック効果・抵抗変化・放射)

選定に必要な範囲で測定原理を補足します。熱電対は2種類の金属を接合した回路の両端に温度差が生じると起電力が発生するゼーベック効果を利用します。測温抵抗体は白金の電気抵抗が温度に応じて規則的に変化する特性、サーミスタは半導体素子の抵抗が温度に対して急激に変化する特性を利用します。非接触型は物体から放射される赤外線エネルギーを検出して温度に換算します。出力された電気信号は温度調節計・データロガー・PLCなどに入力され、デジタル値として表示・記録・制御に活用されます。

温度センサの校正・メンテナンス(補足)

定期校正の必要性

温度センサは経年変化により指示精度が劣化します。JIS規格やISO 9001の品質管理体制では、必要に応じて使用中のセンサを定期的に標準器(標準温度計)と比較して校正を行います。校正周期は使用環境・精度要求によって異なりますが、一般的には1~2年ごとの校正が推奨されます。

接触型センサの酸化・汚染による劣化

熱電対の素線は高温酸化性雰囲気での長期使用により、表面酸化・素線腐食が進行して指示誤差が増大します。特にKタイプ熱電対では、高温かつ低酸素濃度の雰囲気などで、グリーンロットと呼ばれる劣化が発生することがあります。定期的な外観点検と指示値確認を行い、異常が見られたら早期交換してください。

断線・短絡の確認方法

熱電対の断線は測定器のバーンアウト機能により、上限側・下限側への振り切れやエラー表示として検出される場合があります。一方、短絡や素線同士の接触が発生すると、短絡箇所が新たな測温接点のように働き、本来の測定端とは異なる温度を示すことがあります。テスターで素線間の抵抗値を測定することで断線・短絡を診断できます。測温抵抗体(Pt100)の断線は無限大抵抗、短絡は異常な低抵抗値として確認できます。

よくある質問

熱電対と測温抵抗体(Pt100)はどう使い分けますか?

広い温度範囲や高温環境では熱電対が適しており、一方、測温抵抗体Pt100は熱電対に比べて精度や長期安定性に優れるため、比較的高精度な温度管理が必要な用途に適しています。一般的な産業計測ではKタイプ熱電対が費用対効果に優れ、食品加工・薬品製造などの高精度用途ではPt100が適します。

温度センサの種類はどう選べばよいですか?

測定対象の温度範囲と精度要求→測温体の種類(熱電対/測温抵抗体/サーミスタ/非接触)→保護管(シース)の材質・形状→出力・接続方式の順に絞り込みます。高温は熱電対、高精度・長期安定性を重視する場合はPt100、小型・低コストはサーミスタ、移動体や高温物体の非接触測定は赤外線が目安です。

熱電対の冷接点補償(CJC)はなぜ必要ですか?

熱電対の起電力は測定端(熱接点)と基準端(冷接点)の温度差で発生するため、冷接点の温度変動が計測誤差になります。温度調節計や変換器に内蔵された冷接点補償回路で補正し、配線には熱電対の種類に対応し、所定の温度範囲で同等の熱起電力特性を持つ補償導線または延長導線を使用します。

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