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振動センサとは?圧電型・MEMS型の原理・設置方法と設備予知保全への活用

振動センサは、機械・設備の振動や加速度を電気信号に変換し、異常の予兆を捉えるセンサです。方式・測定量・周波数応答範囲・設置環境・出力信号が決まれば、下の比較表で候補機種を絞りこめます。目的に応じて以下から進んでください。

このページの目次

振動センサの方式と測定量を比較:圧電型・MEMS型/加速度・速度・変位

まず方式(圧電型/MEMS型)で大枠を決め、次に測定量(加速度/速度/変位)で対象の周波数帯や診断目的に合わせて選定します。一般に、高周波の振動計測や比較的高温の環境では圧電型が選ばれやすく、小型・低消費電力・低コストを重視するIoT用途ではMEMS型が候補になります。

方式原理適した帯域特徴主な用途
圧電型(ピエゾ)圧電効果(応力で電荷発生)数Hz~数十kHz(機種により広帯域対応)高感度・高周波対応・高温対応品あり大型回転機械・プラント・ベアリング診断
MEMS型微細可動構造の静電容量変化DC~低中周波小型・低消費電力・低コストIoTセンサノード・小型設備の状態監視

測定量は対象の状態と周波数帯で選びます。加速度センサの信号を積分して速度を算出する構成は多く用いられます。ただし、変位の算出は低周波ノイズやドリフトの影響を受けやすいため、軸変位やギャップ監視では渦電流式変位センサなどを用いる場合があります。

測定量単位適した周波数帯域主な用途
加速度m/s²、G高周波ベアリング傷、歯車欠損、衝撃検知
速度mm/s中周波アンバランス、ミスアライメント、設備全体評価
変位μm、mm低周波軸偏心、低速回転機械、軸受隙間評価

仕様から振動センサを絞り込む

メーカーから選ぶ

振動センサの選定フロー(測定量→帯域→環境→出力の順で絞る)

測定量 → 周波数応答範囲 → 設置環境 → 出力信号の順にチェックすれば候補機種を絞り込めます。

  • 測定量を決める
    ベアリング傷・歯車欠損など高周波異常は加速度、設備全体のバランス・ミスアライメント評価は速度(mm/s)、軸偏心・低速回転機械の評価は変位を選びます。加速度センサの信号を積分して振動速度を算出する構成は広く用いられています。一方、変位の算出は低周波ノイズやドリフトの影響を受けやすいため、軸変位やギャップを直接評価する用途では、渦電流式変位センサなどを用いる場合があります。
  • 周波数応答範囲を測定対象に合わせる
    カタログの「±3dB」「±10%」周波数範囲に、測定対象の周波数成分が収まることを確認します。数kHz~数十kHzの高周波異常検知は広帯域の圧電型が候補になります。低速回転機械で軸変位などを直接評価する場合は、渦電流式変位センサなどの変位センサを検討します。
  • 設置環境(温度・IP等級・取付)を確認する
    高温部・屋外・洗浄水・腐食性雰囲気ではIP67以上・高温仕様・ステンレスボディを選びます。取付方式はスタッドボルト固定が高周波特性に優れ、マグネット固定は巡回点検向き(高周波解析には不向き)です。
  • 出力信号と電源を上位システムに合わせる
    アナログ電圧(IEPE/ICP)・電流(4~20mA)・デジタル(IO-Link・Modbus・CAN)から既存システムに合わせて選びます。IO-Link対応のスマートセンサでは、パラメータ設定や診断情報の取得を上位システムから行えます。データロギングの可否は、センサ本体、IO-Linkマスタ、上位システムの対応機能によって異なります。電源供給方式(定電流駆動・24V DC・電池)も確認します。

設備予知保全への活用:ベアリング・ギア・モーターの異常振動検知

振動データには設備の内部状態が反映されるため、周波数分析により故障モードごとの異常を早期に検出できます。これが突発故障を未然に防ぐ予知保全の基盤です。

ベアリング(転がり軸受)の異常検知では、内輪・外輪・転動体・保持器それぞれの欠陥周波数が理論計算から求められます。正常なベアリングではこれらの周波数成分は小さく、摩耗・フレーキング・腐食が進行するにつれてエンベロープ解析によるスペクトルピークが顕著になります。振動センサを軸受近傍のハウジングに取り付け、高周波加速度を継続的にモニタリングすることで、故障の予兆を早期に検出できる場合があります。

歯車(ギア)の異常検知では、ギア噛み合い周波数(GMF:Gear Mesh Frequency)とその高調波成分を監視します。歯欠け・ピッチング・摩耗が進行すると、GMF周辺のサイドバンド成分が増大します。高速・高負荷の減速機では振動センサをギアボックスのハウジングに複数配置し、X・Y・Z各軸の振動を取得することで三次元的な異常評価ができます。

モーター・ポンプ・ファンの異常検知では、不釣り合い(アンバランス)、ミスアライメント、偏心、緩み、電磁的要因などに起因する回転数成分やその高調波、電源周波数関連成分の変化を監視します。また、キャビテーションを起こしたポンプや翼通過周波数異常を持つファンも、振動スペクトルの特徴的な変化として検出されます。これらの情報をクラウドや設備監視システムへ自動送信し、閾値超過時にアラートを発報する構成が予知保全(スマートファクトリーの一要素)の基盤です。

振動センサの設置方法:取付方式と設置位置の選定ポイント

計測精度は設置方法と設置位置で大きく変わるため、センサスペックと同等に設置条件を検討します。高性能なセンサでも取付が不適切なら正確なデータは得られません。

取付方式には主にスタッドボルト固定・接着剤固定・マグネット固定・手持ちプローブがあります。スタッドボルト固定は剛性が高く、高周波特性に優れるため、精密な周波数分析が必要な恒久設置に推奨されます。接着剤固定はボルト穴加工が困難な箇所に有効ですが、接着面の状態や接着剤の種類によって周波数特性が変わる点に注意が必要です。マグネット固定は着脱が容易で巡回点検に適していますが、固有共振の影響でカットオフ周波数がスタッド固定より低くなるため、高周波解析には不向きです。手持ちプローブはもっとも手軽ですが、押し当て方や角度によって測定値がばらつきやすいため、傾向管理には通常適しません。

設置位置は、測定対象の振動伝達経路をできるだけ短くすることが基本です。軸受の振動を計測する場合は、軸受ハウジングの荷重負荷方向に設置すると良好なS/N比が得られます。設置面は平坦かつ清潔に仕上げ、センサと取付面の間に異物・塗料の厚膜・錆が介在しないように管理します。

高温部への設置時は断熱ワッシャや放熱スタブを介することで、センサの耐熱温度超過を防ぎます。また、強磁場・高電圧インバータ周辺では電磁ノイズの影響を受けやすいため、ケーブルのシールドアースや信号線の分離配線に注意が必要です。

補足:圧電型とMEMS型の動作原理

圧電型(ピエゾ型)センサは、水晶・チタン酸バリウム・チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの圧電材料に力が加わると電荷が発生する「圧電効果」を利用します。センサ内部には圧電素子と慣性マスが組み込まれており、振動による加速度が慣性マスを介して圧電素子に応力を与え、それに応じた電荷が生じる仕組みです。高感度・広帯域・高温環境への耐性が特長であり、出力はチャージアンプを介して電圧信号へ変換するタイプと、内蔵ICで変換するIEPE(定電流駆動)タイプがあります。

MEMS型センサは、半導体製造プロセスで作製された微細な可動構造体を用います。シリコン基板上に形成されたマイクロビームや質量体が加速度によって変位し、静電容量の変化として検出されます。小型・軽量・低消費電力・低コストが特長であり、DCから低中周波数帯域の振動計測に適します。一方で、高周波振動の検出感度や高温環境への耐性は圧電型に比べて劣る場合があるため、測定対象の周波数レンジと設置環境を事前に確認してください。

主な使い分けの基準は、測定周波数帯域・設置環境温度・コストの3点です。高周波のベアリング異常検知や高温環境での使用、および精密な周波数分析が必要な場合は圧電型が適しています。一方、低~中周波数の加速度計測・小型機器への組み込み・バッテリー駆動のIoTセンサノードへの適用、およびコスト重視の大量展開では、MEMS型の小型・低消費電力・低コストという特長が活きます。まず測定対象の周波数レンジと設置温度条件を確認し、次にシステム要件(出力形式・電源)とコストを照らし合わせて選定することを推奨します。

よくある質問

圧電型センサとMEMS型センサはどのような基準で使い分ければよいですか?

主な使い分けの基準は、測定周波数帯域・設置環境温度・コストの3点です。高周波のベアリング異常検知や高温環境での使用、および精密な周波数分析が必要な場合は圧電型が適しています。一方、低~中周波数の加速度計測・小型機器への組み込み・バッテリー駆動のIoTセンサノードへの適用、およびコスト重視の大量展開では、MEMS型の小型・低消費電力・低コストという特長が活きます。まず測定対象の周波数レンジと設置温度条件を確認し、次にシステム要件(出力形式・電源)とコストを照らし合わせて選定することを推奨します。 

振動センサを取り付けた後、異常の閾値はどのように設定すればよいですか?

閾値設定の基本的なアプローチには、絶対値基準と傾向管理基準の2種類があります。絶対値基準では、ISO 20816(旧ISO 10816)(設備全体の振動速度)などの国際規格を参照し、設備クラスに応じた許容値を初期閾値として設定します。傾向管理基準では、設備の正常稼働時の振動データを一定期間収集してベースラインを確立し、そこからの統計的な逸脱(例:平均値+3σ超過)をアラート条件とします。いずれの方法でも、設備の負荷条件・運転速度が変化する場合は条件ごとにベースラインを分けて管理することが精度向上につながります。また、設備状態や運転条件の変化に応じて、しきい値を定期的に見直すことが重要です。

振動センサのケーブルが断線・劣化しやすい環境での対策はありますか?

ケーブルの断線・劣化対策として、まずケーブル素材の選定が重要です。高温環境にはフッ素樹脂(PTFE)被覆ケーブル、耐油・耐薬品環境にはポリウレタン被覆や金属編組シース付きケーブルを選択します。コネクタ部分はM12ねじロック式や抜け止め機構付きコネクタを使用して振動による緩み・脱落を防止します。ケーブルの余長はクランプで固定してたるみによる引っ張り応力を吸収し、可動部近傍ではケーブルベア(エネルギーチェーン)内を通して繰り返し屈曲に対応します。近年は無線(Bluetooth・WirelessHART)対応の振動センサも普及しており、ケーブル布線が困難な箇所や既設設備への後付けには無線タイプの採用も有効な選択肢です。

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