近接センサは、物体に接触せず電磁界・静電容量・磁場の変化で存在や位置を検出するセンサです。検出対象の材質・検出距離が決まれば、下の比較表で種類がほぼ確定でき、出力形式は選定フローで詰められます。目的に応じて以下から進んでください。
このページの目次
近接センサの3種類を比較:誘導型・静電容量型・磁気型
被検出体の材質で、まず方式が決まります。金属のみなら誘導型、樹脂・液体・粉体まで検出するなら静電容量型、シリンダの磁石検出なら磁気型が起点です。
| 種類 | 原理 | 検出対象 | 検出距離 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 誘導型(高周波発振型) | コイルに高周波電流を流すと発振電磁界が形成される。金属が近づくと渦電流が生じてインピーダンスが変化し、発振振幅が減衰することで検出する | 金属(鉄・SUS・銅・アルミなど) | 1~30mm程度(長距離・大口径タイプでは~60mm程度) | 最も普及している。金属のみ検出可能。耐油・耐塵性に優れる |
| 静電容量型 | センサの検出電極と被検出体の間の静電容量変化を検出する | 金属・非金属・液体・粉体 | 1~25mm程度(長距離タイプでは~60mm程度) | 樹脂・木材・液体・粉体も検出可能。感度調整が必要 |
| 磁気型(磁気式) | 磁石が近づいたときの磁場変化をホール素子やリードスイッチで検出する | 磁石 | 数mm~100mm程度(検出素子や構成、使用する磁石によって異なる) | 磁石を取り付けた可動部の位置検出に使われる。非金属ケースでも使用可 |
仕様から近接センサを絞り込む
近接センサの選定フロー(検出対象→距離→環境→出力で絞る)
被検出体の材質 → 必要な検出距離 → 設置環境(IP・取付) → 出力形式の順に決めれば機種が固まります。
- 検出対象の材質を確認する
金属を検出するには誘導型が第一候補になります。樹脂・木材・液体・粉体を検出するなら静電容量型、エアシリンダのピストン位置検出なら磁気型を選びます。SUS・アルミなど非磁性金属は誘導型でも検出距離が低下するため、オールメタル・SUS対応機種を検討します。 - 必要な検出距離と設置余裕を決める
誘導型の規定検出距離は鉄が基準です。一般的な誘導型では、SUS304やアルミは鉄より検出距離が短くなるため、メーカーの補正係数表で確認します。実際の設置ギャップは規定値の50~80%程度を目安にし、温度変動・振動・取付誤差の余裕を確保します。 - 設置環境とシールド形状を合わせる
水・粉塵がかかる環境ではIP67以上など使用環境に適した保護構造を選び、油がかかる場合は耐油仕様も確認します。金属ブラケットに埋め込むならシールドタイプ、検出距離を伸ばすなら離間距離を確保できる非シールドタイプを選びます。隣接設置時は相互干渉を避ける離間距離が必要です。 - 出力形式(NPN/PNP・2線/3線)を決める
接続先PLCの入力仕様に合わせます。日本の産業機器ではNPN(シンク出力/接続先PLCはプラスコモン入力)が多用され、欧州系設備ではPNPが標準です。配線を簡素化したい場合は2線式ですが、漏れ電流による誤認識に注意します。
補足:近接スイッチ・光電センサとの違い
近接スイッチとの違い:呼称の変遷
「近接スイッチ」は近接センサの旧称で、現在も同義語として使われています。JIS規格では「近接スイッチ」が正式な規格名称として整理されています。一方、メーカーのカタログや製品情報では「近接センサ」という名称も広く使われており、機能・動作原理に違いはありません。
光電センサとの違い
近接センサは光を使わず電磁的な変化(渦電流・静電容量・磁場)を検出するため、暗所でも使用でき、光電センサに比べて汚れや油、水などの影響を受けにくいのが特長です。光電センサは投光部の光が遮られる・反射する変化を検出します。ただし誘導型近接センサの被検出体は主に金属に限られる点が光電センサとの大きな違いです。