レーザセンサは、高指向性のレーザ光で対象物の有無・位置・変位・距離を検出するデバイスです。検出目的・測定距離・安全クラス・環境条件が決まれば、下の比較表で方式や機種の候補を絞り込めます。目的に応じて以下から進んでください。
このページの目次
- レーザセンサの種類を比較:存在検知型・変位測定型・距離測定型
- レーザセンサの選定フロー(4ステップで絞り込む)
- 通常の光電センサとレーザセンサの比較
- レーザセンサの測定原理(補足:三角測量法・TOF法・干渉法)
- よくある質問(FAQ)
レーザセンサの種類を比較:存在検知型・変位測定型・距離測定型
まずこの比較表で方式を絞り込みます。有無検出は存在検知型、微小な寸法・段差・高さなどの測定は変位測定型、数m以上の距離測定や位置検出は距離測定型が起点です。
レーザセンサの種類と特徴
| 種類 | 検出原理 | 出力形式 | 分解能・検出能力の目安(詳細は仕様を参照) | 代表的用途 |
|---|---|---|---|---|
| 存在検知型 (レーザ光電センサ) | 透過型・反射型・回帰反射型 | デジタル(ON/OFF) | スポット径・光学系に依存 | 微細部品の有無検出、位置確認 |
| 変位測定型 (レーザ変位センサ) | 三角測量法 | アナログ/デジタル通信 | μmオーダ。高精度機ではサブμm分解能のものもある | 厚み測定、反り・段差検査、高さ計測 |
| 距離測定型 (レーザ測距センサ) | TOF法・位相差法 | アナログ/デジタル通信 | 分解能・繰返し精度・測距精度は機種により異なる。mmオーダのものが多い。高精度機ではサブmmの分解能・繰返し精度のものもある | 長距離の距離測定・位置検出、AGV・ロボット障害物検知 |
※表中の検出・測定方式は代表例です。変位測定型には三角測量法のほか、共焦点方式や分光干渉方式などを用いる機種もあります。用途や対象物の材質・表面状態に応じて適した方式を選定してください。
変位測定型はライン走査型(プロファイル計測)や2D・3Dスキャン対応モデルも存在し、断面形状検査や体積計測などに利用されています。
仕様からレーザセンサを絞り込む
レーザセンサの選定フロー(4ステップで絞り込む)
検出対象 → レーザクラス・波長 → 測定範囲・分解能 → 環境・出力の順に決めれば機種が固まります。
- 検出対象と検出目的を確認する
有無検出なら存在検知型、微小な寸法・段差・厚み検査なら変位測定型、長距離での距離・位置測定なら距離測定型を選びます。鏡面・透明体は正反射受光型や透過型など受光方式の検討が必要です。 - レーザクラスと波長を選ぶ
JIS C 6802:2025にもとづくレーザクラス(クラス1、1C、1M、2、2M、3R、3B、4)を確認します。産業用レーザセンサにはクラス1・2の製品が多く見られ、機種によってはクラス3Rもあります。クラス3B以上では、管理区域の設定や保護眼鏡などの安全対策が必要です。可視光はスポットを確認しやすく、赤外光を使用する場合は対象材の反射特性などを確認します。 - 測定範囲・分解能のバランスを決める
設置距離(基準距離)とワーク変動幅(測定範囲)を確認します。測定範囲の端では精度が低下する機種があるため中心付近での使用を推奨します。 - 環境耐性・応答速度・出力を合わせる
保護等級(IP)、耐振動・耐衝撃、動作温度範囲を確認します。切削油ミスト・溶接スパッタ環境では防塵防水・耐熱モデルを選びます。高速ラインでは必要な応答時間やサンプリング周期を確認し、上位接続はアナログ/RS-232C/EtherNet/IP/IO-Link等で整合をとります。
通常の光電センサとレーザセンサの比較
同じ「光を使った検出」でも、レーザ光源は高い指向性と小さなスポットを得やすく、微細物体の検出に適した製品があります。設計段階での仕様比較でオーバースペックや検出不良を防げます。
光電センサとレーザセンサの性能比較
| 比較項目 | 通常の光電センサ(LED) | レーザセンサ |
|---|---|---|
| スポット径 | 数mm以上の製品が多い | 1mm以下の小スポット品もある |
| 検出精度 | 機種・検出方式により異なる | 小スポットを生かした高精度な位置検出が可能。変位測定型ではμm~サブμm分解能の製品もある |
| 検出距離 | 検出距離数m~数十m対応品もある | 数m~数十m対応品もある。長距離でも小スポットを形成しやすい |
| 微細物体検出 | スポット径や光学系に依存 | 細線・微小穴・薄膜などの検出に適する場合がある |
| 環境光の影響 | 受ける場合がある | 波長選択フィルタや変調方式により低減できる場合がある |
| コスト | 低~中 | 中~高 |
| 安全規制 | レーザ安全クラス表示は通常不要 | JIS C 6802 / IEC 60825-1 適用 |
※スポット径、分解能、測定精度、繰返し精度、検出距離などの性能値は、センサの方式・機種・測定範囲・対象物の材質や反射率・設置条件によって異なります。選定時は、各製品の仕様書を確認し、対象物サンプルを用いた事前評価を行ってください。
レーザセンサの測定原理(補足:三角測量法・TOF法・干渉法)
レーザセンサの代表的な測定原理には、三角測量方式、TOF方式、位相差方式、共焦点方式、干渉方式などがあり、測定距離・分解能・応答速度などの特性が異なります。
三角測量法
投光したレーザスポットが対象物表面で反射した光をPSD(位置検出素子)やCMOSアレイで受光し、受光位置のシフト量から距離・変位を算出します。短~中距離の変位測定に適し、μmオーダの分解能を実現できる機種もあります。
TOF(飛行時間)法
パルスレーザを照射し光の往復時間から距離を算出します。光速(約3×10⁸m/s)を利用するため、数m~数十mの長距離測定ができますが、短距離での分解能はやや劣ります。
干渉法
参照光と測定光の干渉縞からナノメートルオーダの変位を計測できる極めて高い分解能が得られる方式です。装置規模が大きく環境振動の影響を受けやすいため、主に精密計測機器・キャリブレーション用途に限定されます。